今日(6月27日)は、「日照権の日」
サラリーマンなどにとって、その一生の中でも重要な問題の一つに住居選びがあるだろう。殆どは、長い年月、その多額の購入資金返済の為にローンを組み大きな経済的負担となっている人が多いことであろう。そんな生活の為の絶対に不可欠な住宅選びに際しては、色々な条件があるであろう。返済などに関する金銭的な問題は別として、立地については、仕事や子供の学校、買物、病院の有無など交通の利便性また安全性など。それに風紀上の問題など居住地域の環境問題もある。そして、実際に自分達が住む住居に関して、日本の場合であれは、」「明るい」、「風通しが良い」、「静か」であるといったところが3大条件になるのではないだろうか。そのほかにも快適な生活の条件としては出来tれば「窓からの景観」や「プライバシーの保護」といったことも挙げられるだろう。
1972(昭和47)年の今日(6月27日)、違法建築の隣家によって日照を奪われた問題で、最高裁が「日照権と通風権が法的に保護するのに値する」という初めての判決を下し、日照権・通風権が確立した。これ以来、日照権が確立し、法的な保護が与えられるようになった。昭和40年代に中高層マンションが増加したことが裁判の原因であった。
以下参照。
大原社研_大原クロニカ『社会・労働運動大年表』解説編
http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/khronika/1972/1972_24.html
日照権とは、建築物の日当たりを確保する権利のこと。近隣に、マンションなど高層の建築物が立てられ、日当たりが阻害されることが予想される場合に、仮処分申請や損害賠償訴訟を起こす根拠となる。
憲法は国家の基本的な秩序を定めた最高規範であるということから、国のあり方つまり理念を表したものでもある。
日本国憲法では、この理念の中心に「個人として尊重」(13条)、「個人の尊厳」(24条)という個人の尊厳の原理(個人主義ともいう)を置く見解が一般的である(異説もある)。
第13条は、日本国憲法第3章になる条文の1つであり、個人の尊重(尊厳)、幸福追求権及び公共の福祉について規定している。
この中の「幸福追求権」は、新しい人権を導き出す論拠とされ、憲法制定以後の社会情勢の変化に伴い、この権利を根拠に様々な権利が主張されるようになったため、「ドラえもんのポケット」との比喩もあるそうだ。
初期の学説は、13条は14条以下の人権の総称規定であり、具体的権利性を否定するものであった。しかし、1960年代以降の経済・社会の変容は新たな権利を求めるようになり、また学説も次第に13条に具体的権利性を認める説が主流となってきた。第14条以下の各規定に具体的な根拠を求めにくいが憲法上の保護が認められるべき権利については、本条を根拠として憲法上保護された権利であると認められることがある。この権利を基にプライバシーの権利、肖像権、環境権など色々な権利が導き出されるが、これらの権利は、比較的その権利性が重視されるようになったのが最近であることから、「新しい権利」と呼ばれるものが多い。(新しい人権参照)。
この新しい人権の中の1つに「日照権」がある。日本では法政大学法学部の五十嵐敬喜教授が提唱し定着させた。
「環境権」は、公害防止・環境保全の立場から主張され、健康や福祉を侵す要因にわざわいされず、安全で快適な生活環境を確保しようとする視点から出てきた権利である。
大気・水・海水・日照・通風・景観等我々をとりまく自然(環境)は、公害や開発によって破壊が進んだ今日、人が健康にして文化的な生活、つまり人間らしい生活をする上で欠くことのできない貴重な環境資源ともいうべきものとなってきた。それゆえ自然の環境資源は、すべての人の共有財産で、良い環境を享受する権利は国民すべてに与えられるべきであり、それは、憲法13条や第25条にいう、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」によって保障されているものであるということになるのであろう。
人が人として幸福追求の権利として、あるいは健康にして文化的な生活を営む権利を有することは当然であるが、昨今は「人権のインフレ化」という現象が懸念されてもいる。
この日照について面白い落語があるらしい。私は聞いたことがないので知らないが、2003(平成15)年6月になくなられた五代目春風亭柳昇作の新作落語「日照権」だそうだ。
”高層マンション建設の計画が浮上し町内会が開かれる。町会長が「日照権が侵害されます。」と説明して意見を尋ねるが、「どうせ私は夜勤なので、昼暗いほうがありがたい。」と自分勝手な事を言う者、「太陽が南から照るから日照権が起るのでしょ。どうです。太陽を北から照らせては。」と馬鹿馬鹿しい意見を言う者。「そんなら、こっちもマンション建てりゃあいいんですよ。丁度100万円あるんだから。」と無責任な者ばかりで話がまとまらない。魚屋が地主に抗議に言っても逆に丸め込まれ入居してしまい、弁が立つと見えた者は憲法や民事訴訟法など振りかざすがチンプンカンプンの意見でみんな呆れてしまう。”・・・といった話だそうで、1970~80年代にさかんに言われだした環境権をテーマとしている。
