ヒゲジイのアル中よもやま話

断酒を始めて早7年目。このブログは回復プロセスの記録と脳のリハビリを兼ねて綴っています。やはり、まだチョット変ですかネ?

AAミーティングの再開とスリップの話

2020-08-04 05:49:28 | 自助会
 もう八月、AAの夙川ミーティングが休止となって速くも5ヵ月経ちました。ボチボチ再開をと気運が高まってきたところに、早くも新型コロナ感染拡大の逆風が再び吹き荒れています。

 実は7月下旬に、教会側から再開に当たっての条件が提示され、話し合いの場も設けられました。

 最大の懸案は、参加者の連絡先確認と定員制限でしたが、こちらから具体的な対処法を提示し、教会側も納得できる形でうまく折り合いが付きました。

 これからは、高濃度アルコールが会議室備品の消毒用に十分確保できさえすれば、何時でも再開可となったのですが、この情勢をみれば八月もお流れとなりそうです。

 一方、M 氏と一緒にやっている “二人ミーティング”、こちらの方は7月下旬からチェアの Y 氏も加わって “三人ミーティング” となりました。三人寄ればなんとやらで、たとえ雑談でもその分話題が広がり助かっています。

 その “三人ミーティング” で前回、ひょんなことからスリップ(SLIP:再飲酒)が話題になりました。全員揃ってスリップ経験ナシの3人でしたが、断酒を始めた年齢も全員揃ってほぼ定年退職年齢でした。

 これはある意味、至極当たり前のことだと思いました。なぜなら、引退世代の方が、若い現役世代よりも仕事のない現実を受け入れやすいからだと思います。

 半強制的に断酒させられるときというのは、大抵が既に無職か、無職に近い立場に追い込まれているものです。

 それがまだ現役の若い頃なら、バリバリ仕事をしている同世代を見て、やるべき仕事のない心細さに焦りと不安、屈辱感に囚われるもの、何の不思議もありません。

 そんな情況で、どうにもならない “空白の時間” に襲われでもしたらアブナイ、つい酒に手が出てスリップするのも無理からぬこと、酒ナシで大人しくジッとしてなどいられないのです。私自身の経験からしても、そう考えざるを得ません。

 では、引退世代は “空白の時間” に耐えられる? そんなことはあり得ません。

 それならどんなふうにして、引退世代の3人が3人とも、スリップせずに今まで来れたのでしょうか? その話については、また別の機会に。



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AAのミーティング再開に備えて

2020-06-19 05:58:04 | 自助会
 いつの間にか6月半ば過ぎになりました。兵庫県では5月16日以来、新型コロナの感染者が出ていません。

 この調子でいけば、6月一杯休止となっているAAのミーティングが再開される可能性が大です。そろそろ再開に向けて、新型コロナ対策を具体的に立てなくてはなりません。

 そこで、3密(密集・密接・密閉)を念頭に、次の6つを感染防止対策として考えてみました。

 ● 参加者にマスクの着用を義務付ける
 ● 手指や椅子・テーブルをアルコール消毒する
 ● 椅子の間隔を最短でも1 m以上は空ける
 ● 換気のためサッシを開けておく
 ● 飲み物は持参とし、コーヒー・茶菓子サービスを中止する
 ● 参加者を15名までに制限する

 さて、アルコール入手にやや不安がある2つ目はさておいて、上の5つはほぼ実行可能です。正直なところ、問題は最後の6つ目、参加者制限です。

 夙川の会場は、教会の事務棟にある食堂を貸してもらっています。すぐ隣のロビーとは扉ナシの続き間になっています。定員は42名、参加者は20名前後が普通。会場の広さとしては申し分ありません。

 ですから、6つ目の参加者制限(15名以内)は一見容易そうに見えますが、その選抜をどうするかが頭の痛い問題なのです。

 感染拡大が現実問題になり始めた頃、ある教会では参加者を10名までに制限するよう求めてきたそうです。その要求に応えることができないため、泣く泣く会場変更を余儀なくされたグループがあったとか。

 先着順か、あみだクジか、クジ引きか、今から思いあぐねているところです。

 実は、もっと悩ましい問題も。教会側から、参加者全員の連絡先を提出するよう要求される可能性です。

 連絡先さえ記録に残して置けば、たとえ感染者が出たとしても追跡調査が可能です。だからといって、これに素直に従うわけにはいかないのです。その事情とは?

