加舎白雄
かたつぶり落ちけり水に浮きもする
半紙
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加舎白雄を知ったのは、どういうきっかけだったのか忘れましたが
『白雄の秀句』(矢島渚男 やじま・なぎさお 著 角川書店)という本が
手元にあって、それで主に読んでいます。
この句について、矢島さんがこんな解説を書いています。
「カタツムリがころっと落ちたかと思ったら水に浮かんだ、というそれだけのことであるが、
自然発見の驚きがういういしい。今日では取りたてて云々することもない作であろうが、
当時としてはこんな純真で飾り気のない作品は珍しい。」
加舎白雄(1738~1791)は、あまり知られていませんが、江戸時代中期の俳人。
与謝蕪村(1716~1784)と同時代人と言っていいでしょう。
矢島さんが「当時としては」というのは、江戸時代中期のころとしては、の意味になります。
「純真で飾り気がない」ものは、時代を超えて新しいのではないでしょうか。