この落語にも出てくるように、日照権は太陽の日照阻害つまり、簡単に言えば日陰がもたらす環境悪化現象である。日陰は、太陽の高度によって異なり、太陽の位置によって地上に投げかけられる陰の方向と長さは異なってくる。つまり、1日の間にどれだけの時間太陽の光を受けられるか、言い換えると1日に何時間日陰になるかという問題であるが、言い換えれば、太陽が高ければ、日陰は少ないし、太陽が低くなればなるほど影の長さは長くなってくる。これは、季節によっても、住んでいる地域によっても異なるものである。季節的には、冬至の日であり、太陰太陽暦では、冬至を含む月を11月と定義しているが一定しているわけではない。昭和40年代の建築基準法には、このような日陰に関するような取り決めがなかった。今でも、建築基準法では日照権を定めた記述はないようだが、「日影規制(建築基準法第56条の2:日影による高さの制限)」を設け、その建築物が周囲に生じさせる日影を一定時間以内に抑えるように規制を設けている。そこで、建物の高さ、形状と日影が最大となる冬至日の太陽の方位角と影の倍率(建築物の位置する緯度、経度により異なる)を要素に求めて作られた日影図(ひかげず、にちえいず)などが、建築に際の参考資料に加えられることになっているようだ。
我が家は、普通の一戸建て住宅であるが、前に住んでいた時の家は、鰻の寝床のように東西に長い家であった。しかも、南側が解放されていなかったので、普通は暗くなる家であるが、戦後に大工の棟梁が自分たちが住むために建てた家を買ったと親から聞いたが、よく出来ていて、東西の間に広く中庭を作り、表の玄関から中庭まで土足でそのまま行けるよう土間になっていた。中央のそこは、温室のように天上をガラス張りにしていたので明るかった。そこには、井戸もあり厨(台所)になっていた。玄関側の部屋からはそこを迂回して渡り廊下を通し奥の方の部屋に行くようになっていた。それだけの敷地が有ったから出来たことだが、本当に住みやすくつくられていた。また、今の家を私が新築したときには、まだ周りに家が建っておらず、しかも北側の道路が広く、日照権の問題となる北側斜線のことなどは考えずに、家を建てることができた。そして、周りに家が建っていなかったため、東西南北すべての部屋に隣近所の気兼ねをせず自由に大きな窓を付けられたので、明るいことこの上ない。小さな家では有るが、静かなところで、明るく、風通しの良い家を建てることが出来たのは、何より幸せと喜んでいる。しかし、なかなか、そのように自分の思うような立地で、住みよい家を作るのは、現実的にはなかなか難しい問題だよね。私などは、ついていたというか、非常に恵まれていたと思う。
(画像は、あるマンション。マンションの上層階などの北側が斜めにカットされているのは日照上の問題もある)
参考:
日照 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%85%A7
日本国憲法 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E6%86%B2%E6%B3%95
日本国憲法(条文)
http://www.houko.com/00/01/S21/000.HTM
主題別 判決一覧
http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~suga/hanrei/hanrei-top.html#kouhukutsuikyu
春風亭柳昇とは
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BD%D5%C9%F7%C4%E2%CC%F8%BE%BA
横浜市 まちづくり調整局 建築・宅地指導センター 建築環境課 日影規制
http://www.city.yokohama.jp/me/machi/center/kankyo/shigaichi/56no2.html
天文セミナー第113 『朔旦冬至』『日照権』
http://www.saji.city.tottori.tottori.jp/saji103/tayori/tayori146/seminar.htm
一般的にはこう考えます(京都市HP)
http://www.city.kyoto.jp/tokei/sinsa/13_soudan/0-5-7.html
[PDF] 日影の科学
http://sylph.fbc.hc.keio.ac.jp/itp/pukiwiki/index.php?plugin=attach&refer=%A5%AB%A5%EA%A5%AD%A5%E5%A5%E9%A5%E0&openfile=%C6%FC%B1%C6%A4%CE%B2%CA%B3%D8%A3%B1.pdf