 Alcoholics Anonymousという正式名称通り、AAは発足以来、匿名を基盤としています。参加者の連絡先を記録に残すなんて掟破り(?)の御法度、もはやAAなどと名乗れなくなる根幹の問題なのです。

 以上はまだ少し先のことですが、教会側は連絡先を求めて来るといううわさも聞こえてきます。緊急避難的にしばらくは、この要求に応じる人のみ参加となるかもしれません。・・・いやはや難儀なことです。



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高齢の長期断酒者にも痛いミーティング休止

2020-05-29 06:51:30 | 自助会
 先週の木曜日、大阪・京都・兵庫の2府1県が緊急事態宣言から解除されました。

 私はその日の昼、いつも通り夙川の教会へ行ってみることに。ここで開くAAのミーティングは、3月以来休止になったままです。

 教会の事務所前のベンチに腰掛けていたら、背後の扉から人の気配がしました。振り返って見ると、そこにはチェアパースン(チェア)のY 氏が。見た目に変わった様子はなく、そこそこ元気そうでした。

 Y 氏と会うのは、4月の緊急事態宣言直前に1度会って以来のこと。彼には既にメールで、二人ミーティングをM 氏と続けている旨を伝えてあったので、久々に出向いて来たようです。

「どこにも出かけないものだから、足腰が弱っているし話す機会もまったくない。・・・買物のときレジで店員とちょっと話すぐらいなんだ」と、Y 氏。

 Y 氏は断酒歴18年の74歳。世間一般に外出自粛が定着したせいで、すっかり出不精になってしまったようです。会話をすること自体が久しぶりらしく、一人暮らしの彼にはボケの危険な兆候が見て取れました。 

「さて、これからだけど、6月一杯は休止を続けるとして・・・
他グループの様子を見ながらだけど、(感染拡大が)再燃するようなら最悪このグループの閉鎖もやむを得ないと考えている。」

 Y 氏は、続けてこうも言いました。

「オレは歳も歳だから、感染が怖いのよ。来年3月には(チェアの)引退ということも考えていたんだ。後はメンバーの1人として参加できれば・・・。」

 予想以上の弱気な発言に危うさを覚え、私の方は敢えて強気を装いこう提案してみました。

「このグループの閉鎖も? まぁ、2週間の潜伏期間を考えたら、休止は6月第二週まででいいのでは? Y さん、引き籠もってちゃ危ないですよ。司会が負担なら・・・。」

 丁度そのときM氏が合流したので、これ幸いにこう続けてみました。

「以前からMさんとも話していたんですが、司会が負担なら私らで代り番こにしますよ、ねMさん?」直ぐにM氏も同意してくれました。

「代り番こなら、司会ぐらいオレもやるよ」と、Y氏。

 これで一先ずやる気を出してくれたようで、彼は内心、やはり司会が負担になっていたらしいとわかりました。

 それからはミーティング再開に向けてどう取り組むか、前向きな話題に移りました。

「やはりマスク着用と手指のまめなアルコール消毒は必須、
3密を避けるため椅子の間隔を開け15名までに参加者を制限、
飲み物は各自持参で・・・」と、私は日頃考えていた感染防止の具体策を提案しました。

 出不精の半ば引き籠もりになっているものの、Y氏は、苦手のはずの “空白の時間” には既に折り合いを付けているようです。さすが断酒歴18年のヴェテランです。

 残る課題はボケ防止、それにはやはり “キョウイクとキョウヨウ” が一番と言います。AAのミーティングは、まさに “キョウイクとキョウヨウ” に当たります。

 グズグズしていてはダメ。Y氏にとっても私にとっても、一刻も早いミーティングの再開が是非とも必要、そう考えを改めました。
(その後、教会側が6月一杯の催し物休止継続としたため、AAのミーティングも休止継続となりました。)



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“空白の時間” がジワジワと・・・

2020-05-01 07:43:31 | 自助会
 こんなことも含めての新型コロナ禍なのでしょうか?

