乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

『シルクロード航海記』 鈴木肇 著 筑摩書房

2008-02-28 | 読書全般(古典など以外の一般書)

(写真はイランです)

 

 

記録だけ  2008年度 19冊目   

 

  

   『シルクロード航海記』 

 

  

                   

 著者 鈴木 肇

 発行所 筑摩書房

 1988年11月24日 第1版

 226ページ 980円+税

 

 二月二十七日、四冊目は『シルクロード航海記』。

 この本、中学生からと記されている本を、恥ずかしげもなく読む。

 砂漠で迷子の話など、当事者は真剣。

 総合的に考え、結構面白い。

 

 二日続きで図書館に行き、借りるだけ借りると足早に家に持ち帰る。

 パン材料をセット。

 頃合を見て、あらかじめ硬めにゆでた黒豆をパンに混ぜる。

 黄な粉黒豆パンの出来上がりを待ちつつ、本を読む。

 ホームベーカリーの鼓動以外は静かな空間。

 

 『シルクロード航海記』を読む進めるうちに、突然笑いの渦がこみ上げてくる。

 爆笑。

 

 本には次のように書かれていた。

 

「これは、全部しごきだしたらダメなんだ。腸の中のエキスを少々残しておかないと、特性スープの味がしない」

と、料理のコツを説明していたからです。腸の中のエキスなんて、いい言葉を使っていましたが、それは‘糞’のもとです。それが天下一品のスープになる、といわれても、ちょっと、てがでません。・・・・・・。

 

 文脈にそってすんなり読むと、普通の文章なのですが、京都のラーメン店で『天下一品』は有名。

 このラーメンはとんこつベースですが、ダシが濃厚でおまけにとろとろ。スープを売りにしているラーメン。

 事実私も天下一品には学生時代は非常にお世話になった。

 よって、わざと取り違えて読むと、笑いは止まらない。

 一人受け笑い状態。

 同時に、

『天下一品って、固有名詞じゃありませんから・・・。』

(とどのつまり、「何がおもしろいねん・・・。」)

と、ハイテンションの自分を叱る。

 

 おまけに豚の足の爪にはさまったうんち云々で天下一品のスープ・・・という話は、高校で読んだ 開高健の『てびち』の話にもあった。

 なんとなく親しみ深く、緊張が緩和されてしまったようだ。

 

 今回お下品お下劣に徹しましたことを、深くお詫び申し上げます。

        どんとはらい。

 

 

 

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古代遺跡シリーズ『古代中国』 Newton ニュートンムック & ご挨拶

2008-02-27 | 読書全般(古典など以外の一般書)

(写真は鬼面。かっこいいでしょう・・・なぁんて。)

 

 

記録だけ  2008年度 18冊目   

 

  

  Newton ニュートンムック

  古代遺跡シリーズ『古代中国』 

 

  

                   

 監修 ジョバンニ・カセッリ

 著者 アンソニー・ブリアニー

 翻訳 土居満寿美

 株 ニュートン プレス

 1997年12月5日 第1版

 91ページ 1860円+税

 

 二月二十七日、三冊目は Newtonの古代遺跡シリーズ『古代中国』。 

 この本、私にとっては大変楽しかった。

 家族が好きな青銅加工品やアンダーソン土器、唐三彩や他の土器、剣などが好きな理由が少しだけ理解できた。

 でも、このことは家族にはいわないでおこう・・・後で恐ろしい付けがまわってくるに違いないから・・・くわばらくわばら。

 

 中国の古代の青銅器や土器などの特徴も、わかり易く大まかにつかむことが出来るという点で、良書。

 万里の長城や兵馬俑などの作られた方法なども載っており、楽しい。

 どちらかというと前半に力が入り、後半は尻すぼみの嫌いのある本だったと感じるが、これは私個人の好みの問題だろうか・・・。

 

 この本、図書館の一応大人のコーナーに置かれていたが、小学校中学年くらいから充分に読める、わかりやすい本。

 説明画もふんだん。

 気楽に古代中国を楽しむことのできる一冊といえる。

 

 

 

     ご挨拶

 

 数日間、中国に遊びに行ってまいります。

 もう少しの間、家におりますので、もう少し、記録は続く予定です。

 しばらく留守をいたしますが、帰りましたら今まで同様、仲良くしていただけましたらうれしいです。

 ご訪問いただいております皆様、またコメントやTBなども下さる皆様には、日々、心より感謝いたしております。

 ありがとうございます。

 これからも、宜しくお願いも申しげます。

                      乱鳥合掌

 

 

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『ブッダの旅』  丸山勇 著 岩波新書 カラー版 1072

2008-02-27 | 読書全般(古典など以外の一般書)

(写真はインドではありません。イランのシーラーズ北部に位地する、『ナクシェ・ラジャブ』という遺跡です。この王らしき人物の顔、男前ですよね。惚れ惚れしちゃいます。)

 

 

記録だけ  2008年度 17冊目   

 

  

  カラー版 『ブッダの旅』 

 

  

                   

 著者 丸山 勇

 岩波新書 カラー版 1072

 2007年4月20日 第1版

 206ページ 1000円+税

 

 二月二十七日夜中、二冊の本を読む。

 二冊目は岩波新書のカラー版 『ブッダの旅』。

 このシリーズはいつもながら、写真が美しい。

 遺跡の浮き彫りが多く載せられており、インドの特徴やイラン、中国との類似点や相違点などを わかる範囲で考えながら探ると、興味が持てる。

 インドにも多く残っている石窟寺院は参考になった。

 中国の石窟寺院を見る際の参考になるのではないかと楽しみにしている。

 

 今日は夜中のうちに二冊の本を読んだが、昼もう一冊は読めるのではないかと楽しみにしている。

 今年は数を追いかけずに読み応えのある本をノートに取りながら読むといった目標を持って、読書を楽しんでいる。

 しかしながら、今夜読んだ『ブッダの旅』や『食い逃げされてもバイトは雇うな』のような軽くて早く読める本も楽しみたい。

 自分スタイルで、日常生活や芝居も本やその他の趣味なども、今年も思い切り楽しもうと考えている。

 今年も約二ヶ月がたった。

 後の十ヶ月、さぁて、どんな風に日を連ねていこうかと、思案中。

 

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『食い逃げされてもバイトは雇うな』  山田真哉著 『さおだけ屋…』の著者

2008-02-27 | 読書全般(古典など以外の一般書)

(写真は中国の陳氏書院です)

 

 

記録だけ  2008年度 16冊目   

 

  

  『食い逃げされてもバイトは雇うな』 

   禁じられた数字 <上>

 

  

                   

 著者 山田真哉

 株 光文社

 2007年4月20日 第1版

 2007年6月15日 第7版

 219ページ 700円+税

 

 二月二十七日、夜中本を読む。

 一冊目は『食い逃げされてもバイトは雇うな』禁じられた数字 <上> 。

 山田真哉さんは以前読んだ『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』の著者。

 今回はその第二段といった感じ。

 あっという間に読める、気軽な一冊。

 『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』を念頭に置くと、読む前に内容が予想できる範囲といえる記述だが、楽しむことができた。

 

 

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『中国民話集』  飯倉照平 編訳  岩波文庫  赤39-1

2008-02-26 | 読書全般(古典など以外の一般書)

(写真は中国の陳氏書院です)

 

 

記録だけ  2008年度 15冊目   

 

  

  『中国民話集』 

 

  

                   

 飯倉 照平 編訳

 株 岩波文庫  赤39-1

 1993年9月16日 第1版

 403ページ 670円+税

 

 二月二十五日、二冊目は『中国民話集』。

 中国好き民話好きの私にとっては 、『中国民話集』も大変面白い。

 知っている話も多いが、初めてのものも載っている。

 

 中国には色々な話が多く残り、地形や生活、民族を思い浮かべながら読む。

 中国では漢民族がほとんどを占める中、少数民族は口伝えに民話を伝承したのだろうか・・・。

 そのように考えると、一層楽しむことができた。

 

 かつて柳田国男は、中国のことを、『驚くほど豊富な昔話の貯蔵地』と呼んだとのこと。

 日本の民話にも、『さるかに合戦』など、そのつよい影響が見られる作品が多い。

 同じような内容の話も、中国と日本では、内容や表現が微妙に変化していて、違いを考えながら読み進めると、より楽しめた。

 本書に寄せられた四四篇の民話に堪能。

 好みの一冊であった。

 

 

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『世界史 怖くて不思議なお話』 桐生操 著  PHP文庫

2008-02-26 | 読書全般(古典など以外の一般書)

(写真はイランのシーラーズ北部に位地する、『ナクシェ・ラジャブ』という遺跡です。)

 

 

記録だけ  2008年度 14冊目   

 

  

  『世界史 怖くて不思議なお話』 

 

  

                   

 著者 桐生 操 

 株 PHP文庫

 1999年4月15日 第1版

 266ページ 552円+税

 

 二月二十五日、一冊目は『世界史 怖くて不思議なお話』。

 桐生操さんの本は何冊か読んでいるが、今回も軽い。

 時間つぶしにはちょうどよい具合の本で、楽しむことが出来た。 

 

 興味深いのはモーツァルト。

 本書では、『モーツァルトは本当に毒殺されたのか?』というタイトルに絞られている。

 論理的な切り口で説明され、説得力あり。

 但し、本書説以外にも、世間一般では、モーツァルトの死の謎については 『病死説』など、多く語られている。

 ある人は 流感、或いは リュウマチ、またある人は恋多き彼の 梅毒説を語る。

 さぁて、いかなる死を遂げたのか、今となっては定かではないが、謎めく彼を作り上げるなら、社会批判や『魔笛』に秘密結社の暗号を盛り込んだゆえの水銀毒殺説が面白いのかもしれない。

 しかし『ドン・ジョバンニ』など、好きなオペラ曲を考えると、私としては、色男ゆえの梅毒説であって欲しいと願う。

 モーツァルトはモテル男であって欲しいと願うのは、曲のせいか・・・。

 モーツァルトに対し、肖像画よりも男前を求め、勝手に理想を描いているといった私がいる。

 

 この本に書かれていた『悲劇の孤児 カスパール・ハウザー』の謎も興味深い。

 調べると面白いのだろうなと感じる。

 

 彼女の本は、いずれ機会を見つけて、また読んでみたい。

 

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シークレット・ウインドウ  ジョニー・デップ

2008-02-25 | 映画

 

 (写真は柳。)

 

 

記録だけ 2008年 映画ー12 

 

   シークレット・ウインドウ

 

 

 満足度 ★★★★★ ★★★★★

 お勧め度 ★★★★★ ★★★★★

 

 原作 スティーヴン・キング

     『グリーンマイル』『ショーシャンクの空に』『ミザリー』

 監督 デビッド・コープ

     『パニック・ルーム』(監督)『スパイダーマン』(脚本)

 

 キャスト

 ジョニー・デップ  他

 

 

 二度目の『シークレット・ウインドウ』。

 今回も、家族と見る。

 以前も見た家族は、はじめ、あら筋を言いたくてたまらない様子だったが、見ているうちにのめりこみ、静かになった。

 助かった・・・と、内心、胸をなでおろす。

 

 以前見た記録があるので、今回は省かせていただくが、今読み返すと、なんと恥ずかしいことか・・・。

 赤面物とはこのこと也。

 

http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/s/%A5%B7%A1%BC%A5%AF%A5%EC%A5%C3%A5%C8(乱鳥・記録)

 

 家族は早朝6時前、朝食もそこそこに仕事に出かけていった。

 まだ薄暗く、寒さが身につまされる。

 家族に対する感謝の気持ちは深まる。

 

 家には誰も居ない。

 ただ、猫と戯れるのみ。

 静かな、長い一日を満喫する。

 

 

 

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京菓子雑感 2  (尾州屋 京風そば餅)

2008-02-24 | お出かけ

 

  京菓子雑感  2

  (尾州屋 京風そば餅)

 

 

 先日の『京菓子雑感 (阿闍梨餅、柏餅味噌餡、水無月黒) 』に続き、饅頭ネタで申し訳ない。

 昨日子どもが、四条河原町にある尾州屋の『京風そば餅』を持ち帰った。

 

「蕎麦饅頭かって来たよ。」

 久しぶりの蕎麦饅頭。

「お父さんの好きな、すはま は、なかったよ。生八橋はあったけど、作っているのかな・・・。」

といった、たわいない会話である。 

 

 包みを開けると、饅頭の 柔らかだが香ばしい皮の香りが辺りに漂う。

 

 久しぶりに食べる蕎麦饅頭の味は・・・少し以前と違っていた。

 餡のしっとり感はいい具合だが、甘さが違う。

 思うに水あめの分量は同じだろうが、砂糖は控えめになっている。

 多分 最近流行のトレハロースに、ほんの少し 甘味を置き換えたのかもしれない。

 微量の甘味配合の違いは、饅頭好きの人間にとっては大きな問題である。

 『京菓子雑感 』でも書いたと思うが、普段使いの饅頭に上品さは求めない。

 多少の味の引っ掛かりが個性となって、好みへと発展する。

 ところが、今回食べた蕎麦饅頭は、非常に上品な味に収まっている。

 おそらく、京都の人間のように何かあれば饅頭を買い求めて食べる県民とは違った普通の味覚を保っておられるまともな舌の方たちには、改良された上品な味の蕎麦饅頭の方が美味しいと思う。

 そういうと、京都は全国で砂糖の消費が一位だともいう。

 私の舌は、必要以上に甘味を求めているのかもしれない。

 

 柏餅味噌餡の場合は山椒、水無月の黒の場合は黒糖のえぐみ、八橋の場合はニッキといった具合で、味や香りにアクセントが欲しい。

 そして蕎麦饅頭の場合も例外に漏れず、皮の香りと黒ゴマの香りが良い。

 ただ、黒ゴマが二、三粒、以前に比べて増えている。

 よく見ると、皮の上のみならず、ゴマは側面や底にも付いていた。

 たまたまなのだろうか・・・。

 あぶらがのり、増量した黒ゴマは、思いのほか香りと味が濃い。

 

「変わっちゃったね・・・。」

を合言葉に、家族消沈。

 

 とはいえ、以前の尾州屋 京風そば餅が美味すぎただけで、他の菓子に比べて、かなり美味いことも付け加えておく。

 味は変われど、この饅頭、かなり美味い。

 土産のひとつとして、或いは普段のおやつとして、阿闍梨餅と共に、他府県の方にもお勧めできる一品である。

 ちょっとした有名な和菓子に比べ、しっとり感といい、蕎麦風味といい、餡の細やかさといい、他にはない独自の美味さが感じられる。

 また買うであろう、親しみ深い 庶民の蕎麦饅頭。

 これで消費税込み一個百円とは、驚きの美味さと安さ。

 尾州屋は高島屋にもなびかず、立ち退きを断り、老舗の味の大筋を守るといった、かなりの意気込みが感じられる。

 それを考えると、現代の嗜好に少し近づけた味は当然であり、トレハロースといった健康志向も加わるとあっては、この饅頭も捨てたものではない。

 今も美味いこの饅頭を、子どもにまた買ってきてほしいと告げたのは、いうまでもない。

 

 蕎麦饅頭、蕎麦饅頭と読んではいるが、本来の名称は 何度も書いている 『尾州屋 京風そば餅』。

 子どもが、

「尾州屋 京風そば餅って書いてあるが、普通に蕎麦饅頭と読むんだ・・・。」

と不思議がっていた。

『まぁね、これがこだわりなのよ・・・。』

と、つぶやき、ほくそ笑む。

 

 我が家は饅頭を食べる機会がとても多いと思う。

 先日の阿闍梨餅の土産のあと、蕎麦饅頭までの間そんなに日はたってないのだが、一人は加賀の土産で羽二重餅、一人は大阪の加賀屋という料理屋で加賀のきんつばを買ってきてくれた。

 たまたま同日に二人の子が、加賀の菓子の土産を持ち帰ったのが、おかしい。

 これも縁ということか・・・と、意味無きことを思いながら、饅頭を楽しむ機会を与え給うた わが子二人に感謝しながら、茶をすする。

 

 

 京風そば餅

 京都市中京区両替町通川上ル松竹町130

 (高島屋すぐそば)

 京風そば餅 消費税込み 100円

 

 

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無形文化遺産の能を楽しもう 青山茂氏 金春欣三氏 (公開講座)

2008-02-24 | 能楽・狂言

 

(写真は能装束を着付けされている様子。会場中カメラで写真を撮っておられましたので、私も便乗させていただきました。

 右 オペラ歌手のような声の持ち主の金春欣三氏)

 

 

 公開講座 無形文化遺産の能を楽しもう

 

 二月二十三日土曜日。

 奈良市中部公民館で開かれた、テーマ『無形文化遺産の能を楽しもう』の公開講座参加。

 折込新聞『リビング』には、主催者無記名。

 また、能楽の曲などもない。

 電話で公民館に問い合わせたものの、一向に らちは明かず。

 能楽写真も掲載されていたこともあり、まずは会場に向かう。

 

 そこは奈良ユネスコ協議会及び奈良ユネスコ協会主催であった。

 ユニセフにはなじみがあるものの、ユネスコは知らない。

 会場に入るとユネスコ関係者が多い。

 能楽に興味を持って行った私は、少し場違いな感じを受ける。

 

 

 講義は面白かった。

 手塚山短期大学名誉教授の青山茂氏は、無形文化財のいでたちや意味などを手短に話される。

 

 中でも興味深かった内容は、江戸から奈良奉行所に移ってきた 川路聖謨という武士の日記の中に書かれた内容による、奈良の文化の高さの説明。

『江戸は金持ちが小唄や上節(?)を歌うが、大和は大工や一般の人間が、「船弁慶」などを口ずさむ。・・・文化の高さに舌をまく・・・これは、みながおん祭りに出て、日常の生活の中に取り入れているからではないか・・・・・・。』

といったことが、『寧府記(紀)事』(現在 東大出版より出る)に残されているとのこと。

 青山茂先生のお話、結構面白い。

 

 

 続いて、金春流シテ方の金春欣三氏が、無形文化遺産の能について話された。

 能楽に使われる楽器の説明や面の説明。

 面はいくつか用意されていて、拝見させていただいた。

 面を見ると、うれしい気持ちがこみ上げてくる。

 

 金春欣三氏は『羽衣』の謡いを四度、謡い、会場全員に謡わせて下さった。

 これがまたなかなか難しい。

 言葉はすぐに覚えられたが、抑揚は独特で、リズムがとれない。

 聞いている分には心地の良かった能の謡いも、自分がやるのは御免こうむりたい心境。

 とはいえ、習いでもしない限りはなかなか出来ない貴重な経験とあって、心地小さ目の声で、楽しむ。

 

 金春欣三氏の『羽衣』、面をつけずにマイクをつけて発声されると、まるで和製オペラのようで、惚れ惚れしてしまう。

 あまりの素晴らしさに、息づく暇もない。

 この方大正十三年生まれとは、到底思えない はりのある 通りの良いお声に、うっとりと聞き惚れる。

 能楽師の声も素晴らしい・・・と痛感。

 

 金春欣三氏はあらかじめ用意されていた ツレ用の能装束をユネスコ関係者に着付けされ、説明してくださった。

 衣装と鬘、面、扇をつければ、ある程度は 能楽師のようになるのかと思っていたが、それは考え違い。

 腰の具合や仕草、気品、教養など、能楽に関するそういった何もかもが、能楽師には要求されるようだ。

 それは長年の練習で培うものかもしれない。

 

 能装束を着付けられる途中、金春欣三氏のお内儀様が、

「普段、女の人は能楽師には着付けを手伝うことはしません。一般の人だから、今日は手伝っています。」

と言われた言葉が、印象深い。

 大正十三年、女性も能舞台に立つことが可能となり、ながき月日が流れた今も、そういった決まりごとがあるのが、心地よくもあり、複雑な心境でもある。

 しかし能楽といった、我々には異質な空間の中で、そういった伝統の名残を継承していくことも、また文化なのかもしれないと感じた。

 

 最後に、貴重な経験をさせていただき、楽しい時間をすごさせていただきました関係者の皆様方に、厚く御礼申し上げます。

 ありがとうございました。

 

 2月23日 13:30~15:30

 奈良市中部公民館 5F(奈良市上三条町)

 料金 受講無料

 

 

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『恐ろしい話』 ちくま文学の森 7

2008-02-23 | 読書全般(古典など以外の一般書)

(写真はイランのエスファハーン)

 

 

記録だけ  2008年度 13冊目   

 

  

  『恐ろしい話』 ちくま文学の森 7

 

  

                   

 著者 共著  (下記 記録)

 編者 安野光雅

     森毅

     井上ひさし

     池内紀

 

 株 筑摩書房

 ちくま文学の森 7

 1988年6月29日 第1版

 1994年5月25日 第8版

 478ページ ?円

 

 

 1 「出エジプト記」より 

 2 詩人のナプキン  

  (アポリネール作・以下作を抜かす)

 3 バッソンピエール元帥の回想記から

  (ホフマンスタール )

 4 蠅

  (ピランデルロ )

 5 爪 

  ( アイリッシュ)

 6 信号手 2

  (ディケンズ )

 7 「お前が犯人だ」

  (ポー )

 8 盗賊の花むこ 

  ( グリム )

 9 ロカルノの女乞食 4

  (クライスト )

 10 緑の物怪

  (ネルヴァル )

 11 竈の中の顔

  (田中貢太郎 )

 12 剣を鍛える話

  (魯迅 )

 13 断頭台の秘密

  (ヴィリエ・ド・リラダン )

 14 剃刀

  (志賀直哉 )

 15 三浦右衛門の最後

  (菊池寛 )

 16 利根の渡

  (岡本綺堂 )

 17 死後の恋

  (夢野久作 )

 18 網膜脈視症

  (木々高太郎 )

 19 罪のあがない

  (サキ )

 20 ひも

  (モーパッサン )

 21 マウントドレイゴ卿の死 

  ( モーム)

 22 ごくつぶし 

  ( ミルボー)

 23 貧家の子女がその両親並びに祖国にとっての重荷となることを防止し、かつ社会に対して有用ならしめんとする方法についての私案

  (スウィフト )

 24 ひかりごけ

  (武田泰淳 )

 なぜ怖がりたがるのか?

  (池内紀 )

 

 先日 安倍主計氏の作品を探していると、安倍主計氏訳(一作品訳)である ちくま文学の森の『恐ろしい話』を掘り当てた。

 インターネット検索すると、生憎 近隣図書館(三館全て)にはない。

 家族を頼りに・・・や・・・をネット検索。

 探してみると、結構人気らしく、今回は子どもに願い出る。

 手にした本は思ったよりも厚く、作者、訳者の壮々たるメンバーに驚きを隠しえない。

 

 短編ブラックユーモアのこれらの作品の中には、後にも続けて、他の作品を読んでみたいと思うものも多かった。

『網膜脈視症』の作者、木々高太郎の論理的思考を備えた短編小説に好感を持つ。

 また、『貧家の子女がその両親並びに祖国にとっての重荷となることを防止し、かつ社会に対して有用ならしめんとする方法についての私案 』を書いた スウィフトという作家の、風刺作らしき『桶物語』や『書物合戦』なども読みたい。このスウィフト、ご存知のとおり、『ガリヴァー旅行記』の著者であることを付け加えておく。

 それにしても 『貧家の子女がその両親並びに祖国にとっての重荷となることを防止し、かつ社会に対して有用ならしめんとする方法についての私案 』という題名は、長いではないか。この題にイメージから、私は欧州絵画のエッチングを思い浮かべ、同時にこの作品から、自分なりの絵画の展開を描き、空想して楽しんでいた。

 結構風刺の効いた 面白い作品になると思われるのですが、いかがなものでしょうか・・・。

 

 『恐ろしい話』を読み終えて、私は中学・高校生の頃からとても好きな作家の一人でもある 安部公房氏の『砂の女』を思い浮かべた。

 あの作品もある意味、真に迫る迫力があると思うのですが、どうでしょう・・・。精神的に追い詰められ、作品中の男の心理において、スパイラル内にはまり込んだかと思えば、す~~ッと抜けゆく怖さ。

 さすがの安部公房先生ですね。

 別段、恐ろしい話をテーマにした作品ではないんですけどね・・・。(笑)

 

 

 

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能楽『春日龍神』  『放下僧』『枕慈童』『石橋』 

2008-02-22 | 能楽・狂言

(写真は大阪能楽会館の二階から能舞台をのぞむ。『春日龍神』が始まる十分前の様子。)

 

 

 大阪能楽養成会研究発表会  

 

 

 観世流能 『春日龍神』

  (シテ)武富康之

  (ワキ)福王知登

  (ワキツレ)江崎敬三・喜多雅人

  (アイ)泉慎也 

  笛:飯倉一史 

  小鼓:久田陽春子 

  大鼓:森山泰幸 

  太鼓:三島卓 

  地頭:上野雄三

 

 大蔵流小舞『放下僧』

  上吉川徹

 

 観世流舞囃子『枕慈童』

  (シテ)井内政徳 

  笛:赤井要佑 

  小鼓:成田達志 

  大鼓:山本哲也 

  太鼓:上田悟

 

 観世流居囃子『石橋』 

  笛:斉藤敦 

  小鼓:高橋奈王子 

  大鼓:守家由訓 

  太鼓:三島元太郎 

  地頭:上野朝義

 

 料金:入場無料

 大阪能楽会館 06-6373-1726

 

 

 

 二月二十一日、大阪能楽会館で大阪能楽養成会研究発表会が行われた。  

 能楽鑑賞初心者の私も、参加させていただく。  

 

 この日の能楽の曲は 『春日龍神』。

 

 中東や西アジア、欧州、日本に至るまで、龍にまつわる話や文様は多い・・・。  

 最近のマイブームのひとつの龍の話しとあって、興味深い。  

 

 筋書きを簡単に記録すると、明恵上人は入唐渡天(中国・インドに渡る)を思い立つ。

 暇乞いのために、春日大社に参詣。

 白髪で箒を持った老神官は、

「釈迦の一生を見せよう・・・。」

と、説き伏せ、姿を消す。。

 春日の里は金色、大地は振動。

 百毛のような赤頭や龍の冠(かぶりもの)、鬼面の後シテが現れ、飛んだりはねたり・・・。

 動きや姿形、能装束、面、頭に いたく見とれる。

 

 歌舞伎のように飛び跳ねて座り、見得をきり、形も美しく、決めのポーズも多い。

 但し私は能楽のことを知らないので、どういう言葉を使うのが的確かは知らない。  

 見得や決め、形といった言葉は、不適当なのだろうか・・・。

 

 激しい舞。

 迫力ある動きの連続・・・。

 歌舞伎で言えば、荒事のような仕草が素敵で、心は高鳴る。

 

 大蔵流小舞『放下僧』と 観世流舞囃子『枕慈童』も楽しませていただいた。

 

 観世流居囃子『石橋』は居囃子といって、初心者の私は初めての経験。

 太鼓や笛、地謡も迫力があり、説明を丹念に読んでから聞かせていただくと、とても素敵だった。

 

 私のような素人でも、これら全てを楽しむことが出来た。

 このような素晴らしい能などを体験させていただいた関係者の皆様に、この場を借りて、感謝申し上げます。

 ありがとうございました。

 

 最後に・・・

 私は能楽鑑賞の初心者です。

 間違いや、何かお気づきの点がございましたら、お教えいただけましたら、うれしいです。

 

    

 

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とりとめもない時間

2008-02-20 | 乱鳥徒然 Rancho's room.

(写真はイランのエスファハーン。イランの方々が、池の中の鯉を覗いているところ。     2007年9月22日)

 

 

 ここのところ、ずっと家にいた。

 ブログで知り合った とある方が心配してくださる。

 感謝。

 

『そうだった・・・。』

と、ブログ更新してないことに気付く。

 一体 私は何をしていたのだろう・・・。

 

 私のことはさておき、家族は毎年、この時期は忙しい。

 土日返上の日も多く、少し日をまとめてとろうとすると、合間を拭って 都合をつけるのが大変という始末。

 

 一方 主婦の私は、一日中家の中に引きこもり状態。

 庭に出ては梅を眺め、今はまだ 蕾の小ささに溜息。

 落ち葉を拾い、灯篭を磨く。

 ここで一句・・・なんて才があればいいのだが、生憎 情けない状態。

 

 椿や山茶花は満開。

 水仙も咲いている。

 猫は私の足元をまとわりつき、鰹節欲しさに 

「ミャァアン~。」

と、声を出す。

 かわいい相棒。

 

 先日、庭の片隅で、ふきのとうを見つけた。

 毎年ならば天婦羅にしているところ、今年は とある方にお教えいただいた ふき味噌を作ろうと考えている。

 さてさて初めてのふき味噌、とても楽しみ。

『ありがとうございます。』

という感謝の気持ちは膨れる。

 

 近くの図書館 三つの内のひとつは、二週間の調節期間。

 なんだか物足りない。

 

 あきもせず、毎日パンを焼いている。

 家族は相変わらず、食べてくれている。

 毎日、時間をかけての食事作りも楽しい。

 弁当もほぼ毎日。

 私にとって料理は、家事の中でも好きな分野。

 楽しんで遊んでいるという感じ。

 

 昨日はアップルケーキを焼いた。

 イラン産の 香り高き紅茶を入れる。

 

 コーヒーは一日三、四回はたてるだろうか。

 チョコやハーブクッキーといただく。

 クッキーはここのところ、ディルにはまリ、せっせと焼く。

 香りがたまらなく異国の雰囲気。

 イランが懐かしい。

 

 買いものは気分転換も兼ねる。

 洗濯や掃除も適度にこなす。

 

 別段これといったテレビも見てないので、拘束される時間はない。

 見たいときに好きな番組を見る。

 大体 映画や歌舞伎、芝居や旅行系のチャンネルを見ることが多い。

 

 友人からの電話。

 子どもが結婚されたと言う。

 おめでとう・・・。

 祝いの品を選ぶのも、喜び也。

 

 ご近所の訪問。

 蜜柑くらいの大きさの、八朔をいただいた。

 珍しい八朔の香りは、部屋一杯に広がる。

 

 最近 気分を変えるために、多くの買いものをした。

 家族は日曜も仕事だったため、一人で家具屋に行き、リビングのソファーやテーブルを購入。

 大きな買いものを一人で決めるのは、少々勇気がいる。

 まだ来ぬソファーやテーブル。

 配置すると、どのような具合になるのだろうか・・・。

 あれこれ想像はふくらみ、理想の空間を描く。

 

 コーヒーカップや食器も選び、購入。

 自分の好みの食器だが、家族は、ことのほか喜んでくれた。

 さてさて、家具の方も喜んでくれるといいのだが・・・。

 

 くつろげる家庭でありたいと願い、最近 キッチンの配置も変えた。

 気分上々。

 

 クッションやテーブルセンター、カーテンなどもこの際変えようと検討中。

 無駄使いにひたすら耐え忍ぶ家族に感謝。

 

 小型で性能のいいカメラも購入。

 携帯電話くらいの大きさなのに、画素数と倍率がでかい。

 外食の食事など、ちょっとした時に撮るなら、充分かも知れない。

 ただ、このカメラ、小さすぎて頼りないのと、穴から覗けないのが難点。

 

 マックになれていた私が、写真の取り込みなどの関係で、二年ほど前から 違うタイプのパソコンに変えた。

 私のパソコン、なかなか文字も覚えず 誤変換も多い。

 困っていたら、家族がソフトを入れてくれるという。

 助かった・・・。

 

 なんだか知らぬうちに時間は過ぎる。

 一見 とりとめもないようにも思える、こうした無表情な時間の重ね合わせが、実は幸せということなのかも知れない。

 

 

 

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『中国の妖怪』 中野美代子著 岩波新書 黄版 235

2008-02-17 | 民俗学、柳田國男、赤松啓介、宮田登

(写真は中国の陳氏書院。この館にも 聖獣や幻獣の文様が多い。)

 

 

記録だけ  2008年度 12冊目   

 

  

  『中国の妖怪』

 

  

                  

 著者 中野美代子  

 株 岩波書店

 岩波新書 黄版 235

 1983年7月20日 第1版

 210ページ 430円

 

 中野美代子女史は、先日読んだ『龍とドラゴン-幻獣の図像学』の訳者。

 訳者の説明から今回の『中国の妖怪』を見つけ、あちこちの図書館を探しまくる。

 

『中国の妖怪』はタイトルで想像されるような内容とは、少し違うかもしれない。

 どちらかと言うと、先日から私が読んでいる『聖獣伝説-夢万年』や『龍とドラゴン-幻獣の図像学』、文様関係の本などが重複。

 どこかしこで読んだような内容が多く書かれている。

 しかし、中野美代子女史の特徴としては、それら妖怪(意識上や文様、生活)を、なにがしら 『西遊記』と結び付けられているところが魅力である。

 

 井波律子女史の書かれる内容も魅力的だったが、中野美代子女史も、なかなかどうして。かなり、面白い。

 

 印象的なところでは水墨画の話。

 龍の話になると、多くの本で、山脈と金山とをつなげ、重ねて 「龍」と関連付けられている。

 山水の水墨画にはよく仙人と家のようなものが描かれている。

 必ずと言ってよいほどに描かれた「家?」は「龍穴」だと本書に書かれていた。

 ほほう~。

 これからは水墨画の見かたも、今までとは少し変わるかもしれない。

 中国の水墨画を見る楽しみが増えたと喜んでいる。

 

  

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韓国料理と 歌舞伎役者  (大阪にて)

2008-02-15 | 舞台・音楽 雑感メモ

 

(写真はイラン。ペルセポリスの前で出会った お洒落な女の子。)

 

 

 2月13日夕刻。

 韓国料理を食べる目的で、夫と 大阪道頓堀の松竹座前で待ち合わせる。

 2月は 玉三郎丈と菊之助丈、海老蔵丈出演。

 別段、鑑賞の予定はない。

 

 ちょうど5時前に松竹座付近の商店街を通ると、驚くことに、海老蔵丈が歩いておられるではないか。

 私は目を疑った。

『そうか、今日は午後の部は休演らしいな・・・。』

と、ほくそ笑む。

 

 海老蔵丈は大柄で、帽子を被っておられる。

 顔のつくりは大きく、オーラ全開。

 海老蔵丈は舞台で見る彼の印象と、なんら変わりない。

『ほほう~~。これが、海老蔵(丈)か・・・。』

と、意味無きを思う。

 

 続いて すぐに 菊之助丈。

 やはり帽子を被っておられる。

 まじめな眼鏡。

 爽やかな笑顔。

 眉毛は太く、目と口は始終笑っておられ、性格と育ちの良さが滲み出ておられるといった感じ。

 おまけに紳士的で男前。

 私はこの青年に、役者として、かなり好感を持った。

『菊之助(丈)の素顔って、染五郎(丈)や考太郎(丈)と同じように、やっぱり、好青年なんだ~~。』

 

 夫との待ち合わせの時間が迫る。

 玉三郎丈は見ることが出来なかった。

 

 急いで松竹座正面に行くと、夫は片手をあげ、にこりと笑う。

 

 ふと松竹座を見ると、七月歌舞伎のポスターが貼られている。

 仁左衛門丈と 菊五郎丈が眩い。

 

 夫が、

「まだ、演目は決まってないね。」

と、いいながら、先日のように、見たい芝居をぶり返す。

 阿呆夫婦が意味のない会話を楽しみながら、数分も歩くと、目的の 韓日館という店にたどり着いた。

 

 私たちは枕詞のように、

「とりあえず・・・・。」

と、ビールを頼み、喉を潤す。

 

 炭火で焼き上げる焼肉は、表面はカリカリで、極めて美味。

 肉にはあらかじめ下味が付けられており、タレ無しでも、タレをつけても、ごまの葉で巻いても美味かった。

 

 焼肉以外にも、この店では太刀魚の蒸し物やサラダ、キムチなども頼む。

 太刀魚の蒸し物は下には、厚さ1センチくらいのジャガイモがひいてあり、魚の形崩れがない。

 蒸し物と言っても、少量のとうがらし味のタレで煮付けられている。

 あらかじめ魚に振られた下味用の塩が少し多いのが、惜しい。

 

 他にも色々と注文したが、中でも感心したのは、生レバーとケジャンの二品。

 

 新鮮この上ない生レバーの甘さ。

 また、恐ろしくが病み付きになる 良質の蟹に みのつまったケジャンの美味さ。

 生レバーとケジャンの味は、私の心にも響いた。

 

