今年、93歳を迎える著者。今も何本もの原稿の締切りに追われ、徹夜もこなす。自分たちを養うための仕事を減らしてほしいと、長い間身の回りを世話してきた女性スタッフたちが懇願。辞めることに同意、「春の革命」と称して残った70歳近く年の離れた若い二人の娘との新たな日々。そこで繰り返される軽妙な会話とともに、両親や姉の思い出、結婚、出家などの半生が綴られていく。そして身内や連城三紀彦、井上光晴など数多くの交流と死を見つめる。だが、70歳を越えた頃から考えた自らの死は、51歳で出家したその時と悟る。暗く考えてしまうテーマだが著者の明るさか、気持ち良く読めた。義憤にかられての都知事選挙の細川氏応援も痛快だ。作詞したという宝塚歌劇100周年の祝典歌のタイトルどおり、これからも軽やかに『虹の橋渡りつづけて』行くのではなかろうか。