夕螺の一言日記

毎日心に浮かんだことなどを書いてみたいと思います。。。(2014年3月13日開設)

2014年11月 5日(水)「商品の価値低下(2)」

2014年11月05日 22時40分50秒 | 「政治・経済」
先に書いた商品の価値低下の中身をもう少し見てみると、生産性の向上は同じ労働力量でより多くの商品を生産することにある。ここではどのようなことが起きるかというと、企業が支出する賃金部分は同じであるが生産設備や原材料などへの支出は増えます。これは可変資本は同じだが不変資本は増大をしているということで、可変資本に対する不変資本の割合である「資本の有機的組成」が高度化したこととなります。
この資本の有機的組成の高度化の結果は商品の価値と使用価値量の二面性において現れる。
一つは同じ労働力量でより多くの商品が生産されるので一つあたりの商品の価値は低下をする。
二つ目はより多くの商品に同じ労働力量しか必要としないわけですから価値低下をした商品の商品自身の姿である使用価値量が増大するということです。使用価値は有用性といってもよいですが、商品がその有用性において消費される商品の姿そのものです。使用価値の増大は商品量の増大として現れる。
より価値の下がった商品がより多く市場に投入されるという結果が資本の有機的組成の高度化の姿です。
では企業はより多くの商品を市場に投入したわけですから利潤が高くなるはずですが、しかし同じ可変資本量(労働力量)しか用いていないのですから商品総体の価値量には変化がない。ですから企業の利潤は増えないのです。
しかし先日の「商品価値の低下」でも書いたように資本の有機的組成の高度化(企業は生産性の向上)を利潤を高めるために行う。それは同じ産業内の競争相手が生産性の向上に後れを取っているならば、市場においてはその競争相手の商品価値と同じ価格で売ることができるという特別剰余価値の生産があるからです。少ない価値量の商品をより高い価値量の商品と同じ価格で売れるならば生産性の向上を先に行った企業の利潤は増えるでしょう。この競争が資本主義の経済成長のからくりです。
しかしここで先に書いた資本の有機的組成の高度による二つ目の結果である価値低下を起こした商品量の爆発が起きるとしたらどうなるでしょうか?それは過剰生産です。
市場に莫大な量の商品が流れて消費されなくなるとそれ以上の企業間競争は起こらずに生産性の向上も起こらなくなります。産業全体で商品価格は価値に近づく。これがその産業内での兵平均潤平均利潤の形成と利潤率の低下を引き起こす。
生産は縮小をしていく。すなわち成長が止まるわけです。このことが全産業に起こった場合はどうなるでしょうか?経済の停滞と商品価格の下落です。それが企業の利潤率のさらなる低下を引き起こす。
ここに現れるのは貨幣量の減少ではなくて貨幣(資本)の回転が鈍くなるということです。
銀行には有り余った貨幣が蓄積してそれを借りる企業が少なくなる。金融市場でも貨幣(資本)の回転が鈍くなる。それは銀行の利益を圧迫するでしょう。
コメント
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