断捨離をしているお話＜目指せゼロウエイスト＞−８ー

手離そうと思っているものから、自分の内面が見えることってあるんです。
それは占いよりも確実です。

私の場合、収集癖があったせいもありますが、それがより顕著だったように思います。

今回はタイトルをつけるならば
「空になった瓶」でございます。

空になった瓶。それは私にとって「田舎暮らしの象徴」だったかもしれません。
なぜなら、そこにあらゆる手作り品を詰めることができるから。
ジャムにはじまり、焼酎漬けや手作り化粧水などなど。
特にジャムにいたっては、毎年時期になると何十瓶も作るものだから、
瓶はいくらあってもかまわない、と思っていました。

だけど、その思考が、落とし穴だったのですね。


いざ、数えてみると（数えてみようなどと思うこともありませんでした）
百個単位であったのです。
毎年、作るジャム瓶の数は大小あわせて３０個前後。
それだって、自分達で消費すれば、その瓶はまた使えるのです。
単純な算数の問題です。
残りの１００個以上の空瓶は使われることなく、眠ったままになるのです。
「こんなにたくさんの瓶はいらない」。そう結論づけました。

だけど、断捨離前の自分だったら
「いや、どんなにあっても構わない。必ず使う時がくる」と固執していて、
手放そうとはしなかったでしょう。

「自分が何個くらいのジャムをつくるのか」

という、ただそれだけのことが、客観視できていなかったのです。
ああ、恥ずかしい限りです。

結局、空瓶は新しめのものを選んで、同じジャム作りをされる
知人にもらってもらいました。
彼らは、作ったジャムを友人に配ったりしているので、瓶がなくなるペースが早く、
時々ホームセンターで買うこともあるというので、
もらえるなら嬉しいし、ありがたい
と言ってくれました。

使ってもらえることは、
さらに喜んでもらえるなんて
なんて嬉しいことなんだろう、としみじみ感じました。

ごみにするよりも、ずっと得だと想いました。
誰かと連絡したり、おうかがいを立てたりする手間があったとしても
私はいつもこちらのほうを選択してしまいます。
（そのせいで、なかなか断捨離が進まないのですが）



そして、あとひとつ。
おもしろ話として読んでいただきたい断捨離品物、それは知人の婚約指輪
（画像はありません）


まだ都会に住んでいた頃、
あまり親しくしていたわけではないのですが、
会社の別部署の先輩からもらってくれないかと言われました。
金色と銀色の宝石のついた婚約指輪です。
話を聞くと、
「自分には結婚を約束していた人がいたけれども、
いろいろあって破棄になってしまった。その時にもらった指輪なんだけれども、
捨てるわけにもいかないし、ずっと机の引き出しの中にあったものだけどもらってほしい」と。

世の中には色々な人がいるものだと思いましたが、
私が瞬時に思った感情は「おもしろい！」でした。
(男性ではありません。念のため）


なんで、そんな験が悪いものを、と思われそうですが、
人の想いがこもっているものに対する執念のような「持ち癖」が
骨董品収集家にはあると思うのですが、それが私にも少々偏屈ながら
あるのです。喜んで指輪をもらい、時々つけてもいたのです。


一応、その時つきあっていた彼とは別れることなくゴールインもしたし、
験の悪さは解消されたとは思いますが、
さすがに向き合う時がきたのでしょうね。

田舎のライフスタイルでは指輪をつけることもないし、
（何かと不自由なこともあるし、何より似合わない！）
つけ続けていると、夫に「もしかして指輪が欲しいっていうメッセージ？」と
言われてしまうし、
持ち続けている意味はもうないなあ、と結論をくだしました。

最後に
「自分は指輪がそんなに好きか？」という問いかけをして、
自分のこれまで生きてきた人生の中で、指輪をつけた情景、憧れた情景を思い出しながら
「ないな」と、結論づけたのです。

指輪は、金でできていたので、お金にしやすく、
お店の人にも大変喜ばれました。

手放した瞬間は、妙に晴れ晴れとしました。
空が青く見えました。
モノが人の心を捉える力は、
その重さや大きさではないのだな、と思いました。

その時からすでに１０年以上たっています。
きっと先輩も幸せになっていると思います。