サラリーマンなどにとって、その一生の中でも重要な問題の一つに住居選びがあるだろう。殆どは、長い年月、その多額の購入資金返済の為にローンを組み大きな経済的負担となっている人が多いことであろう。そんな生活の為の絶対に不可欠な住宅選びに際しては、色々な条件があるであろう。返済などに関する金銭的な問題は別として、立地については、仕事や子供の学校、買物、病院の有無など交通の利便性また安全性など。それに風紀上の問題など居住地域の環境問題もある。そして、実際に自分達が住む住居に関して、日本の場合であれは、」「明るい」、「風通しが良い」、「静か」であるといったところが3大条件になるのではないだろうか。そのほかにも快適な生活の条件としては出来tれば「窓からの景観」や「プライバシーの保護」といったことも挙げられるだろう。
1972(昭和47)年の今日(6月27日)、違法建築の隣家によって日照を奪われた問題で、最高裁が「日照権と通風権が法的に保護するのに値する」という初めての判決を下し、日照権・通風権が確立した。これ以来、日照権が確立し、法的な保護が与えられるようになった。昭和40年代に中高層マンションが増加したことが裁判の原因であった。
以下参照。
大原社研_大原クロニカ『社会・労働運動大年表』解説編
http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/khronika/1972/1972_24.html
日照権とは、建築物の日当たりを確保する権利のこと。近隣に、マンションなど高層の建築物が立てられ、日当たりが阻害されることが予想される場合に、仮処分申請や損害賠償訴訟を起こす根拠となる。
憲法は国家の基本的な秩序を定めた最高規範であるということから、国のあり方つまり理念を表したものでもある。
日本国憲法では、この理念の中心に「個人として尊重」(13条)、「個人の尊厳」(24条)という個人の尊厳の原理(個人主義ともいう)を置く見解が一般的である(異説もある)。
第13条は、日本国憲法第3章になる条文の1つであり、個人の尊重(尊厳)、幸福追求権及び公共の福祉について規定している。
この中の「幸福追求権」は、新しい人権を導き出す論拠とされ、憲法制定以後の社会情勢の変化に伴い、この権利を根拠に様々な権利が主張されるようになったため、「ドラえもんのポケット」との比喩もあるそうだ。
初期の学説は、13条は14条以下の人権の総称規定であり、具体的権利性を否定するものであった。しかし、1960年代以降の経済・社会の変容は新たな権利を求めるようになり、また学説も次第に13条に具体的権利性を認める説が主流となってきた。第14条以下の各規定に具体的な根拠を求めにくいが憲法上の保護が認められるべき権利については、本条を根拠として憲法上保護された権利であると認められることがある。この権利を基にプライバシーの権利、肖像権、環境権など色々な権利が導き出されるが、これらの権利は、比較的その権利性が重視されるようになったのが最近であることから、「新しい権利」と呼ばれるものが多い。(新しい人権参照)。
この新しい人権の中の1つに「日照権」がある。日本では法政大学法学部の五十嵐敬喜教授が提唱し定着させた。
「環境権」は、公害防止・環境保全の立場から主張され、健康や福祉を侵す要因にわざわいされず、安全で快適な生活環境を確保しようとする視点から出てきた権利である。
大気・水・海水・日照・通風・景観等我々をとりまく自然(環境)は、公害や開発によって破壊が進んだ今日、人が健康にして文化的な生活、つまり人間らしい生活をする上で欠くことのできない貴重な環境資源ともいうべきものとなってきた。それゆえ自然の環境資源は、すべての人の共有財産で、良い環境を享受する権利は国民すべてに与えられるべきであり、それは、憲法13条や第25条にいう、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」によって保障されているものであるということになるのであろう。
人が人として幸福追求の権利として、あるいは健康にして文化的な生活を営む権利を有することは当然であるが、昨今は「人権のインフレ化」という現象が懸念されてもいる。
この日照について面白い落語があるらしい。私は聞いたことがないので知らないが、2003(平成15)年6月になくなられた五代目春風亭柳昇作の新作落語「日照権」だそうだ。
”高層マンション建設の計画が浮上し町内会が開かれる。町会長が「日照権が侵害されます。」と説明して意見を尋ねるが、「どうせ私は夜勤なので、昼暗いほうがありがたい。」と自分勝手な事を言う者、「太陽が南から照るから日照権が起るのでしょ。どうです。太陽を北から照らせては。」と馬鹿馬鹿しい意見を言う者。「そんなら、こっちもマンション建てりゃあいいんですよ。丁度100万円あるんだから。」と無責任な者ばかりで話がまとまらない。魚屋が地主に抗議に言っても逆に丸め込まれ入居してしまい、弁が立つと見えた者は憲法や民事訴訟法など振りかざすがチンプンカンプンの意見でみんな呆れてしまう。”・・・といった話だそうで、1970~80年代にさかんに言われだした環境権をテーマとしている。
