乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

ウォーター・ワールド

2006-06-30 | 映画
      ウォーター・ワールド





               満足度 ★★★★☆

               感動度 ★★☆☆☆






               監督   ケヴィン・レイノルズ

               1995年   アメリカ   135分

              キャスト  ケビン・コスナー
                    デニス・ホッパー                   
                      ジャック・ブラック
                             他






 近未来SF映画。

 地球温暖化などの理由で環境破壊の末、地球に大洪水が起こる。

 陸地は海の底、世界はすっかりと変わり果て、残された少しの廃棄物をつなぎ合わせたような陸状態うをなす船舶で生き残った人は生活していた。

 文明と共に漂流を余儀なくされた彼らは海中から引き上げられた既に消滅した世界の残骸から、巨大な人工の浮遊都市を築くことに成功していた。




 地球の形態も恐ろしく長い年月の流れとともに、進化した(人間はもともとは魚から進化を遂げたことから考えると、進化という言葉は適当ではないのでしょうけれども、とにかく想像上の)人間ともいえる半漁人(ケビンコスナー)が一人で手作りの船舶にのって海での生活していた。




 一方少女の背中には解読不能の地図の刺青。

 底を目指せばグリーンランドにたどり着くことができると人々は信じていた。





 グリーンランドを巡ってのトラブルや争い、女とケビンコスナー或いは少女とケビンコスナーとの種を超えた命がけの人間愛



 とにかく痛快で面白く、スカッとする満足殿高い映画でした。








 この映画でとても気に入った点があります。

 色彩も美しいのですが、造形美はなんともいえなく美しい。


 新しいブリキなどをしようしているのですが、さび表現や古さ、寄せ集めの美学を見事に表現されており、まるで動くできの良い立体造形をみているようでした。なんだか『ポンピドゥーセンター』の作品を観ているようで、興味深く楽しめました。




 衣装も同様、道具がない世界で工夫を凝らし、縫い目はゆがみ、色彩はぼかされてこれがまた美しい。メイクも好きでした。






 ていうか・・・・


 ケビン・コスナーとデニス・ホッパーがとても素敵でした・・・



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青の瞬間(toki)

2006-06-29 | 映画

     青の瞬間(toki)




            

                満足度 ★★☆☆☆

                2001年 日本

                監督・脚本 草野陽花

                キャスト 郭智博(カク トモヒロ)
                     柳沢真理亜
                     伊藤淳史
                     世良公則
                     岸部一徳   他










 島根県西ノ島の中学3年生の達夫は、島から出たいと漠然と願う。

 悪友の賢一と砂浜の小屋でだらだらとした単調な毎日を送っていた。



 冬休み、秘かな想いを寄せていた加奈恵の家のスナックでバイトすることになった。

 車椅子生活を送る加奈恵と、バイト後は一緒に散歩に出かけるのが日課となる。

 中学生の達夫は加奈恵と初めてのキスを体験する。

 しかし加奈恵との関係をよからぬ男に聞かされた達夫は失望感に駆られ、加奈恵に重秋とのことを確かめる。

 すると加奈恵はすんなりとそれを認めるのだった。




 やり場のない想いを抱え、本土へ重秋を殴りに行く達夫。

 次の日、重秋は仕返しにやってきて、ボコボコになぐられてしまう。

 達夫は自分に言い聞かすように、彼らに言葉を投げ捨てた。
「俺はここから出て行ってやる…」



 


 3月、東京の高校に合格した達夫は、久しぶりに加奈恵と夜の散歩に出かけた。

「海に入ってみたい」
加奈恵は懇願する。

 加奈恵を背負って海に入る達夫。

「もっと深く。」
「これ以上はいけない、溺れてしまう…」
「お願い…」





(彼は東京の高校に行く。しかし、私はここから、そしてこの運命から逃れることはできない。)





 加奈恵は絶望と悲しみの頂点に達し、初めて精神的につながった友情或いは愛情を感じる彼を道連れに、自殺しようと試みる。




 数日後、「何故彼女は死のうとしたのか」「何故自分は東京へ行くのか」、若さ故の不安を抱えながら、達夫は東京へ向かう電車に乗った。


 彼女はいつものように車椅子に座り、部屋の窓から彼が乗っているであろうJRに向かってつぶやいた。


「ここから出て行くことはできないのよ…」



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家計からみる日本経済

2006-06-28 | 読書全般(古典など以外の一般書)
     



