いろいろな多くの資料を上手くまとめて小説にしていますが、
捕虜や民間人が虐待されたりするごとに、その都度色々と考えたりするというところは、
現代ロシアでもプーチンが支持されていて、全体主義的なところの多い
国家が続いている事と相容れない描写でした。
主人公の少女自身、ソ連の農村で生まれ育ったので、物質的にとても貧しいという
背景があるはずですが、それも感じさせない内容でした。
さらにソ連兵なのに「飯を食らう」という表現などは、感覚的なところで著者が
違う時代や状況への想像力をあまり持てていない感じを与えました。
全体的に安全で物に溢れた現代の日本の感覚から出ないで書かれた感じのする
一冊でした。