先日、ふたつの貴重な話を聞いた。一つ目は米軍基地拡張反対の砂川闘争を経て国家賠償請求訴訟を行なっている土屋氏の講演。一審で無罪となった基地内立ち入りが最高裁の差し戻しで破棄、罰金2,000円の有罪が確定。その後、米国公文書により裁判過程において最高裁長官と駐日米大使との間で日米安保条約に配慮する旨の密談がなされていたことが判明した。氏は今、憲法で保障された”公正な裁判を受ける権利を侵害された”として国家賠償請求訴訟を行なっている。88歳の老活動家の平和希求の原点は、自宅を空襲で焼け出されこと、終戦で灯火管制が無くなって家も外も電灯がついて明るくなったことだと言う。そして闘いを振り返りながら長続きのコツは、あきらめないこと、粘り強く闘うこと、明るく楽しくやることだと。友人が医療過誤裁判で提訴して6年、一審判決を不当として高裁の控訴審を今週に控えている。この話はぜひ傍聴支援を終えた後に伝えたい。次に登場した松元ヒロ氏は以前、テレビで一度だけ見た記憶があり、気になっていた政治風刺を得意とする芸人。最近の国葬、統一教会問題等で低空飛行中の岸田政権をはじめ、安倍・菅の歴代首相、自民党を滅多切り。面白おかしく、そして真面目に会場内を沸かす。テレビ局が出演させるはずがないことを生で実感。圧巻は、自らが「憲法くん」になり切ったコントと憲法前文を朗読するところ。国民主権と平和主義を高らかにうたった、あの全643文字をよく覚えたものと感服する。同時に、今さらながらの勉強不足、切々と訴える「憲法くん」に何が出来るのかを自問した。『<憲法前文>日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。』