    記録

     家計からみる日本経済





              著者  橘木 俊あき

              (株) 岩波書店

              2004年1月20日 第1刷発行

              700円+消費税





 興味深く読みました・・・

 ためになるところが2箇所ほどあったので、時間つぶしに読んだ本ですが、得をした気分です。
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雨に唄えば /  Singin’ In The Rain

2006-06-22 | 映画
      雨に唄えば





             満足度★★★★★   99、99999点

                           おまけ  + ★






           アメリカ 1952年 102分

           監督  ジーン・ケリー スタンリー・ドーネン

           脚本  アドルフ・グリーン ベティー・コムデン



 

          キャスト
                ジーン・ケリー 
                デビー・レイノルズ 
                ドナルド・オコナー 
                シド・チャリッジ



 

 この映画は大好きな作品の一つです。

 始めてみたのは中学生の頃だったでしょうか。

 5度ほどは観たかもしれません。

 特にジーン・ケリーが雨の中をタップダンスをしながら唄うシーンは心に残る一こまです。


 曲は『雨に唄えば』




 ドン(ジーン・ケリー)は自分でウンを切り開き、トップスターとなる。

 ドンとリナ(ジーン・へーガン)は無声映画の人気スター。

 世間では結婚間じかの銀幕のカップルと思われているが、実のところはは宣伝部用。
  
 リナの心とは裏腹に、ドンの心は彼女には向いてはいなかった。






 ある夜ファンに囲まれたドン。

 逃げ、飛び乗ったコーラスガールの車はキャシー(デビー・レイノルズ)のものでした。

 本当はドンの大ファンのキャシーでしたが、ドンの傲慢な態度に心とは裏腹の言動をとる。




 女性に初めて冷たくされたドンはキャシーに気を引かれ始める自分に気づく。




 そのころドンとリナの新作映画の撮影が始まっていたが、ライバル社のトーキー映画が大ヒットし、映画は中断。

 トーキーに変更することになる。




 ところがリナの悪声と台詞、歌は使い物にならない。

 技術的な不安を残しながらも強行し制作した映画は大失敗におわり、ドンは落ち込むが親友のコズモ(ドナルド・オコナー)に名案に助けられる。

 リナの吹き替えをキャシーがする。

 これは受けると会社を含めたみんなが喜ぶ。

 しかし・・・・それを知ったリナは怒リだす。




 何とかいい含め出来上がった映画は最高に楽しめるものであった。

 リナは自分の功績だと主張し、キャシーを自分の吹き替え専門にするといい始める。

 どんの心がキャッシーに向いているジェラシーから、彼女の将来をついばもうと悪だくみをはじめる。




 完成した映画の初日の会見ではおごりの絶頂に達していたリナは、観客の前で自分が挨拶を述べつといって聞かない。

 彼女の傲慢な態度に平行していたドンや制作会社関係者は、意図的に彼女の思いのままにさせる。

 だが・・・・



 彼女の会見の声と、先ほどまでのうっとりと聞きほれていた声とはまるで別人。

 客席のみんなは口々に彼女に歌うように強要する。

 彼女はキャシーにカーテンの奥で歌わせ、自分は前に立ってクチパクデ唄うまねをする。

 曲名はここでも
『雨に唄えば』



 曲のちゅうばんに差し掛かった頃、ドンや社長は後ろの幕を引いて、本当の声の主を暴露する。






 リナは舞台の上手すそに・・・・


 キャシーは客席を走り去る。

 ドンは叫ぶ、
「誰か、彼女を止めて・・・」
 キャッシーの目には涙。




「皆さん、今日のこの映画の主役は、彼女です。」
観客は満場の拍手。
 ドンは舞台の上から彼女に手を差し伸べる。
 微笑む彼女。




 ドンは彼女のために歌いだす。

 彼女も答えて歌いだす。

 そして、舞台の上で二人は美しく抱擁する。





 このように書くとただの愛のストーリーのようですが、この映画の面白さは他にいっぱいあるのです。






 ジーン・ケリーは格好が良く、上品。ドナルド・オコナーの喜劇性とタップダンスは一級品のように感じます。

 この二人の各自のおどり、加えてタップをあわせて踊るシーン、加えてキャシーの3人でのタップダンスシーン。

 何度みてもワクワクしてしまいます。






 この映画は1952年に製作されたにもかかわらず、衣装が素敵。


 作品の構成も色彩もライトもぬもず界も風の使い方も素晴らしい。


 映画のセットは舞台を見ているようで平面の中に奥行きを作り出し、まるで上質の舞台を見ているような錯覚に陥ります。






 また俳優の各自の持ち味の上手さは魅力敵です。


 タップが上手い。

 歌が上手い。

 喜劇の上手い役者さんやバレーの上手い女優さん・・・・

 この映画の好きなところを書き出せば、きりがありません。

 舞台をみるのが好きな私にはたまらない一作品です。


 見終わった後、一人ほくそ笑んでしまう、そんな映画のように思います。


 人を幸せにしてくれる映画や芝居っていうのも、良いものですね。









 たいへん丁寧に制作された上質の喜劇性を含んだ広がりのあるミュージカル映画のように感じます。

                  