 今は多くの方々が、政府の呼びかけに応えて外出自粛しておられることでしょう。家に閉じこもってじっとしていたら、時間を持て余して間食したり、運動不足になったり、ひいては体重増加や体調維持にお悩みなのでは? お察し申し上げます。

 かく言う私は、外出自粛にもかかわらず週1回、徒歩で片道60分の夙川教会に相変わらず通っています。

 3月第1週から休止となったAAの立ち番役を務めるためというのは建前で、6年もの間身体に染みついた生活習慣のせいというのが本音です。

 私と同じように毎週通って来る仲間が1人います。M氏です。彼が来なかったのは3月第1週だけで、以来毎週欠かさず通って来ます。

 午後1時から1時半の30分、事務所前のベンチに腰掛けて話すのですが、いつの間にか彼と私との二人ミーティングの様相を呈しています。

 話題は、やはり他会場のミーティング状況です。

 緊急事態宣言を受け、最後まで頑張っていた神戸・中山手教会のミーティング会場も遂に休止に追い込まれたそうです。

 常連だった仲間についても話題に上ります。

 “家に一人でいるとロクな事がない” が口癖だったK氏、
 グループ内紛後すっかり姿を見せなくなったD氏、
 糖尿病と肝硬変で身体がボロボロのH氏、
 低血糖と徐脈発作にたびたび襲われていたT氏、
 いつもうたた寝を楽しんでいたG氏、・・・

毎日、一人でどう過ごしているのでしょう?

 私を含めて断酒中のアルコール依存症者が最も苦手とするのが “空白の時間”。断酒歴の長い彼らでも、今回のミーティング長期休止はさすがに堪えているのでは(?)と気がかりでなりません。

 実のところ私の方も、平日朝のルーティンでやっている市役所通いに味気なさを感じています。ゴミ拾いも新聞閲覧もできなくなったからです。

 週1回の夙川教会通いについても、まとまった距離を歩いて体調維持を図るという大義名分だけでは無意味では(?)とも考えています。

 そんな逆境にあって、M氏との二人ミーティングは “仲間と共に” を実践する貴重な時間になっています。

 かくも外出自粛はジワジワ効いてきています。まさに、“空白の時間” にどうにもならなくなる瀬戸際に追い詰められつつあります。

 さて、目出度くミーティングが再開されたとき、一体、何人の仲間が元気な姿を見せてくれるのでしょうか?  誰がどうなったとしても、ありのままに受け入れるしかありません。



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“仲間と共に” こんな意味も

2020-03-31 06:31:36 | 自助会
 前回も述べたことですが、AAのミーティングが休止となっても夙川の教会には毎週通っています。
 休止を知らずにやって来る人に備えての “立ち番” 役というのは実は口実で、
 生活リズムを保つためというのが正直なところです。
 今回の記事は、前回投稿した記事の “つづき” みたいなものです。

 私と同じように、3月第2週から3回連続で教会に通って来た人がいました。断酒歴4年のM 氏です。先週も、私に少し遅れてやって来ました。

 その M 氏、最初は夙川の桜がどんな開き具合か見に来たなどと言っていたのですが、そのうちこう胸の内を明かしてくれました。

「いや実はね、ミーティングでいつも会っていた人の顔を見ると、なぜかホッとするんですよ。
 それで今日も、誰か来ているんじゃないかと思って・・・」。

 仲間の顔を見るだけで安心するというのは私も同じ、これは事実です。

 AAには、“仲間と共に” という言葉があります。“言いっぱなし 聞きっぱなし” のルールの下、“仲間と共に” ミーティングを続けていれば酒が止まるという経験則を表わした言葉のようです。

