ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

オペラ「カルディヤック」

2013-03-14 23:01:14 | オペラ
3月1日新国立劇場中劇場で、ヒンデミット作曲のオペラ「カルディヤック」をみた(オケ:トウキョウ・モーツァルト・
プレーヤーズ、指揮:高橋直史、演出:三浦安浩)。

本邦初演。

パリでは殺人事件が頻発しており、犯人が見つからず人々は不安にさいなまれている。
この連続殺人事件に共通するのは、被害者が天才金細工師として人々から尊敬されているカルディヤックの作った
金細工を手にした人物であることだった。
カルディヤックには娘がおり、彼女は父の愛情が自分よりも金細工に向けられていることを知って心を痛めている。
ある時、王がカルディヤックのもとを訪れるが、金細工に病的なまでに執着しているカルディヤックは王の求めにも
応じず追い返してしまう。そんな折、娘の恋人である士官がカルディヤックに娘との結婚の許可を求めてやって来るが・・・。

原作は18世紀末の幻想文学作家 E.T.A.ホフマンの「スキュデリ嬢」。今回読んでみたが、これが実に面白い。何しろ17世紀
が舞台でルイ14世とか出てくるのに、主役の探偵役を務めるのが女性、しかも当時実在した、詩人として名高い高齢の女性
なのだ。心理描写も冴えている。
ヒンデミットはこれを翻案し、探偵役を廃して金細工師を物語の中心に据える。娘の恋人が父の弟子だったのを士官に変えた
こと、そして周囲の手厚い配慮により娘が父親の正体を最後まで知らないままなのに対し、このオペラでは知ってしまうのも
大きな違いだ。だが、より現代的で自然なものになったため聴衆には受け入れやすく、これはこれでオペラとして実に面白い
作品となった。

第1幕、貴婦人役の柴田紗貴子は切れのいい演技が印象的。
総じて今回の演出はよかった。同じ演出家の一年前の作品が全く趣味に合わなかったので期待していなかったが・・。

本邦初演の面白さ・・観客の誰も、次に何が起こるかくわしくは知らない。ゆえに緊迫したシーンだと客席中が固唾を飲む。
これが滅多に味わえない感覚なのだ。



コメント
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