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しゃばけ

2006-06-19 | 読書全般(古典など以外の一般書)
     しゃばけ




 

                   畠中 恵作


                   2001年 12月 20日 発行

                  (株)  新潮社

                   250ページ

                   1500円+税





 とにかく痛快で面白い。




 仁吉の台詞の言い回しがどうしても かぶき役者のかんざぶろうさん とかぶってしまう


 若旦那は みつごろうさん の姿を思い浮かべて、先を進んだ。


 他にも  やじゅうろうさん たのすけさん ははずせない。


 饅頭屋の跡継ぎはそめごろうさん。


 饅頭屋の妹は  きくのすけさん  といきたいところですが、この小説のイメージでは しちのすけさん がぴったりかもしれない。

 おっと、切りつけてくる得体の知れない男はにざえもんさんってとことか。


(にざえもんさんは個人的に好きなので、こじつけでも登場していただこうっと・・・)

 





 舞台の様子まで思い浮かべられるこの小説は、また違った意味で二倍楽しめました。






 民話を読むときと同様、語り口調で先に進むと、イメージの広がる作品で、楽しくって満足しました。





 理屈抜きでおなかを抱えて笑える、大衆小説。

 本当に、面白かったヮ、この本・・・

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溺れる魚

2006-06-19 | 映画
     溺れる魚




             楽しめど   ★★☆☆☆






               2000年   日本 101分

               監督    堤幸彦

               脚本    横谷昌宏

             キャスト    椎名桔平
                      窪塚洋介
                      仲間由紀恵
                      IZAM 他






 初めこの映画を見る前は題名から考えて、『水にないプール』のようなイメージを持って楽しみにしていました。


 ところが空けてみてビックリ。おもちゃ箱をひっくり返したようなハチャメチャでサイケデリックな画面。


 コマーシャルフィルムのつなぎ合わせのような出だし、は結構好きでした。






 3分の2あたりからがらりと雰囲気は変わり、警察権力の腐敗風刺化と思いきや、なんだか私には理解できない、最近観た中で一番難解な映画かもしれない。





 何のことはない、楽しければいいや。


 椎名桔平など男前は多いし、窪塚洋介の助走はかわいいし、IZAM もいい感じ。

 特にIZAMが病的な登場人物の性格上ぴったりと合っていたような気がする。

 仲間も格好がいいが残念なのは『トリック』と完被りしている点。

 でも・・・好きだな、彼女。





 なんだか今回珍しくあらすじを書く気にはならない映画でしたが、とにかく面白かった。


 映像や色感が斬新で、結構イメージが広がった一作品でした。



 ・・・ということで・・・・

 面白かった。






 

 

 



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KABUKI かんしょう教室のパンフレット

2006-06-18 | 舞台・音楽 雑感メモ
     KABUKI かんしょう教室のパンフレット





 KABUKI かんしょう教室にいってみました。

 いつもなら1500円~2000円前後で購入する番付の小型のものが、全員に配布されていました。

 私はかんしょう教室は初めてでしたので、このような立派なパンフレットを頂戴して、大変感激してしまいました。

 


 まず驚いたのは表紙と裏表紙。

 とても素敵なパンフレットで、がとうさんもきちやさんもとての格好が良く美しく素敵です。

 お二人のバックにはNARUKAMI(雷)そのバックには がとうさんの隈取りした格好のようお顔が大きくデザインされています。

 あまりの表紙の美しさにうっとりと見とれておりました。

 



 まだ読んではおりませんが中には解説やみどころ、あらすじ、漫画で描かれたあらすじ、英語解説、そしてこれまで開催されたかんしょう教室三十回全演目と出演者などが載せられていて、とても親切です。

 



 しかし一番驚いたことは、『NARUKAMI』の上演台本が載っていたことでしょうか・・・



 私は嬉しくて嬉しくてここの部分だけは小さな声を出して、何度も読んでしまいました。

 これで私もかぶき役者・・・って感じで、悦に浸っております。

 かぶきが日常生活に溶け込んで、幸せな気分です・・・・


 




