遊牧民はおもに、牛、馬、羊、山羊、ラクダの5家畜を扱い、その中でモンゴル人が一番多く食べるのが羊です。
その羊の解体を目の前で見せてもらいました。生きている羊を殺すわけであって、『うわぁ~、残酷 、正視できない』
なのですが、これが人間が生きていくうえでの現実です。きれい事を言っていては生きられません。
そして特筆すべきは、モンゴル人の家畜に対する愛情ともいえる、解体の方法です。
モンゴル人は血を一滴も流さずに、家畜に与える苦しみをできるだけ軽減してあげる方法で、解体します。
これぞ、まさに職人技!
まず、羊のお腹に10センチぐらいの切り込みを入れ、そこから手を入れて動脈をカットすると、
泣き声を上げることもなく、抵抗もせず、わずか1分ぐらいで静かに成仏します。 南無阿弥陀仏…。
そして羊の毛皮を丁寧に剥ぎ取り、内臓を取り出して、内臓と肉に分解します。見ての通り血は一滴も流れず、
血は内臓と一緒にお鍋の中に収まりました。
モンゴル人はほぼ全ての部位を丁寧に、大切に食べるようで、捨てるところはほとんどないと聞きました。
解体は男性の仕事ですが、その後の処理は女性の仕事になっていて、ここから先は奥さんが丁寧に下処理をし、
腸に入っているものや、胃の中に詰まっている草などを丁寧に何度も洗って調理できるようにします。
解体をしてくれたのは、この家族の叔父さん(31歳独身)で、上半身裸で、くわえ煙草をしながら、寡黙に黙々と
解体作業を進めていく様は、これぞモンゴルの強い男、男の中の男! と女子の間での評価はうなぎのぼり!!
だったのですが、女心は複雑、この後彼の評価はあることがきっかけで下がってしまうのです(苦笑)
そしてこのお肉がどうなったかと言うと、レストランに持ち帰ってこうなりました。この日のディナーです。
モンゴルの羊肉は臭みがなくて、柔らかくて、塩ゆでしただけのシンプルな料理でしたが美味しかったです。
羊さんに感謝!