北原白秋「北斎」より
半紙
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北斎
一心玲瓏
不二ノ山。
桶屋箍(たが)ウツ桶ノ中二
白金玲瓏
天ノ雪。
思ヒツメタル北斎ガ、
真実心(しんじつしん)ユヱ、桶ノ中二
光リツメタル天ノ不二。
北斎思ヘバ身ガ痩スル。
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北斎の有名な「富嶽三十六景・尾州不二見」の絵を見ての作でしょう。
これです。
ここに、白秋は、北斎の芸術家としての厳しい思いを感じているわけです。
白秋という人も、
面白い感じ方をする人です。
この桶屋の仕事というのは
本当に見事なもので
こうやって接着剤もつかわずに
板をつなげて、箍で絞めると
水は一滴も漏れないのです。
この仕事に、白秋は感動してもいるのでしょう。
ぼくが生まれ育った町にも、近くに桶屋があり
その仕事をよく見ていたものです。