ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

「ヴェローナの二紳士」

2015-12-11 22:08:10 | 芝居
10月12日彩の国さいたま芸術劇場で、シェイクスピア作「ヴェローナの二紳士」をみた(演出:蜷川幸雄、オールメールシリーズ)。
その初日。

ヴェローナの紳士ヴァレンタイン(高橋光臣)は修学のためにやって来たミラノで大公(横田栄司)の娘シルヴィア(月川悠貴)と恋に落ち、駆け落ち
を画策する。ところが後からやって来た幼馴染のプローティアス(三浦涼介)も彼女に一目惚れしてしまう。そこへ遠く離れた故郷から恋人プローティアスを追ってジュリア(溝端淳平)までもが現れる。道中、身の安全を守るためセバスチャンと名乗って男装していたジュリアは、あろうことか恋人に従者として雇われてしまい…。

幕が開くと舞台は前の方が全面鏡張りとなっていて、そこに客席が映っている。その狭い空間が西洋の家具で一杯(美術:中越司)。
上手に楽士が2人。チェロとマンドリン奏者。

ジュリア役の溝端淳平が美しい。ただ舞台は初めてなのか、セリフの語尾が時々消えてしまうのが惜しい。

ヴァレンタイン役の高橋光臣は、途中でセリフを忘れ、何度も言い直した挙句、満面の笑みで「ちょっと頭の中を整理して来る」とか言って下手に引っ込んで出直す有様。初日だからか。それにしても大した度胸だ。が芝居は下手。
特に前半の召使いスピード(大石継太)とのやりとりは、間が空いて芝居になっていなかった。

ジュリアがプローティアスからの手紙を、侍女の手前、わざと破って床に落とし、ためらった後それでもやっぱり拾おうとすると、黒子が小さい扇風機を回して吹き飛ばそうとするのがおかしい。
ランスは道化のまだら服を着て白い犬を連れて登場。その犬クイールが傑作。始終ランスの腕に食いつき、帽子をくわえ、体に飛びかかり、ちっともじっとしないで客席を沸かせる。

シルヴィアの求婚者シューリオ役の河内大和が面白い。ラスト、ようやくシルヴィアを諦めるが立ち去るわけでもなく、他の山賊たちの真似をして木の枝や葉をかぶって茂みのふりをするのもおかしい。

ヴァレンタインと召使いは森に入り、茂みに向かって放尿する!水が出てきてそれを山賊が浴びてしまう。

マイナーな作品だが、十分面白く、観客にもちゃんとウケていたのは誠にめでたい。

音楽(阿部海太郎)も久々によかった。最近蜷川さんの演出に対しては文句ばかり書いているが、今夜は楽しかった。



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