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ナルカミ

2006-06-18 | 歌舞伎
      ナルカミ







 第一回かぶきかんしょう教室に行ってみました。

 かんしょう教室への参加は今回が初めてでしたが、会場は適当な大きさで役者さんの息吹を感じられました。




 会場は阿倍野区民文化センター。

 花道はありませんでしたが、変わりに客席の間を上手く利用して演じておられました。


 花道のように客席から迫上がっているわけではなく、観客の視線で役者さんを見ることができて興味深く拝見させていただきました。





 NARUKAMIは非常にわかりやすい演目ですし、かんしょう教室といってもかぶきを知っておられる方が大半の様子で、皆さん盛り上がって大笑いをなさっていました。

 会場中に笑いの渦が巻き起こり、活気のあるお舞台で楽しめるものでした。






 役者の皆さんもにこやかに演じておられ、こちらにも楽しさや面白さ、格好のよさが伝わり、いつも見慣れた劇場とは又違った意味でのいい舞台を観せていただいたなって感じがいたします。

 役者さんが身近に感じられる舞台でした。









 ガトウさんとキチヤさんのナルカミは今まで観たものとはまた違った味わいが感じられ、今回のお芝居もかなり好きでした。







 ガトウさんは余裕を持ってこの役柄をこなされておられ、観ていてこちらもリラックスできましたし、最後のシーンの隈取がとても似合っておられ、今までよりも一層好きになりなした。




 ただ、早替りの際に糸を抜かれたもののなかなか彼の右胸元の白ごろもが落ちず、ガトウさんは二度ばかり右手で腹っておられました。

 役者さんもその場に応じた判断力が必要なのでしょうか、上手く対応なさっておられました。

 来月の『テルトラノハイゼン』が楽しみです。





 またキチヤさんはいつものようにお美しく、殿方からかなりオオムコウが掛かっているようでした。

 NARUKAMIは何度か観たことはありますが、キチヤさんのクモノゼツマヒメも上品で観ていて気持ちが良かったです。

 酒を飲み交わす場面では徳利の重さやつぐ量、仕草や飲む量が見事で、とても好きでした。

 






 かんしょう教室は思いのほか楽しく、また機会があれば参加してみたいとみんなで口々につぶやきあっておりました・・・・



 
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朝のそめごろうさんはさわやか

2006-06-18 | 舞台・音楽 雑感メモ
  朝の そめごろうさんはさわやか

 





 4月11日名古屋のみその座に『KANJINTYOU』をみに行った朝のことです。

 


 名古屋にはかなり早く着いたので、劇場の付近の写真を撮りながら 探索していたのです。

 一時間あまり前にたまたま みその座の横通りをみんなで歩いていると、向こうの方から二枚目の男性が・・・

「そめごろうさん・・・」
私たちは口々につぶやいていました。




 カメラをてにしている私たちに気の付かれたそめごろうさんは、即座に黒のジャージで口元までタートルネックのように隠されてしまいました。

 私としても彼の写真を撮るために待ち構えていたのではありませんから、はなから面と向かって彼を撮るつもり等は毛頭ございません。




 彼は口元を隠され私たちを意識されながらも私たちの目の前を通りかかろうとなさいました。

 ご心配なさっておられるかもしれないと思い、私は思わず彼に向かって大きな声で、
「おはようございま~~す。」
とご挨拶も申し上げましたところ、彼はとてもお優しい顔で会釈して頭を下げて歩いてゆかれました。



 笑っておられる目じりの優しさはお母様にそっくりで、とてもさわやかな好青年でした。



 朝のさわやかなひと時を送ってから観た舞台は、格別なものでした。






 実は真正面からは撮らなかったのですが、後姿のお写真を2枚撮らせていただきました。

 そのうちの一枚は完全に横顔が写ったものを持っておりますが、これは私の秘蔵の品です。



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インソムニア

2006-06-16 | 映画

      インソムニア




            楽しめど     ★★★★☆






           2002年    アメリカ   1時間59分


        監督  クリストファー・ノーラン

         キャスト   アルパチーノ
                 ロビン・ウィリアムス
                 ヒラリー・スワンク
                 マーティン・ドノヴァン






                            
    


