リッチモンド・フォンテーンというバンドにいたウィリー・ブローティンさんの2010年の小説が原作の映画です。
イギリス人のアンドリュー・ヘイ監督が原作を読んで映画化したとの事です。
小さいころに母親が家を出て行き、父親と二人で各地を転々として暮らす15歳のチャーリーですが、
車のタイヤを交換しようとしていた馬の調教師(スティーブ・ブシェミ)に偶然声を掛けられ、
タイヤの交換を手伝ったことがきっかけで競走馬の世界に関わります。
そして父親が怪我で入院をしたことで、そちらで過ごすようになりますが、
馬のピートが処分されそうになったことから、ピートを連れて出ていきます。
そしてピートを連れてアメリカの荒野を伯母さんの住むワイオミング州に向かう話です。
チャーリーは年齢的に、社会的養護の対象になりますが、保護施設につなごうとする
医師や警官から逃れて、馬のピートと荒野を進みます。
途中でトレーラーハウスに住む男性に水をもらったりしますが、その男性が親族と話す内容は
凄惨なものなので、帰還兵だったことが解ってきます。
チャーリーが荒野を抜けて街についても、テントや車で暮らしている人が多く、
その中で暮らすようになります。
そして偶然炊き出しで出会ったキャンピングカーで暮らすカップルに泊めてもらい、
メキシコ人達と働いて報酬のお金を得ますが、泥酔したカップルの男性の方に奪われたので、
近くの車からレンチを取りそれで相手を殴りつけて奪い返します。
レンチで殴るので、相手が死んでもおかしくない状況です。
チャーリーは馬のピートが処分されることを受け入れられないような優しさがありますが、
ちょっとしたことで自分が他人を死なせかねない暴力行為をすることになります。
映画の中で、社会保障に頼るのを良しとしない米国の価値観が、チャーリーをとても縛っていますが、
それなりに社会保障の厚い英国出身のアンドリュー・ヘイ監督から見ると、
米国自体が荒野と感じられるのかもしれません。
先進国はどこも、需要の弱さからデフレ傾向のようですが、何のための供給力なのかと
考えさせられました。