三好達治「一枝の梅」より
半紙
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一枝の梅
嘗て思つただらうか つひに これほどまでに忘れ果てると
また思つただらうか それらの日日を これほどに懐しむと
いまその前に 私はここに踟蹰(ちちゅ)する 一つの幻
ああ 百の蕾(つぼみ) ほのぼのと茜さす 一枝の梅
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「踟蹰(ちちゅ)する」とは「ためらう」の意。
結構むずかしい詩ですが、「忘れる」と「梅」の取り合わせは
百人一首の紀貫之の歌
「人はいさ心も知らずふるさとは 花ぞ昔の香ににほいける 」を思い起こさせます。
そんな関連で作った詩なのでしょうかね。
いずれにしても、最初の2行だけの方が分かりやすい。
少なくともぼくにとっては日常茶飯事ですから。