 この作品は以前映画館で観たことがある。

 今回はテレビ大阪。





 重厚感のあるできのよいサスペンスではあり、人間心理のるれ動きを楽しめる作品。




 人間の『善』と『悪』を『良い刑事』と『悪い刑事』、或いは『自分自身』と『犯人』という対比の中での心の葛藤を見事に描き出している。



『罪の意識の強迫観念』を『インソムニア』つまり不眠という苦しみにさいなまれもがき苦しむ姿を、客観的にカメラはとらえています。



 この作品の面白みは人間の『善』と『悪』を『良い刑事』と『悪い刑事』、或いは『自分自身』と『犯人』という対比が、KABUKIの『シバラク』と『女シバラク』や『ナルカミ』と『女ナルカミ』、『ダンシチ』と『女ダンシチ』のように裏返しでと例えているところでしょうか。
 もちろんKABUKIの場合はその中にパロディや女形で演出することの重要性も含まれているようですので、又違った意味合いも持っていつのでしょうけれど、共通点はあるように感じます。



 刑事と作家という具合に立場は違ってはいるものの、その関係はまさしくロール・シャッハーのようで非常に興味をそそられます。



 そのような不樽の関係の中で、刑事は最後には自分の信念と刑事としてのプライドを持って、一週間も続く不眠の極限のさなか、犯人に立ち向かい、女刑事を助けます。







 最後のシーン、女刑事は刑事の深くの事実を知りながらも、死に行く刑事に向かって、
「こんなものは必要ないわ。」
と、証拠品の拳銃の弾を捨てようとしますが、刑事は女の模範上司、或いは名刑事として、
「早まるな。」
と、玉を捨てることをさとします。

 





「ゆっくりと眠りたい。」
「警部、警部~~。」
 女は尊敬できるもとの上司の言葉に人間的安らぎを感じ、玉をそっと袋に戻します。



 男の顔にはやっと白昼夢から開放されたという安堵の微笑が戻り、意気を引き取ります。





 男にとっての死は、白昼夢イコール不眠は、己の罪悪意識から開放されたという安らぎであり、そんな形でしか心を開放することができなかった心理に、ある意味同情を覚えてしまいます。









 話は前後しますが、上に対比して女刑事を助け正義に立ち向かった刑事に相打ちを喰らった犯人(作家)もある意味精神的に追い詰められ、自分では引き返せなかったのでしょう。


 最初殺す気はなかった作家がファンの女の子と逢瀬を重ねているうちにその気になりつつある。


 それを女の子は若い世代特有の表現の一つ、頭から茶化されてしまいプライドを持った作家は感情を抑えられなくなる。


 一度殴るとその行動におぼれ、歯止めが利かなくなり、結果殺してしまう。



 殺したものの彼は愛情を持って身体を洗礼のようにいたわり、清潔にする。



 しかし一方では裸にし、残虐にも袋つめして、ごみ埋め立て所の中に捨ててしまう



 その精神的アンバランスは、小説と現世との見境がつきにくくなった、ある意味での犯人の精神的『白昼夢』といえよう。




 そういったことを照明してくれるかのように警官に腹部を相撃ちされ、水中に沈んでゆく犯人の表情は微笑さえも浮かべ、死んでゆく開示の表情と重なって映る。





 自分の無意識なる罪の意識との葛藤の末の開放間はこの上なく彼らにとって幸福なひと時であったのかもしれない。



 




 この作品で 印象深かった場面は何日もめむることができない男が、ホテルの波戸や隙間を布やクッションやベッドカバーで覆いつくすシーン。


 覆い尽くしたはずの窓からもれる本のわずかの光。


 それは不眠で精神的に弱りきった彼にとっては、西日のように耐えがたき日差しなのである。


 メードが、
「他のお客さんが眠れないって、苦情が出ているの。」
「明るいんだ・・・」
メードは蛍光灯のスイッチを押すと、部屋は人工的なまばゆい明るさに一瞬にして変化。
「堪忍してくれ。」
男はすぐさま蛍光灯をけす。



 ここの彼の心理的に追い詰められたシーンはカラーなのにモノクロームな印象を受け、まるで一流の画家のデッサンを観ているようです。




 実際はカラーなのにモノクロに感じさせ、その中に、逆光のオレンジが坂越ばかり差し込んでくる、上質の演出です。








 外国特にヨーロッパでは『白昼夢』や『月』は精神不安定材料の一つとして取り上げられることが多いようですが、この映画もまさしく不眠を白昼夢ととらえ、精神的な不安や不安定期の中では運命に逆らえず、事件の大小を別とするならば、あなたさえも起こりうる可能性がありうる出来事を描きあげています。



 そんな怖さも警告する心理学的に計算された映画でした。




 

