フランスからお遍路にきました。 | |
マリー=エディット・ラヴァル 鈴木孝弥 訳 |
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イースト・プレス |
四国八十八ヶ所にはいずれ行ってみたいと思っているので、それに関する本や雑誌をいろいろ読んでいる。
マリーさんは、フランス人。言語療法士。クリスチャン。日本語はできない。
かつて彼女が、サンディエゴ・デ・コンポステーラの巡礼(フランスから、キリスト教の聖地であるスペインのサンディエゴ・デ・コンポステーラへの巡礼)をしていた時、途中で一人の日本人巡礼者と出会う。その人に四国巡礼の話を聞き、興味をかき立てられる。
「旅を計画的に組み立てたり、情報収集して頭に入れておいたりせず、無邪気なフレッシュ感と、子供の視線を持った無垢な存在に、できる限り近いほうがいい」ということで、予備知識なしにたったひとり、日本に来て、歩いて1200キロの道のりを歩く。
外国の女性がキャピキャピしながら異なる文化を楽しむだけの本ではない。
「昨日と同じ今日…。わたしはそんな生ぬるいマントラ(おやじ注:言葉の意味)を毎日唱え続けるのか?ノン。腹の底からノンを三つ重ねよう!人生はそんな寝ぼけたものではないはずだ」と書いているように、異なる文化から学び、自分の心と融合させて自分を見つめ直そうという気概に満ちた内容だ。
出会った全ての人に感謝し、あらゆる自然界のものを称賛する。
涅槃の道場(香川県)に入ってからの文章は哲学的で、マリーさんは自分が宇宙の一部、運命共同体の一メンバーであることを自覚していく。
読んでいて自分も熱くなるのを感じた。
この本は、マリーさんが書いた最初の本である。
2015年の初夏にフランスで出版され、熱烈に受け入れられ、現在も講演会やサイン会で各地を飛び回っているらしい。
日本語版に続き、もうすぐドイツ語版も出版されるとのことだ。
この旅行記を読んだら、自分も行ってみたいという人が続出するだろう。
そうなる前に行かないと、霊場が人で溢れてしまいそうだ。