 元々見ず知らずの赤の他人同士が集まるミーティング。そのミーティングで語る体験談というのは何のことはない、身の上話です。

 断片的な身の上話でも、何度か聞いているうちに知らずしらず親近感が湧いて来るもの、これは自然の成り行きです。そんな中で互いに仲間意識が醸成され、そのうち顔を見るだけでも安心できるというのは尤もなのです。

「私なんかは、定年退職した人が退職後も未練がましく会社の周りをうろつくみたいなものですよ。
 身に染みついた習慣は、なかなか変えられるものじゃない。
 現役時代は、そんなバカなと笑っていたんですがね。今はその気持、よくわかりますよ。」

 私がこんなしょうもないことを言っていたら、そこにチェアの Y 氏もやって来ました。自然に、ミーティングの再開時期をいつにするかという話題に移りました。

 “密閉・密集・密接” の3密を守ってミーティングを開くなどとても無理、感染者が出たら教会にも迷惑をかける。今の新型コロナの状況からみても、4月中の再開は、まず無理だろうということで意見が一致しました。

 後は教会側の判断次第、3月一杯のつもりが4月一杯? それとも5月一杯? やれやれ先は長いようです。



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強面の仲間にゴミ拾いを勧めてみた

2020-03-27 05:58:19 | 自助会
 既報のごとく、3月一杯AAのミーティングを休むと宣言した私ですが、以来、三宮には一度も行っていません。幸い夙川の教会の方も催し物の一切が休止となっています。

 それでも夙川には毎週通い続けています。公共交通機関を使わずに歩きだけで行け、せっかく身につけた生活リズムを保つのが目的の一つですが、会場が閉鎖中とは知らずにやって来る仲間に備えて “立ち番” 役をするためでもあります。

 その3月第1週のこと、休会になったことを知らずにやって来た仲間が1人いました。50代と思われる S 氏です。今回は、その S 氏の話です。

 彼は断酒歴が1年に満たないらしく、今まで発言を求める司会者の指名にパスを繰り返すばかり、ミーティング終了まで留まったためしもありません。会の半ばにいつも献金箱が回ってくるのですが、献金をし終えると即座に退出するのも彼の流儀です。

 何と言ってもこの S 氏、黒サングラスのシュワルツネッカー似というのが第一印象です。

 つまり、エラの張った顎、薄い唇、黒いサングラス、血管が浮き出た広い額、これらが揃って凄味のある強面(こわもて)なのです。この顔に、白いTシャツ、濃紺のジャケット、デニムのズボンときますから、もはや言うことありません。

 一度チェアの Y 氏に彼のニックネームを尋ねたことがありました。「シュワさんだったかなぁ?」と間違えたぐらいで、Y 氏もシュワルツネッカー似と思っていたようでした。

 さて、やって来るなりその S 氏、薄い唇に笑みを浮かべこう切り出して来ました。
「休み? よわったなぁ! その間、開いている所どこかありますかねぇ?・・・ここ(の会場)、2週間したら再開しますか?」

 一緒にいたチェアのY 氏が、同じ教区の教会はどこも閉鎖となったのでほとんどのミーティング会場が開いていないこと、会場の再開はこれからの成り行き次第でわからないことを説明しました。私の方も、それに付け加えてこう言ってみました。

「家に一人でいたらろくなことがない。行く当てがないならどうです、私みたいに道のゴミ拾いでもやってみたら? 人には喜ばれるし、暇つぶしにはもってこい。それに、慣れてくると無心にもなれていいですよ!」

 私のこの提案に、残念ながら彼気乗りしなかったようで、「さすがにそれは・・・」と苦笑いしていました。

 無理もありません、黒いサングラスをかけた強面が道でゴミ拾いなどやっていたら、道行く人に何事かと怪しまれるのがオチです。彼はちゃんと、自分の “見てくれ” を相当意識しているようでした。

 あれからもう3週間経ちます。S 氏は日々、どう過ごしているのでしょうか? ミーティングが再開され、私が司会となったらまた彼を指名しようと思います。

 チェアのY 氏によると、サングラスを外した S 氏の目はショボかったとか。今度はきっと、彼もパスせず発言してくれるでしょう。私は今そう確信しています。



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通院6年でもまだ抗酒剤を?!