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フリーダ

2006-06-15 | 映画
     フリーダ
     




             楽しめど   ★★★★☆




              2002年   アメリカ  1時間58分


              監督    ジュリー・テイモア


              原作    ヘイデン・エレーラ 


            キャスト     サルマ・ハエック
                    アルフレッド・モリナ
                    ジェフリー・ラッシュ
                    アシュレイ・ジャッド
                    アントニオ・バンデラス
                    エドワード・ノートン
                    ヴァレリア・ゴリノ
                    ミア・マエストロ
                    ロジャー・リース    他







 実在の画家に基づいて制作された映画。

 メキシコの天才画家フリーダ・カーロの波乱イ満ちた人生が描かれた作品。




 18歳。

 ある画家の壁画を観、見とれ、精神の口上をも覚えた彼女はバスの時刻に追われ、不運にも問題のバスに乗ってしまう。

 バスに乗り合わせていたフリーダは路面電車との衝突事故により生死も危ぶまれるほどの大怪我を負う。




 三週間意識不明の彼女。

 眠りながらも見続けたカラフルで芝らしいイメージデザインは面白い。

 一命は取り留めたが、手術の繰り返し、そして寝たきりの療養生活を強いられる。





 写真家でもある父の勧めによって、絵筆をとる。

 結果小さな希望を見つけ、彼女の気力は向上する。

 奇跡的な回復。





 彼女はかって心を奪われた壁画の巨匠ディエゴ・リベラの元へと向かう

 


「私は才能があるか、それとも他の仕事を見つけた方がよいか・・・」
「才能がある・・・」
「続けた方がよいか?」
「続けた方がよい。」
2人はいつしか結婚する。





 女癖が悪いディエゴは、貞節ではなく忠実である事を誓い結婚する彼。

 自分ひとりのものにはならない男だと悟る女。

 頭ではわかってはいるか心がついてはいけない。

 女の自画像はいつしかわびしく切ない画風に変わる。

 それでも女はいい伴侶であり、同士であり、友人という関係を保とうとします。



 女はタバコを力いっぱい吸いながら、無心一心で絵を描き、それでも満たされない心理は夫の恋人をも共有して感情を抑えようとします。





 彼女は絵を描き続け、いつしか高く評価され始める。

 夫とも強い信頼関係で結ばれ、複雑な彼女。

 普段押さえ続けえいるジレンマから考えると、一時の幸せも、彼女にとっては大切な彼女の全てなのかもしれません





 彼女の切なさはエスカレートし、彼が連れてきた初老の思想家と関係を持ってしまう。

 自分の行動は棚上げして、彼女の行動と思想的観念から彼女を許せない男。

 男は彼女に離婚を申し入れる。




 彼女はウォッカや男や女におぼれ、すさんだ生活を送る。

 そして片足から先決が出欠したことなど、事故の後遺症で感覚が麻痺気味のかの女にはきずくよしもなかった。

 


 彼女のすさんだ生活は金や健康を失わせていた。

 彼女の背骨は又曲がり、激痛。

 医者は指先を見つけ、
「いつからこんななのだ?」
「治療は一箇所だけの約束よ。絵が描ける程度に。」
「指が壊死しいている。すぐに切らねば。足は大丈夫でよかった。」




 彼女は親指を失った。

 
 分かれた夫が見舞いに来る。
「結婚しよう。」




 そして二人の、以前にもまして深い愛情に包まれた精神的密着した夫婦生活が始まる。

 

 

 彼女の病魔は刻一刻と進み、痛みはモルヒネを打たなければ効かなくなっていた。

 その頃には右足はひざまで失い、体は弱り、衰弱していた。




 布団に横たわり続けていた彼女の元へ夫が入室、
「気分はどうだ?」
「横に入って。」
 そういって女は夫に指輪を手渡した。


「私たち結婚して25年よ。」
 指輪を見て直感的に彼女の病状を悟り、戸惑ってしまった彼。
「あと、二週間だよ。」
と笑ってみせる。
「後十七日よ。」
 彼女も悲しく微笑んだ。




「私が死ねば、焼いて頂戴。きっと埋めないでね。もう横たわるのはいやだから・・・」
「ああ・・・・」




 そして彼女はこの世を去った。


 最後の彼女の二段別途の上には死の案内人ともいえる、もう一人の彼女。

 そしてベッドの下に横たわる彼女の体に日は引火して、幻想的な絵で映画は終わる。






 この映画で特に好きなシーンが二つあった。
 




        (1)

 構図から見ても色彩から見trもかなり品の良い重厚な位置作品に仕上がっていた。


 構図から見ても色彩から見trもかなり品の良い重厚な位置作品に仕上がっていた。





         (2)



