斎藤茂吉
最上川のほとりをかゆきかくゆきて小さき幸をわれはいだかむ
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茂吉が山形県の大田原に疎開中に詠んだ歌は、歌集「白き山」に収められています。
東京青山の自宅は、空襲で全焼し、疎開中の茂吉は肋膜炎にもかかり
まさに失意の中にあった茂吉を再び短歌創作へと駆り立てたのは
最上川を中心とする故郷の自然だったのでしょう。
とぼとぼと最上川のほとりを歩きながら
「小さき幸」を探し求める茂吉の心境は、やはり「老境」のものでしょうか。
この時、茂吉は64歳でしかないのですが。