『万引き家族』などの是枝裕和監督がメガホンを取った家族ドラマの特別編集版です
大女優のファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)が、自伝本「真実」を出版する。アメリカで暮らしている娘
のリュミール(ジュリエット・ビノシュ)、その夫のハンク(イーサン・ホーク)と娘のシャルロット
(クレモンティーヌ・グルニエ)らが出版を祝うため、彼女のもとに集まる。彼らは自伝の内容が気になって
いたが、それはファビエンヌとリュミールの関係をあらわにするものだった。
今までも観てきた是枝作品は好きなのですが、この作品は綺麗にまとまったな~と感じます。
カトリーヌ・ドヌーヴが樹木希林に見えるという話を聞いて居ましたが本当だった。
こう言う大女優いそうだよね、という。監督インタビューを読むとカトリーヌ・ドヌーヴ自身を
かなり反映させているということなので、それはそうか、と納得。
今作は深刻そうに見せたコメディであり、重くなりそうでならない・軽快・カトリーヌ・ドヌーヴと
ジュリエット・ビノシュの化かし合い。ダメ男の道化イーサン・ホーク。そこに加わる純粋なのか
強がりなのか分からない女の子。登場人物皆まとめて食わせ者。 「そういう世界」で生き残ってきた
母親の「強さ」を理解できない娘。ありがちな構図だしまあありがちな物語ではありますが、全員が
当たり前のように自分に振られた役割を演じ切っているところが凄い。 誰ひとりとして素直な感情を
出さない者たちが、ほんの欠片ずつ自分を見せてゆくさまが、安心と緊張感を与えてきます。
大女優ってやっぱり孤独なんだな...と思ったり。 多分親子が叫んだり泣いたり、感情を丸ごとぶつける
大騒ぎの映画にできたと思うんですが、そういうことをしないのが是枝作品ぽいなという気がしました。
あんまり深刻にならずクスクスとしながら人間関係の駆け引きを楽しむ作品だと思います ☆☆☆★