 先出の『ある画家の壁画を観、見とれ、精神の昂揚をも覚えた彼女』換えを見ているシーン。


 ヨーロッパの協会やドーモ、そしてイランの建築物に良く見られる壁面に囲まれたテンペラのような絵。

 真正面に男がベッドに横たわり、両壁面は45度くらいで台形風に囲まれている。

 彼女がその絵の前に立ち、絵を観ている地、壁画の男に抱擁されているようにも見える。

 このシーンはまさしくこの壁画を書いた男(画家)と女が出会うべくしてであった、運命の作品なのでありましょうか。




 深い人間愛や思想や信念、人間の苦の極限から努力する姿はすがすがしい。

 カナル食い込んで観てしまいました。




 
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小僧の神様 他十編 志賀直哉

2006-06-14 | 読書全般(古典など以外の一般書)
     小僧の神様 他十編 志賀直哉









 先日読んだ 『なぜ大人になれないのか/「狼になる」ことと「人間になる」こと 』 のなかに十三,四歳問題として 『小僧の神様』 が取り上げられていたので、このとしになって、再度読んでみたが面白かった。


 十編の中で特に好きだった二編は次のような作品です。





『はんの犯罪』


 結末部分が洒落ている。 

完全にスマートなブラックユーモアで、感心してしまいました。







『清兵衛と瓢箪』


 親として考えさせられる部分が多々あり、このようなことが身近で、或いは我が親子関係でもなされている可能性があるかもしれないと思うと、背筋が凍りるく思いでした。

 まだ幼子をお持ちの親御さんにはぜひとも呼んでいただきたい作品のように感じさせられました。





 
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チョコレート

2006-06-14 | 映画
     チョコレート





                楽しめど  ★★★★☆







               2001年  アメリカ 113分
            
               監督   M・フォースター

               脚本   ミロ・アディカ、ウィル・ロコス


              キャスト  ハリー・ベリー
                    ビリー・ボブ・ソーントン
                    ヒース・レジャー
                    ピーター・ボイル
                    ショーン・コムズ
                    コロンジ・カルフーン



         受賞    第74回アカデミー主演女優賞
               第52回ベルリン国際映画祭銀熊賞(女優賞)
               ゴールデン・サテライト賞最優秀脚本賞
               全米映画俳優協会賞最優秀主演女優賞
               フロリダ映画批評家協会賞最優秀主演男優賞





 家族や人間、強いてはアメリカで今もなお根強く残る黒人差別問題を含むとり方によっては非常に深く重い内容の作品。


 人間の心のゆれ動くさまをアイスやチョコレート、チョコアイスといった形で微妙なほどに巧みに表現した秀作。


 題『チョコ』は黒人を現し、チョコやスイートの種類によって心情表現は面白いと思いました。


 11年間の刑務所にいる父の対しての子どもの欲求不満や大人のストレス、悲しみ、喜び表現までを広範囲にわたって的確はスイートで表せているところが素晴らしい。




 夫の死刑執行確定。

 妻は息子と刑務所を訪れ、別れを告げた。



 ハンクはレティシアの夫の死刑を執行日。

 人種差別者の父に不満を持つ優しい息子を刑場へ連れて行く。

 執行直前に息子が嘔吐したことが許せず、自らの職務に厳格なハンクは激しく叱責する父。

「この家から出て行け。」
「あんたこそ出て行け。」
と、父に対して銃で威嚇。
「あんたは俺のことを憎んでいたんだな?」
「ああ、生まれたときからな。」
「俺は倒産のことを愛していたよ。」
息子はは父と祖父の前で自殺する。

 父ハンクは絶望し、看守を辞める。






 一方黒人の妻は二人の生活のために懸命に頑張っていた。

 ところが、夜道を歩いていた息子が車にひかれてしまう。

 運命の悪戯、ハンクは偶然通りかかる。




 病院まで贈ってほしいと頼む母はハンクの偏見の対象黒人だった。

 ハンクはためらいながらも息子を乗せて病院に向かう。

 突然の息子のあっけない師の訪れ。

 落胆するレティシアをハンクは家まで送る事となる。

 一人息子を失ったという共通点から始まりつつある愛。

 次第に曳かれ愛し、そこには人種を超えた大きな愛に包まれていた。



 途中には色々な問題も生じるが二人はひとつづつ自分たちの手で解決。

 男の優しさに女は精神的にも抱擁され幸せを感じていた。



 そして幸せの絶頂と思われたとき、男は
「アイスを食べたくなってきた。買ってくるよ。」
「今?」
「今食べたい気分だ。君のも買ってこようか?」
「チョコアイスがいいわ。」


