この映画は2時間半と長尺だが、どこにも手を抜いたカット割は存在しないのでは無いでしょうか? 正直少し疲れました・・・
とことん自然光に頼った撮影方法。スクリーンに切り抜かれた一コマ一コマはまるで絵画のようで、朝日やマジックアワーと呼ばれる夕景を大事に
画面内に捉えることにより、展開されている物語の過酷さと自然の美しさが、一種の対比となっており、映画作品の中で一番美しいものではないかと
個人的に感じさえします。動きのあるシーンも本来なら避けなくちゃいけない・・・例えば俳優の息がレンズにかかり画面が白く曇ったりする場面も効果
的に見えます。最後の戦闘では2人の身体がカメラに当たり、画面が揺れてるのに何故かリアリティを感じました。
流石、今作でも撮影賞を獲った撮影監督「エマニュエル・ルベツキ」ですね。『ゼロ・グラビティ』『バードマン』と続き3年連続オスカーを獲得しただけあります
で、話はと言うと、細かな論理性や道徳的な教えなど、小賢しい言い訳でしかないとばかりに、自然の猛威と動物たちの生き様は、同じように「生きよ」と
視覚的に訴えかけてくる。クマの爪で背中を引き裂かれ、するどい牙でのど元を食いちぎられ、さらには全体重で抑え込まれるシーンは、こちらも声に
ならない声がもれてしまった。骨のきしむ音や折れる音がリアルで、思わず観ている私の顔もゆがむ。
ストーリーとしては単純な復讐劇となるが、それ以上にプロセスを大切に魅せる映画でした。
本来、しっかりと火を通すことでおいしくステーキとなる肉を、生肉状態でこれでもかと投げつけられる…そんな衝撃がありました。一見の価値ありでは?
全編の3分の2をうめき声だけで演じたディカプリオに脱帽。
この作品でオスカーを取れなかったならどんな役で取れるでしょう? 本当に素晴らしいの一言でした。 ★★★★★