「奥の細道」より
半紙
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三日、雨風あれて、
よしなき山中に逗留す。
蚤虱(のみしらみ)馬の尿(しと)する枕もと
【口語訳】
風雨が激しくなって、出立ができず、
日の暮らしようもないこの山中に、三日もとどまってしまった。
「句」
一晩中蚤や虱にせめられ、
枕元では馬がおしっこをするような宿りをすることである。
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有名な、松嶋、中尊寺のあたりはとばして、
「岩手の里」から「出羽の国」へと向かう途中の難儀。
この句が昔から妙に好きです。
いいことは何もなく、ただ辛いだけなのに
ぜんぜん深刻になっていない。
難儀を楽しむ風情さえあります。
これが俳諧の真骨頂というものでしょう。