 男は車でアイスを買いに行く。

 一人彼の家に残され、そこでみたものは・・・・





 死刑になった元夫の描いた、死刑執行官である男の姿の絵だった。



 泣き崩れる女。

 そうとは知らずにアイスを持って帰ってくる男。



 戸惑う女。

 しばしの間をおいた後、男の言うがままに家の玄関先についてゆく。

 女は少しためらいながらも男の横に座る。

 

 男はチョコアイスをほおばる。

 庭先に備え付けられた息子たちの墓を見ながら、男はつぶやく。


「僕たち上手くやっていけると思うよ・・・」


 男はチョコアイスを女の口に運ぶ。

 女は少し微笑んで、チョコアイスを口に含む。







 私は女がフルーツナイフでも忍ばせておいて、彼を殺害するのだろうかといった不安が頭をよぎった。

 しかし何事もなく彼女はチョコアイスを受けいれたのである。

 彼がチョコ(黒人女性)を受け入れ、愛したように・・・




 

 人間の本質的部分まで踏み込んだ複雑な心理敵葛藤を鋭くか描いた一作品。






 かなり脚本がしっかりとしており重厚な作品に作られていたように思われます。

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なぜ大人になれないのか/「狼になる」ことと「人間になる」こと

2006-06-13 | 読書全般(古典など以外の一般書)

なぜ大人になれないのか/「狼になる」ことと「人間になる」こと






               著者      村瀬学

              (株)      洋泉社

               2002年9月21日 初版発行

               定価      680円+税




 とてみ興味深く読ませていただきました。

 参考になる箇所が結構ありましたので、音区間たっぷりの文庫本でした。
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80デイズ

2006-06-13 | 映画
      80デイズ
               



               楽しめど   ★★☆☆☆


               2004年   アメリカ    2時間01分

               原作    ジュール・ヴェルヌ

               監督    フランク・コラチ 

               キャスト  ジャッキー・チェン
                     スティーヴ・クーガン
                     セシル・ド・フランス
                     ジム・ブロードベント
                     カレン・モク






 みはじめてすぐにH・G・ウエルズを思い浮かべてしまいましたが、原作者はジュール・ヴェルヌなのですね。


 テレビで『80日間世界一周』は一膳に見たことがあるのですが、『80デイズ』は初めてでした。




 19世紀末のロンドンの話で、発明家のフィリアス・フォッグは、王立科学アカデミー長官のケルヴィン卿にけしかけられ、80日で世界一周する賭けをします。

 フォッグ氏は使用人としてラウ・シン(ジャッキー・チェーン)を雇い入れます。

 ラウ・シンは銀行強盗をして 故郷の村から盗まれた翡翠の仏像を取り戻し、中国へ戻ろうとしていたのです。

 ラウ・シンの正体を知らないまま、フォッグ氏は世界一周の旅に出発します。

 途中、80日間で彼らを世界一周、王立科学アカデミーの到着をさせないがために色々な手段を使ってじゃまを企てようとします。

 さてどうなることやら、珍道中の旅が繰り広げられます・・・・・・




 この映画の魅力は色々な国で繰り広げられる事件、それに伴うカンフーの魅力とでもいいましょうか・・・




 ジャッキー・チェーンの実家でヒスイの大福強盗に襲われた時の、庭にあった木製長いすを持っての形の決まったカンフーは見事でした。





 サムハン・キンポーは年をとられても、カンフーが素敵。

 うっとりと見とれてしまいました。




 デモね・・・

 私の場合一番心に残っているのは美術的と科学者のパロディなのです。

 一例を挙げてみましょう・・・




 発明家が彼女とであったパリでの『エジソン展』???

 なんのことはない、そこにはゴッホがいたり壁面には自画像が掛かっていたり、他にも有名な絵がわんさかありました。

 またトルコではシュワちゃんが王様。

 シュワちゃんの体系に合わせたロダンの『考える人』はかなりの無理がありましたが、笑えて楽しめるものでした。




 またライト兄弟の兄弟げんかや弟の、
「あんなきれいな女の子と付き合おうと思ったら、発明家になればいいんだ。」
なんていう人間臭い会話。





 今夜は裏番で以前映画館でみたことのある『浅間山荘・・・』がありましたので、どちらを見ようか直前まで迷っていました。何となく間際になって、結局見たことのない80デイズの方に決めて、みちゃいました。




 あぁ、楽しかった・・・
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