「古都逍遥 京都・奈良編」「花の詩」「日常のこと」や花や風景写真

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花の詩「杏」(あんず)

2013年12月15日 23時42分32秒 | 古都逍遥「奈良篇」
花言葉:「はにかみ」「乙女のはにかみ」「疑い」(実)「気おくれ」

 杏はアーモンドや梅、李(スモモ)の近縁種だが、梅の果実は完熟しても果肉に甘みがないのにくらべ、杏は熟すと甘みがある。耐寒性があり比較的涼しい地域で栽培されている。春(3月下旬から4月頃)に、桜よりもやや早く淡紅の花を咲かせ、初夏に梅によく似た実を付ける。日本には古代に中国から伝えられ、万葉集には「杏人」の原文表記があり、またカラモモともカラヒトともモモサネとも読まれていて定かでない。


「ゆふ立に ふりまじりたる 杏哉」(正岡子規)    
「杏あまさうな人は 睡(ね)むさうな」(室生犀星)

 室生犀星は杏を好んでいたようで、次のような詩を残している。

【小景異情】 
その一
 白魚はさびしや そのくろき瞳はなんといふ なんといふしをらしさぞよ
そとにひる餉(げ)をしたたむる わがよそよそしさと かなしさと 
ききともなやな雀しば啼けり

その二
 ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しうたふもの よしや
うらぶれて異土の乞食となるとても 帰るところにあるまじや
ひとり都のゆふぐれに ふるさとおもひ涙ぐむ そのこころもて
遠きみやこにかへらばや 遠きみやこにかへらばや

その三
 銀の時計うしなへる こころかなしや ちょろちょろ川の橋の上
橋にもたれて泣いてをり

その四
 わが霊のなかより 緑もえいで なにごとしなけれど 懺悔の涙せきあぐる
しづかに土を掘りいでて ざんげの涙せきあぐる

その五
 なににこがれて書くうたぞ 一時にひらくうめすもも すももの蒼さ身にあびて
田舎暮らしのやすらかさ けふも母ぢやに叱られて すもものしたに身をよせぬ

その六
 あんずよ 花著け 地ぞ早やに花著け あんずよ燃えよ ああ あんずよ花著け

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