子供時代の親からの虐待が原因の頭部外傷に由来する前頭葉の未発達から、
欲望や衝動を抑えられない凶悪犯ジェリコ(ケビン・コスナー)の脳に、
殺害されたCIAエージェントの記憶を得るためにその神経回路の構造を移して、
テロリスト集団より先にキーマンであるハッカーを拘束しようという話だが、
短絡的で衝動的な犯罪者から、少しづつCIAエージェントの理性と記憶を浮かび
上がらせていく、ケビン・コスナーの演技が上手くはまっている。
「アンタッチャブル」(1987)でメジャーになってからも、その容貌から、犯罪者などの
役柄ではイマイチはまらなかったのだが、今回は粗暴な犯罪者が戸惑いながら
移された記憶から来る知識や理性を自覚していく所が上手くいっている。
そして知識や理性が内部に移されても、20歳位の若者をためらいなく
頭部を撃って射殺するような女テロリストに対しては、相手が倒れて動けなくなってからも、
頭部を鈍器で滅多打ちにして殺害したり、
殺害されたCIAエージェントの妻娘を人質に取るテロリストには、勝算が無さそうでも
単身向かっていく純朴さを残している所が良かった。
児童虐待や頭部外傷による脳の発達阻害、ハッキングによるテロなど、
現代的テーマを上手く反映させたアクション映画である。