【2009年9月22日】 第4日目
椹島から登り「熱気球型」のルートを描いて再び椹島に戻るルートのちょうど中間点の「荒川小屋」に昨日、到着した。
稜線から外れた静かな場所に建てられたこぢんまりした山小屋である。
前日はほとんど何もせず、午後8時には寝てしまった。幸い、予想に反して小屋は空いていて楽に寝られたが、足はだいぶ疲れていた。2階のスペースに登るハシゴ(階段ではない)が急で、荷物を持って上がり降りするのが辛い。トイレに降りるのも一苦労である。
晩は風も強く一時雨も降っていたようだ。
明けて22日(火)、午前4時50分起床。天気が気になり外を見てみると晴れている。少し安心して、朝食に向かう。
まだ日の出前である。朝食を取りかけていると、あたりがせわしく動き出して来た。御来光を見るために席を立つ人たちだ。あわてることないと思っていたが、窓の外を見るとまだ暗い外の景色に富士山の影が。昨日は昼過ぎから小屋に着くまで、雲で景色も何もなかったが、真正面に富士山が見える。
あわててカメラを持って外に出る。
あっという間にあたりが明るみはじめたかと思うと、雲海の端からまばゆい光がもれる。
【2009年9月22日 午前5時30分 荒川小屋からの日の出】
【 同 午前5時37分 荒川小屋前から 】
【 同 午前5時52分 水場への道から】
朝飯をそこそこにして、20分ほど大自然の映し出す光景に見入ってしまった。こんな美しい日の出は初めてだった。
もっとゆっくり眺めていたかったが、今日の行程は昨日より長い。身支度を整えなければならない。
水場は小屋から5分ほど下った所にある。きれいな水場だ。水は思い切り冷たい。顔を洗い、水筒に今日の分の水を補給する。
もう一度富士山を見て出発することにする。今日も良さそうな空模様に見える。
小屋の前から、これから登る「前荒川岳」の荒々しい姿を見る。予報では今日から天気は下り坂ということだが、せいぜい頂に立つまでの間は晴れていてほしいと思う。
6時10分、荒川小屋を出発。
しばらく谷を巻いてから荒川前岳への急な登りに取り付く。3日目ともなると足取りが重い。
途中、ひとりの男性と合う。思い起こしてみると、千枚岳までの行程で出会った人は、この人ひとりだったかと思う。今時、縦走などはやらないのか。
【 小赤石岳の長い稜線と荒川小屋遠景 】
雲行きが怪しくなってきた。朝あれだけ晴れていたのに、上にあがるほどガスが濃くなってくる。先ほどまで見えていた荒川小屋の赤い屋根もガスの中に消えていく。
【 あっという間に、ガスに覆われた小赤石岳の稜線 】
道は、荒川前岳への急なつずらおりの登りが30分以上続く。息がきれて少し行っては休み、なかなか頂上が近づかない。
荒川前岳には荒川中岳へのルートからはずれ左に折れなければならない。頂上からの景色に期待したが、前荒川岳の標識に着いたときには辛うじて道標の字が読める程度で、荒々しく切り立っているはずの断崖も切れ落ちた岩壁も見られず、恐怖感も何も無かった。
【 前荒川岳の崩壊地-荒々しい崖が下まで見えていたら・・】
何も見えないのでは仕方ない。カッパを着込み、道を戻り中岳に向かう。雨がしとしと振り景色どころではない。程なく荒川中岳に着く。山頂を示す標識があるだけで見通しが利かないから、頂上に立っているという実感はまるで無い。大蔵尾根の「赤石小屋」から見た荒川岳は立派に見えたから、そこからの景色はさぞ爽快であろうと期待していたが、残念である。
このあたりの頂きに立って思うことは、どこも頂上標識が立派であるということだ。やはり、東海パルプ(東海フォレスト)さんの一括管理の恩恵かと思い拍手。
【 荒川中岳避難小屋 】
ほどなく「荒川中岳非難小屋」に到着。無人の小屋で人気がなかったが、悪天候の時は心強い立派な避難場所だ。
そこから、再び厳しい登りがつづく。天気が良かったら景色を堪能しながらわくわくした気持ちで登れるところだと思うと残念である。
花がせめてもの慰めである。
30分ほど急な斜面を登り、悪沢岳に到着。何も見えない。
【荒川東岳=悪沢岳頂上】
【 荒川東岳(悪沢岳)で小休止 】
悪沢岳を後に、丸山を経て千枚岳を目指す。
回りの景色が見えないので、仕方なく下を見ながら歩くのだが、変わった石が目に入った。見事に赤い色の石である。何の説明もなく「アッ、赤石だ。」と思う。
【「赤石山脈」の名前の由来になったと思われる赤い石 】
悪沢岳と違って、なだらかな丸山を超え下りにかかる。今まで北アルプスにあるような危険な所は全くと言っていいくらいなかったが、千枚岳の手前に来て、ようやく岩場らしい所に出くわす。といっても数メートルだけだが。
【千枚岳直前のこのコース唯一の難所】
難なくこえて千枚岳に立つ。大分疲れてきた。二軒茶屋に降りる分岐を過ぎ、小屋まではもう一歩のはずである。
【 二軒茶屋へ降りる道の分岐点 】
仮営業の小屋とはいったいどんなんだろうと思いながら下っていくが、なかなか着かない。一瞬通り過ぎてしまったのではないかと思う。
地図に記載されている所用時間の倍ほどかかり、ようやく千枚小屋に到着する。
「南アルプス-赤石・荒川三山を登る」(その7-最終回)へジャンプ