2020-01-31 06:32:11 | 自助会
 久々に元町のアルコール専門クリニックに行って来ました。2ヵ月に1回の通院ですから、去年の11月以来のことです。

 待合室で懐かしい女性患者の顔を見かけました。名前を呼ばれ診察室に入っていくところでした。珍しい名字だったはずですが、まったく思い出せませんでした。

 まだ30代のはずの彼女、顔がやつれ、パンツ越しに見えるお尻の張りも心なしか萎んでいました。確か山歩きが趣味だと言っていたのですが、今はやっていないのでしょう。

 診察室から出てきた彼女がソファの隣に座ったので、思い切って声を掛けてみました。
「私を覚えていますか? もう何年になります?」
「もちろん覚えていますよ! もう6年です。」
「6年? そんなになりますか!?」
「あっ、抗酒剤飲むの忘れてた! 失礼、今飲んで来ます。」

 抗酒剤は、アルコールの中間代謝物でそれ自体が猛毒のアセトアルデヒドの解毒を阻害する薬です。この専門クリニックでは基本1年間の服用を治療方針としています。頭皮に痒いブツブツが出るなど結構重い副作用があり、そのため私は服用10ヵ月目でお役御免にしてもらいました。

 彼女、毒でもあるそんな薬を6年経ってもまだ飲んでいました。両親が統合失調症と言っていたので、どうやらよほど深い心の闇を抱えているのでしょう。依然としてまだ飲酒欲求に悩まされているらしいのです。

 ひょっとしたら自助会に出ていないのではと気になって、戻って来た彼女に自助会のことを尋ねてみました。いつだったか、自宅近くの○△断酒会に入会したと聞いたことがあったからです。
「断酒会は辞めました。何かと縛りがきつくて、うまく馴染めなくて・・・」と彼女。

 断酒会では一般に、本名・住所などの連絡先を登録し、毎月一定額の会費を徴収します。いざという時は自宅訪問もしてくれるというのが売りですが、それだけに縛りもきついと聞いています。

「それならAAの方がいいのでは? AAは、ほとんど縛りのないイイカゲンなところ。本名など名乗らなくていいし、会費も要らない。精々ルールと言えば、出されたテーマに沿って話すことと “言いっぱなし聞きっぱなし” ぐらいなもの。めんどくさくなくていいですよ。」さらに続けて、
「ミーティングの雰囲気は、世話人のチェアによっても変わります。だから、女性がチェアをやっているグループなんてどうですか?」と、阪急西宮北口にあるグループを紹介してあげました。

 丁度その時、名前を呼ばれて私が診察室に入ることに。彼女との話はここまででした。

 アルコール依存症者には元々依存気質が強いという共通項がありますから、AAに馴染めさえしたら彼女も後は回復へ一本道のはずと考えてのこと。少々お節介が過ぎるかとも思いましたが、これも “我田引水” の人助け(?)でした。



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“自立は、依存先を増やすこと 希望は、絶望を分かち合うこと”

2019-10-11 05:53:27 | 自助会
 以前、『アル症の回復には複数の依存先を』(2019.5.31投稿)という記事をブログに掲載したことがあります。産経新聞だったか、新聞のコラムに触発されて書いた記事でしたが、該当する記事も著者もわからずじまいでした。

 それが、ひょんなことから著者がわかりました。熊谷晋一郎氏という東京大学先端科学技術研究センター准教授で、小児科医でもある方です。熊谷氏は、『当事者研究』という研究領域に携わる研究者であり、自身も脳性麻痺の当事者だそうです。

