遊民ヤギ爺

俳句と映画のゆうゆう散歩

蚊喰鳥

2020-08-03 16:06:13 | 日記

令和2年8月3日(月)

蝙 蝠 : こうもり、蚊喰鳥

コウモリ目(翼手類)の哺乳類で、指の間に翼の様な

飛膜がある。 哺乳類としては飛ぶ事の出来る珍しい

動物である。 頭部は鼠の様で、後肢で止まり、逆さ

にぶら下がり休む。冬の間は木の洞や岩穴、屋根裏等

に冬眠している。

夏になると、夕方に飛翔して昆虫などを捕食する。

蚊を食べることから、「蚊喰鳥」ともいわれる。

家コウモリ、アブラコウモリ、カグラコウモリ等、、

 

私の子供の頃は、夕暮れになると沢山の蝙蝠が軒先を

飛び交うのをよく見かけた。

最近は、ビルやマンション等が立ち並び、建築構造が

様変わりして、蝙蝠の棲家がなくなり殆ど見かけない。

 

俳人の夏井いつきさんの著書「絶滅寸前季語辞典」に、

「家蝙蝠」の記述が在った。とても面白い記述で、私の

少年期を思い出させる話、、、、、、紹介したい。

家蝙蝠 : 副題「蚊喰鳥」

「今はマンション住まいだが、、此処に引っ越して来る

前は田圃のど真ん中の農家に住んで居た。 夕飯の支度

が整い、外で遊んでいる子供達を呼びに出て行くと度に

見事な春の夕映えと、目の前に広がる青麦畑の美しさに

感嘆したものだった。 、、、、、 中略 、、、、

長屋門の前にたたずんで夕焼けが色を失うまで眺めてい

る事もしばしばだった。 夕燕が高く低く飛び交う様も

真に見飽きない面白さであった。 そんな或る日、まだ

幼稚園だった息子が「怪獣を捕まえた」と、いって騒ぐ

ので見に行ったら、何と小さな蝙蝠。 ギイギイと歯を

剥いて鳴く様は、ゲゲゲッとのけぞってしまう程の迫力。

そんなものを飼いたいと騒ぐ息子を説得するために、

「蝙蝠は山の中の洞窟に住んでるから、こんな所では生

きてはいけないよ。遠いお山の洞窟でこの子のお母さん

がまってるから、帰してあげないと可哀そうだよ」と、

お涙頂戴路線で迫ったら、息子があっさりとこう言った。

「コイツは遠いお山の洞窟に住んどるんやないよ、うち

の納屋に住んどる。だってコイツらいつも仲間と、夕方

飛び廻るやろ、」  唖然とした。

何時も私 夕燕だと信じ、いくつもの俳句に詠んできた

あの黒い影は、なんと蝙蝠だったのだ。

現代の住宅事情を思えば「家蝙蝠」を住まわせてくれる

家もどんどんなくなっていくに違いない。

私の幻の「夕燕」たちに幸多かれと祈るしかない。

(夏井いつき著:絶滅寸前季語辞典より 引用した)

 

今日の1句(俳人の名句)

切なく小さく家蝙蝠の歯なりけり   夏井 いつき