Yoz Art Space

エッセイ・書・写真・水彩画などのワンダーランド
更新終了となった「Yoz Home Page」の後継サイトです

一日一書 904 方丈記 2

2016-06-08 19:36:25 | 一日一書

 

「方丈記」より

 

半紙

 

 

世の中にある人と栖(すみか)とまたかくのごとし。

たましきの都のうちに棟を並べ、甍(いらか)を争へる

高き賤しき人の住ひは世々を経て尽きせぬものなれど

これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家は稀なり。

或は去年(こぞ)焼けて今年作れり。

或は大家ほろびて小家となる。

住む人もこれに同じ。

 

【口語訳】

世間の人を見、その住居を見ても、やはりこの調子だ。

壮麗な京の町に競い建っている貴賤(きせん)の住居は、

永久になくならないもののようだけれども、

ほんとうにそうかと一軒一軒あたってみると、

昔からある家というのは稀だ。

去年焼けて今年建てたのもあれば、

大きな家が没落して小さくなったのもある。

住んでいる人にしても、同じこと。



先日、鎌倉生涯学習センターで、熊本支援チャリティー上映会として

行定勲監督の「うつくしいひと」という映画を見ました。

この映画は、熊本県が県のPRとして資金援助して作成された短編のドラマですが、

完成したのが、今年の春。

その直後に熊本地震が起きたのでした。

映画の中には、壮麗な熊本城の天守閣や、石垣が印象深く登場するのですが

もう、その景色は当分見ることができないのです。

完全修復には20年もかかるとのことで、ぼくなど生きているかどうか。


日本に生きていると、

やはりこの「無常(すべては変化する)」を実感せずにはいられないようです。

 

 

 



 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする