ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

オペラ「犬の仇討」

2018-10-05 22:26:27 | オペラ
9月20日吉祥寺シアターで、オペラ「犬の仇討」を見た(こんにゃく座公演、原作:井上ひさし、台本・作曲:林光、演出:上村聡史)。

時は元禄15年(1702年)12月15日未明、吉良上野介の屋敷。赤穂浪士による討ち入りの最中、辛うじて隠し部屋に逃れた上野介と
清水一学ら家来たち。
そこに隠れていた盗っ人の砥石小僧新助によって上野介は「浅野は気の毒、上野介憎し」という世間の評判を耳にする。話を重ねるうち、
吉良たち一同は浅野方大石内蔵助たちのこの討ち入りの真意が仇討でなく「お上」への弓引きであることを悟る。そして・・・。(チラシより)

井上ひさしの芝居を林光がオペラにした唯一の作品。
数ある井上戯曲の中から作曲家がこれを選んだというのも興味深い。
初演は2002年の由。
台本も作曲家が書いているので、原作と所々違っていて面白い。
一番違うのは、ロマンスの要素の挿入!
お犬様係の2人の女中と侍2人がそれぞれ想い合っているという設定になっていてびっくり。
殺伐としたストーリーに、思いがけずほんわかした温かいものが入ってきて話がふくらんだ。
林先生お見事。井上ひさしも「やられたっ」と感心したり悔しがったりしたのではないだろうか。

ただし少々長過ぎるようにも思う。
なぜ大勢の侍たちに命を狙われて、自分の屋敷内でこそこそ隠れていなければならないのか、どうしてこんなことになったのか、と謎解きに
頭を絞る「ご隠居」(吉良様)に合わせて、すべてが動きを止める。それが何度か起こる。
劇の進行上必要なのは分かるが、何とかならないだろうか。
その他、あちこち刈り込めばもっと短くできるはずだ。

歌手では、盗人・砥石小僧新助役の佐藤敏之がうまい。しかもこの人は芝居もうまい。
他の皆さんの演技もなかなか立派。
楽器はヴァイオリンとピアノの2人。

久しぶりに「こんにゃく座」の公演を見て、かつて見た「ハムレット」や「吾輩は猫である」を思い出した。
ポローニアスが、留学する息子レアティーズに向かっていろいろ忠告(お説教)して聴かせるシーンの歌がとても面白くて、直後に拍手が起こった
のだった。懐かしい。
コメント
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