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一日一書 892 盲目の秋 2・中原中也

2016-05-25 15:48:07 | 一日一書

 

中原中也「盲目の秋」より

 

これがどうならうと、あれがどうならうと、
そんなことはどうでもいいのだ。

これがどういふことであらうと、それがどういふことであらうと、
そんなことはなほさらどうだつていいのだ。

人には自恃(じじ)があればよい!
その余はすべてなるまゝだ……

 

半紙

 

水彩画用の筆で

 

 

「盲目の秋」の第2章。

 

全文は以下の通りです。

 

これがどうならうと、あれがどうならうと、
そんなことはどうでもいいのだ。

これがどういふことであらうと、それがどういふことであらうと、
そんなことはなほさらどうだつていいのだ。

人には自恃(じじ)があればよい!
その余はすべてなるまゝだ……

自恃だ、自恃だ、自恃だ、自恃だ、
ただそれだけが人の行ひを罪としない。

平気で、陽気で、藁束(わらたば)のやうにしむみりと、
朝霧を煮釜に填(つ)めて、跳起きられればよい!

 

 

「自恃」とは「自分自身をたのみにすること。自負。」の意。

生きているといろいろなことがあって、なんやかやと悩まされます。

そういうとき、この詩句を呪文のように唱えたくなります。

「自恃があればよい」と言うけど、そう簡単には「自恃」は持てない。

どうしたって「自己嫌悪」に負けてしまうものです。

だから忠也は心の中で何回も叫ぶわけです。

「自恃だ、自恃だ、自恃だ、自恃だ、」と。

「なんだか自信が持てないよ」と呟く一方で、そうやって自分を励ましていたのでしょう。




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