芭蕉
若葉して御めの雫ぬぐはばや
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目にしみいるような若葉を見ると
いつもこの句が思い浮かびます。
意味は、
「このしたたるような若葉で、御目もとの雫をぬぐってさしあげよう。」
「若葉して」の「して」の解釈が二通りあり
一つは「あたり一面若葉がしげり」とする説、
もう一つは、「若葉をもって」「若葉で」とする説。
どちらでも意味はとれますが、
最初の方がいいですね。
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鑑真の像を見た芭蕉はこの句の前にこんなふうに書いています。
唐招提寺鑑真和尚来朝の時、船中七十余度の難をしのぎたまひ、
御目のうち塩風吹き入て、終(つひ)に御目盲(しひ)させ給ふ尊像を拝して、
この鑑真和尚の像は長いこと拝観できず
生きているうちには拝観できないだろうと思っていたのですが、
唐招提寺の改修の折、初めて東京へやってきたのでした。
その時の感動は、いまも忘れません。
こちらがその時の感想文「鑑真あるいは冬のケヤキ」です。