椹島から登り「熱気球型」のルートを描いて再び椹島に戻るルートのちょうど中間点の「荒川小屋」に昨日、到着した。
稜線から外れた静かな場所に建てられたこぢんまりした山小屋である。
前日はほとんど何もせず、午後8時には寝てしまった。幸い、予想に反して小屋は空いていて楽に寝られたが、足はだいぶ疲れていた。2階のスペースに登るハシゴ(階段ではない)が急で、荷物を持って上がり降りするのが辛い。トイレに降りるのも一苦労である。
晩は風も強く一時雨も降っていたようだ。
明けて22日(火)、午前4時50分起床。天気が気になり外を見てみると晴れている。少し安心して、朝食に向かう。
まだ日の出前である。朝食を取りかけていると、あたりがせわしく動き出して来た。御来光を見るために席を立つ人たちだ。あわてることないと思っていたが、窓の外を見るとまだ暗い外の景色に富士山の影が。昨日は昼過ぎから小屋に着くまで、雲で景色も何もなかったが、真正面に富士山が見える。
あわててカメラを持って外に出る。
あっという間にあたりが明るみはじめたかと思うと、雲海の端からまばゆい光がもれる。
【2009年9月22日 午前5時30分 荒川小屋からの日の出】
【 同 午前5時37分 荒川小屋前から 】
【 同 午前5時52分 水場への道から】
朝飯をそこそこにして、20分ほど大自然の映し出す光景に見入ってしまった。こんな美しい日の出は初めてだった。
もっとゆっくり眺めていたかったが、今日の行程は昨日より長い。身支度を整えなければならない。
水場は小屋から5分ほど下った所にある。きれいな水場だ。水は思い切り冷たい。顔を洗い、水筒に今日の分の水を補給する。
もう一度富士山を見て出発することにする。今日も良さそうな空模様に見える。
小屋の前から、これから登る「前荒川岳」の荒々しい姿を見る。予報では今日から天気は下り坂ということだが、せいぜい頂に立つまでの間は晴れていてほしいと思う。
6時10分、荒川小屋を出発。
しばらく谷を巻いてから荒川前岳への急な登りに取り付く。3日目ともなると足取りが重い。
途中、ひとりの男性と合う。思い起こしてみると、千枚岳までの行程で出会った人は、この人ひとりだったかと思う。今時、縦走などはやらないのか。
【 小赤石岳の長い稜線と荒川小屋遠景 】
雲行きが怪しくなってきた。朝あれだけ晴れていたのに、上にあがるほどガスが濃くなってくる。先ほどまで見えていた荒川小屋の赤い屋根もガスの中に消えていく。
【 あっという間に、ガスに覆われた小赤石岳の稜線 】
道は、荒川前岳への急なつずらおりの登りが30分以上続く。息がきれて少し行っては休み、なかなか頂上が近づかない。
荒川前岳には荒川中岳へのルートからはずれ左に折れなければならない。頂上からの景色に期待したが、前荒川岳の標識に着いたときには辛うじて道標の字が読める程度で、荒々しく切り立っているはずの断崖も切れ落ちた岩壁も見られず、恐怖感も何も無かった。
【 前荒川岳の崩壊地-荒々しい崖が下まで見えていたら・・】
何も見えないのでは仕方ない。カッパを着込み、道を戻り中岳に向かう。雨がしとしと振り景色どころではない。程なく荒川中岳に着く。山頂を示す標識があるだけで見通しが利かないから、頂上に立っているという実感はまるで無い。大蔵尾根の「赤石小屋」から見た荒川岳は立派に見えたから、そこからの景色はさぞ爽快であろうと期待していたが、残念である。
このあたりの頂きに立って思うことは、どこも頂上標識が立派であるということだ。やはり、東海パルプ(東海フォレスト)さんの一括管理の恩恵かと思い拍手。
【 荒川中岳避難小屋 】
ほどなく「荒川中岳非難小屋」に到着。無人の小屋で人気がなかったが、悪天候の時は心強い立派な避難場所だ。
そこから、再び厳しい登りがつづく。天気が良かったら景色を堪能しながらわくわくした気持ちで登れるところだと思うと残念である。
花がせめてもの慰めである。
30分ほど急な斜面を登り、悪沢岳に到着。何も見えない。
【荒川東岳=悪沢岳頂上】
【 荒川東岳(悪沢岳)で小休止 】
悪沢岳を後に、丸山を経て千枚岳を目指す。
回りの景色が見えないので、仕方なく下を見ながら歩くのだが、変わった石が目に入った。見事に赤い色の石である。何の説明もなく「アッ、赤石だ。」と思う。
【「赤石山脈」の名前の由来になったと思われる赤い石 】
悪沢岳と違って、なだらかな丸山を超え下りにかかる。今まで北アルプスにあるような危険な所は全くと言っていいくらいなかったが、千枚岳の手前に来て、ようやく岩場らしい所に出くわす。といっても数メートルだけだが。
【千枚岳直前のこのコース唯一の難所】
難なくこえて千枚岳に立つ。大分疲れてきた。二軒茶屋に降りる分岐を過ぎ、小屋まではもう一歩のはずである。
【 二軒茶屋へ降りる道の分岐点 】
仮営業の小屋とはいったいどんなんだろうと思いながら下っていくが、なかなか着かない。一瞬通り過ぎてしまったのではないかと思う。
地図に記載されている所用時間の倍ほどかかり、ようやく千枚小屋に到着する。
「南アルプス-赤石・荒川三山を登る」(その7-最終回)へジャンプ
いつも思うのですが、山の写真は即時性はあまり関係がないですね。街などと違って、いつも変わりなく、迎えてくれますし・・・。