「日本でこんなに美味しい韓国料理。韓国に行けば、一体どれくらい美味いの・・・。

「そういうと、鶴橋の大邱の家という店の、焼肉と エイのつくりは 抜群に美味しかったね。」

 

 二人の妄想は膨れ上がる。

『韓国に行きたい・・・。食の文化を知るために、ただそれだけのために、韓国に行きたい・・・。』

 さて、実現するかどうかは定かではないが、私たちはこの日を境に、韓国に行きたいといった願望が、頭をかすめ始めたのは事実である。

 

 

 

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京菓子雑感 (阿闍梨餅、柏餅味噌餡、水無月黒 編)

2008-02-13 | お出かけ

 

(写真は京都。2007年12月。顔見世の帰りに。)

 

 

  京菓子雑感

  (阿闍梨餅、柏餅味噌餡、水無月黒)

 

 

 

 先日、子が『阿闍梨餅』(あじゃりもち)を持ち帰った。

 何でも、大学図書館に教科書などを置いたまま、気分転換に散歩。

 餡好きの私を気づかって、阿闍梨餅本舗 満月(饅頭店)に向かったとのこと。

 親孝行である。

 

「ここの店(本店)限定のお菓子はどれですか?」

「満月どすなぁ。土日祝日だけですねん。すぐ売り切れますさかいに、電話しとぅくれやす。おかせてもうときます・・・。」

とか何とかの会話のやり取りがあったらしい。

 その旨、帰宅後の息子が教えてくれる。

 

 子は阿闍梨餅をたった十個、ばらで買っただけにもかかわらず、老舗の店員は非常に親切だったとのこと。

 菓子以外に、豪華なパンフレットやらなにやら、色々ともらって帰ってきた。

 京都は昔から、近隣の学生はんには親切である。

 

 さてさて、久しぶりの阿闍梨餅は、ことのほか美味い。

 香り高き茶と共に味わう。

 

 阿闍梨餅は比叡山で修業する僧にちなんだ菓子。 

 修業僧、阿闍梨がかぶる網代笠の形をしている。

 横から見るとその形は顕著。

 色合いに雰囲気があり、薄くてなだらかなカーブが美しい。

 

 ちなみに阿闍梨とは、高僧を意味する。

 梵語を語源とし、日本では天台・真言の僧位を表すとのこと。

 なんだか、高尚ではないか・・・。

 

 味は極めてうまい。

 餅米ベース。

 菓子の包み紙には、氷砂糖や卵といったさまざまな材料が書かれている。

 包み紙を開けると、卵の香りがぽわぁ~~ン!と、広がる。

 幸せの香り。

 中には、品良い丹波大納言小豆の粒餡。

 焼き皮は半生菓子で、しっとり、もっちり美人。

 皮と餡が見事に調和した逸品と言えよう。

 これで 一個百五円。

 昨今、京菓子の値が高騰し、味と値が釣りあわない店が多い中、老舗の子の味がなんとこの安さでは、なんだか申し訳ない感じさえする。

 

 おそらく 皆さんがご存知のように、京都にも美味い和菓子が多い。

 有名で美味いものや上品で美味いもの、名ばかりで味がともなわないもの・・・。

 書き上げるときりがない。

 

 有名店の和菓子は別として、京都の庶民が日ごろ抹茶や玉露、煎茶と共に口にする饅頭の中で、捨てがたい味がある。

 別段 饅頭屋は選ばない。

 五月の柏餅の味噌餡と六月の水無月の黒(黒砂糖)。

 これらの二つの菓子は別格である。

 

 まず季節限定と言うところが、心憎い。

 

 五月の柏餅味噌餡においては、店によって顕著に味が違う。

 できれば味噌の濃い、おおよそ上品さからかけ離れた味が美味い。

 山椒も多く入ったものの方が、私の好みである。

 柏餅味噌餡にいたっては下品万歳。

 庶民の味であり、昨今の歌舞伎や文楽のような芸術きどりであってはならないのである。

 

 水無月にいたっては、白でも緑(茶味)でもいけないと、主張したい。

 こくと えぐみが美味い。

 

 不思議なことに、こういった好みは、私の親兄弟の中で、私たった一人であった。

 かっての私は、自称あんこ好きにもかかわらず、少し自分の甘党に対する舌に自身を失っていた。

 ところがである。

 子どもが、ここ何年か、出町あたりの饅頭屋を徘徊することが多い。

 そうして彼が気がついたらしいことだが・・・。

 大学の近くの饅頭屋のガラスケースには、柏餅味噌餡 二に対し、黒餡は 一。

 それも味噌餡から売れると言う。

「お母さん、近くの人が味噌餡二十個とか、買って帰るんだね。お母さんが、言う通りだ。」

 水無月の黒についても、同様の経験をしたとのこと。

 何となく、好みが認められたようで、息子のおかげで、胸をなでおろす今日この頃である。

 

 

    東山 手にとり想う 阿闍梨餅

 (阿闍梨がかぶる網代笠をかたどった 阿闍梨餅。

  なんだか、横から見ると、京都のなだらかな山にも感じます。)

 

 

阿闍梨餅本舗 満月 (但し、私は満月とは無関係です。)

 有限会社 満月 

 創 業◇安政三年(1856年)

 在 地◇京都市左京区鞠小路通今出川上ル

 営業時間◇午前9時~午後6時定

 

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