令和2年8月25日(火)
滴 り : 崖滴り、巌滴り
「下垂る」がことばの原義。夏に崖の岩肌を伝わったり、
苔等に沁み込んだ水が雫となって真下にぽたぽたと落ちる
清水をいう。
用語の発音は近世初期まで、第三音節が濁音で「しただり」
であったのが、後に清音化し「したたり」となった。
季語としては、大正3年(1914年)の「新撰袖珍俳句
季寄せ」に初めて載る。
中国北宋の画家郭煕の画論「林泉高致」の山水画に夏山を
形容し、「蒼翠滴るが如し」とその深緑をしたたるばかり」
と喩えているが、「滴る山」が江戸時代に出来た夏の季語。
この様に比喩として早く「滴り」は用いられているが、清冽
な清水そのものを指す「滴り」が季語となるのは近代に入っ
てから。
尚、雨後の雫や鍾乳洞等の水滴は「滴り」とは言わない。
懸崖や深林の巨岩等から零れる、清涼な,滴りを見ると思わ
ず暑さを忘れる。(新日本大歳時記、夏:宮坂静雄記述より)
今年は「新型コロナウイルスの影響」で旅行等を取止め、色々
な行事予定(クラス会、会社OB会、町内運動会、祭り等)が
中止となった。
句会の月例会も3月~5月は中止、6,7月開催以降は中止。
吟行俳句も、句会場が殆ど休止の所が多く、止むなく中止。
その所為か、季節ごとの「季語」は頭に浮かぶが、現場に出
かけられず、過去に眺めた心の残像に頼っているのが現状。
犬山吟行、木曽川沿い
今回の「滴り」も、数年前に犬山吟行の際に城下を流れる
木曽川沿いの鵜船が停泊しする近くの崖に「滴り」を見つけ
句仲間が、暑さを忘れホット一息した所、、、、、、、
今日の1句
滴りの一粒ごとの光りかな ヤギ爺