この落語にも出てくるように、日照権は太陽の日照阻害つまり、簡単に言えば日陰がもたらす環境悪化現象である。日陰は、太陽の高度によって異なり、太陽の位置によって地上に投げかけられる陰の方向と長さは異なってくる。つまり、1日の間にどれだけの時間太陽の光を受けられるか、言い換えると1日に何時間日陰になるかという問題であるが、言い換えれば、太陽が高ければ、日陰は少ないし、太陽が低くなればなるほど影の長さは長くなってくる。これは、季節によっても、住んでいる地域によっても異なるものである。季節的には、冬至の日であり、太陰太陽暦では、冬至を含む月を11月と定義しているが一定しているわけではない。昭和40年代の建築基準法には、このような日陰に関するような取り決めがなかった。今でも、建築基準法では日照権を定めた記述はないようだが、「日影規制(建築基準法第56条の2:日影による高さの制限)」を設け、その建築物が周囲に生じさせる日影を一定時間以内に抑えるように規制を設けている。そこで、建物の高さ、形状と日影が最大となる冬至日の太陽の方位角と影の倍率(建築物の位置する緯度、経度により異なる)を要素に求めて作られた日影図(ひかげず、にちえいず)などが、建築に際の参考資料に加えられることになっているようだ。
我が家は、普通の一戸建て住宅であるが、前に住んでいた時の家は、鰻の寝床のように東西に長い家であった。しかも、南側が解放されていなかったので、普通は暗くなる家であるが、戦後に大工の棟梁が自分たちが住むために建てた家を買ったと親から聞いたが、よく出来ていて、東西の間に広く中庭を作り、表の玄関から中庭まで土足でそのまま行けるよう土間になっていた。中央のそこは、温室のように天上をガラス張りにしていたので明るかった。そこには、井戸もあり厨(台所)になっていた。玄関側の部屋からはそこを迂回して渡り廊下を通し奥の方の部屋に行くようになっていた。それだけの敷地が有ったから出来たことだが、本当に住みやすくつくられていた。また、今の家を私が新築したときには、まだ周りに家が建っておらず、しかも北側の道路が広く、日照権の問題となる北側斜線のことなどは考えずに、家を建てることができた。そして、周りに家が建っていなかったため、東西南北すべての部屋に隣近所の気兼ねをせず自由に大きな窓を付けられたので、明るいことこの上ない。小さな家では有るが、静かなところで、明るく、風通しの良い家を建てることが出来たのは、何より幸せと喜んでいる。しかし、なかなか、そのように自分の思うような立地で、住みよい家を作るのは、現実的にはなかなか難しい問題だよね。私などは、ついていたというか、非常に恵まれていたと思う。
(画像は、あるマンション。マンションの上層階などの北側が斜めにカットされているのは日照上の問題もある)
参考:
日照 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%85%A7
日本国憲法 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E6%86%B2%E6%B3%95
日本国憲法(条文)
http://www.houko.com/00/01/S21/000.HTM
主題別 判決一覧
http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~suga/hanrei/hanrei-top.html#kouhukutsuikyu
春風亭柳昇とは
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BD%D5%C9%F7%C4%E2%CC%F8%BE%BA
横浜市 まちづくり調整局 建築・宅地指導センター 建築環境課 日影規制
http://www.city.yokohama.jp/me/machi/center/kankyo/shigaichi/56no2.html
天文セミナー第113 『朔旦冬至』『日照権』
http://www.saji.city.tottori.tottori.jp/saji103/tayori/tayori146/seminar.htm
一般的にはこう考えます(京都市HP)
http://www.city.kyoto.jp/tokei/sinsa/13_soudan/0-5-7.html
[PDF] 日影の科学
http://sylph.fbc.hc.keio.ac.jp/itp/pukiwiki/index.php?plugin=attach&refer=%A5%AB%A5%EA%A5%AD%A5%E5%A5%E9%A5%E0&openfile=%C6%FC%B1%C6%A4%CE%B2%CA%B3%D8%A3%B1.pdf