原発エネルギーから自然エネルギーへの険しい道のり

今回の地震、そして福島原発の事故で様々な報道が流れていた１週間でした。

当然ではありますが、
この時期に会う方々は皆、地震、原発の話題をされます。

「東電の会見をニュースで見て、適当な物言いや、のらりくらりとかわす話し方に腹が立った。
こういう人にに、原発という大変なものをまかせていたのか、と思った」。

「この大事故をきっかけに多くの人が、原発というエネルギーを見直してほしいと思っている」。

「こんな状態になる前に、なぜ回避できなかったのか」

「政府の発表は全くあてにならない。」

意外や、あの方がこの方も、反原発の考えを持った人だったのか、と知ることもありました。

これまで中立の立場だった知人が、
今回の事故をきっかけに反原発の立場になった、
そうした情報、活動があるならば報せてほしい、というお手紙までいただき、
不思議な気持ちにとらわれました。


自分は、この大事故が起こる前から反原発の立場を、細々ととっていた人間です。

ささやかながら、原発への反対の立場をとることで見てきた光景をバックに
今回は、お話したいと思います。

今回の事故を契機に、原発というエネルギーが見直されることを望んでいます。
「当然なる！」
「チェルノブイリやスリーマイル原発事故に匹敵する大事故を起こしたんだから！」と思っていました。


しかし同時に、ふりほどけない疑念があります。



これまで、マスコミは、
原発反対の方向をとる記事はほとんどといっていいほど、タッチせず、
記事にしてきませんでした。
不自然なほど、これまで、そういった記事は皆無でした。

あるのは、原子力エネルギーは安全である、温暖化防止策になりうるエネルギーである、

という世界とは逆行している主張の特大広告ばかりでした。その参考画像はコチラ
電力会社は、膨大なお金を新聞社に提供することで、それを可能にしていました。
そのお金は驚くほどに膨大です。


どれくらい原発が危険か、という民間団体の調査結果はほとんど掲載せず、
原発は世界水準の技術を使っているから決して事故はおこることはないとする、
広告を常に流し続けていました。

そして、それは見事に多くの人が信じ込むことができました。
電力会社の社員さんですらも。



かつて、新潟の地方で原発が建設されそうになった時に、反対運動の先頭に立った人がいました。

その人は、地ビールを日本で一番最初に作り上げた、という非常に話題性のある
大仕事を成し遂げ、連日新聞やテレビの取材がひきもきらなかったのですが、
ある時ぷつっと、そうした取材がこなくなったといいます。

本当にぷつっと。その不自然さを不思議がっていました。

どうやら、
原発反対運動をしていることをマスコミが知り、
（あるいは電力会社さんがマスコミに報せたのかもしれません。どちらかはわかりませんが）
その結果だというのです。

非常に怖い話だと思いました。

どれくらい、マスコミが電力会社に操作されているかを物語る一つの実例だと、私は思っています。



今回、原発史上例のない大事故に、
そうした「電力会社は新聞会社の巨大スポンサー」という立場は
完全になくなった状態での対峙になりました。

記者会見での、大手新聞記者の容赦ない責めの質問は、
電力会社さんからしてみたら、裏切りの行為にも思えたものかもしれません。



連日、あたふたした対応を繰り返す記者会見、
原発が爆発、煙があがった映像を全国放送で流すことで、
原発のあやうさは、日本国民全員に痛いほど突きつけられました。

私達は、ようやく目が覚めたような思いがしたかもしれません。

しかし、私達の目を覚ましたこうした一連の情報、
これもまた「マスコミによる情報」だという事実も忘れてはいけない事実です。



つまり、原発は安全だとほとんどの日本国民に信じ込ませたのも「マスコミ」なら、

原発は本当は、安全ではなかったのだと、

今回、日本国民に思い知らせたのもまた「マスコミ」なのです。


どちらも全く同じ「マスコミ」なのです。


マスコミが今回のような姿勢で、
つまり電力会社と対等の関係でいられるならば、

あるいは、これからの日本は、54基もの原発エネルギーからの離脱も
もしかしたら可能かもしれない、と思います。


だけど、と思います。

こうした大事故の一連の波風がおさまったら、また再びマスコミは電力会社のスポンサーを得て
「安全です」という言葉を繰り返すことによって、
「札束攻勢」によって、反原発の声を封じ込めるのではないか。


少なくとも、今現在の日本政府の対応は、
原因は電力会社からの出資ではないにしても、

非常に不明確であり、情報を正確に開示しているとは言いがたく、
それが二重に不信感をあおっています。


被災者の方への救援、応援メッセージ、避難所での声、
当然のことながら必要な情報ですが、
その報道量の違いがありすぎます。




だから、と私は願っています。

「マスコミへの無条件の過信はせず」、
どうか、「自らの力で情報を得て」ほしい、と思います。

一歩さがって、「マスコミが流す情報が全てではない」と思ってくれたら、と。



もしかしたら、私は無謀なことを言おうとしているのかとも思います。
だけど、と思ってあえて言います。


「自分の力で得た情報、経験、体験」に問いかけてほしいのです。

自分がこれまで積み上げてきた経験、体験は、確実なひとつの「真実」です。

その「真実」に、まずは問いかけてほしいのです。


原発という危険なものと、これからどう向かうべきなのか、
逃げずに考えて欲しい、そしてそれを行動にあらわしてほしい。



今後、放射能や汚染について、様々な情報がとびかうでしょう。

でも、どうか混乱しないでほしい。
そして、その混乱を怒りにして、誰かにぶつけないでほしい。


それはそっくりそのまま自分への戒めです。





頑張れ！だけではない、メッセージを投げかけることもきっと必要だと思っております。
ちなみにトップ画像は、グリーンピースが発行した自然エネルギー転換への呼びかけリーフレット。

地震の３日後に届きました。知人、友人に配布していく予定です。