原燃タオル

「日本原燃株式会社」。
そう印刷されているタオルが、六ヶ所村の菊川さんの家においてありました。
年末になると、原燃は六ヶ所村の一軒一軒に
「今年もありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします」と
挨拶をして、この粗品のタオルを配り歩く、といいます。

「いたれりつくせりだよ」と菊川さんのお手伝いをしている定岳さんは言いました。

本当に、何から何まで、なのです。
大きいほうは特大温泉施設から図書館からショッピングモールに定住用の住居まで。
小さいほうは住民の開催するイベントへの助成金に始まり、温泉施設の割引サービスに
働く場所への送迎バス、そして毎年行われるタオル配り。


ガンジーは、非暴力によって暴力を征服し、人々を勝利に導きました。
原燃さんは、同様の方法で人々の精神を制服しようとしているんだと思えました。
優しげに。

この上なく非暴力な方法で、これ以上ない暴力的なモノを
住民に引き受けてもらおうとしているんだなあ。

「安楽死」。ふいにそんな言葉がよぎりました。

原燃さんには、疲れたら新しい人材を送り込めるお金はたくさんある。
だけど、反対派には新たな人員はないし、お金もない。
勝ち目のない勝負に対し、まだ勝負を挑む反対派は
ゾウに立ち向かうアリにすぎないのかしら？

「ほしかったらあげるよ」と言われたので、このタオルをはるばる海をこえて
もってきました。

「今年はありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします」

何にありがとうと感謝され、何を来年もよろしくされるのだろう？


袋をあけてみた。立派なタオル。会社名は刻印されていませんでした。