 因みに『当事者研究』とは、障害や病気の当事者が、グループで経験を分かち合いながら自身の困りごとを探求することで問題を解決していこうとする試みのことだそうです。

 ところで、アルコール依存症(アル症)者の回復には、グループで集まって自身の体験を語り合うことが最も有効と言われています。

 そのアル症者の自助グループAAは1935年に設立されたコミュニティー(共同体)ですが、ミーティング・ハンドブックの序文にはこうあります。

「アルコホーリクス・アノニマス(AA)は、経験と力と希望を分かち合って共通する問題を解決し、ほかの人たちもアルコホリズムから回復するよう手助けしたいという共同体である。」

 これはまさしく上記『当事者研究』の概念そのものです。熊谷氏は、自身の障害を克服して自立する道を探求した結果、AAの設立理念とほぼ同じ結論に至ったようです。あるいは最も古く設立されたAAの理念に即発されての結論だったのかもしれません。

 なぜ障害者が自助グループとして集まることが大切か、その自助グループがいかに障害者の回復・自立に有効か、今回は熊谷氏の口演をまとめた記事からそのエッセンスを引用してご紹介します。

 ● 健常者はさまざまなものに依存できていて、障害者は限られたものにしか依存できていない。依存先を増やして、一つひとつへの依存度を浅くすると、何にも依存してないかのように錯覚できます。“健常者である”(=“自立”)というのはまさにそういうことなのです。
 ● おもらしをするという “絶望” が、誰かと分かち合うことで “希望” に変わったんです。
 ● トラウマというのは、自分の経験に意味をつけられていない時に起こるもの。似たような経験をした当事者同士で経験を分かち合えば、自分や相手にとって1回きりの経験でも、2回になります。「あなたもそうか」、と自分の経験に当てはめることが、1回性の出来事に意味をつけて、物語にしていく。
 ● 「わたし」という存在は、わたしがたった一人で考え続けてもいっこうにその正体が見えてこない。「あなた」という他者と隣り合い、お互いの共通点や違いを見出すことを通して、はじめて「わたし」の輪郭が浮かび上がってくる。
 ● 理想と現実のギャップをそのままにして、仲間と言葉で埋めるんです。言い換えれば、「愚痴を言う」。そうした時間を重ねるなかで、次第に回復の糸口が見えてくる。
 ● そうした困難の渦中にいる人と支援者が1対1で近づき過ぎると、薬物に代わる新たな共依存を再生産しかねない。比較的似た経験をした「当事者」同士が(グループで)集まることの価値はそこにある。
 ● 「回復とは、回復し続けること」少しずつ回復していくプロセス自体が回復。

 詳細については次の2つの記事をご参照ください。物書きのプロがまとめた記事ですから、とてもわかりやすい内容になっています。
自立は、依存先を増やすこと 希望は、絶望を分かち合うこと
絶望だって、分かち合えば希望に変わる。熊谷晋一郎さんが語る「わたしとあなた」の回復の物語



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自助グループで内紛が!(下)

2019-09-17 06:04:46 | 自助会
「アルコホーリク・アノニマス(AA)は、経験と力と希望を分かち合って共通する問題を解決し、ほかの人たちもアルコホーリズムから回復するよう手助けしたいという共同体である。」(AAミーティングハンドブック序文より)

 AAはたくさんの小グループからなっていますが、正確な数ははっきりしません。ルールらしきルールがないに等しいので縛りがゆるいというのが特徴で、よい意味でイイカゲン(好い加減?)な組織です。
 そのため、それぞれの小グループにチェアパースン(チェア)という世話役を置いて運営されています。それだけにチェアには幅広い裁量が任されていて、なかには自分の天下と勘違いする輩もいて内紛になることもあるようです。
 私の属しているのもそんな小グループですが、最近チェアの不適切な司会者選任を巡ってつまらない内紛が起こり、そのためグループの分裂が現実味を帯びてきました。

                              (以上は前回記事からの抜粋)

 今回の内紛では、どうやらチェアの資質にまで問題が波及したようなので、せっかくの機会ですから私なりのチェア像を考えてみました。

 私などは最低限、次の必要条件二つを満たせば、チェアとして十分と考えています。

 一つは、運営資金となる献金を適正に管理できること
 一つは、司会を任せられる人物を見抜く眼力があること

 ミーティングの人気・不人気の鍵は司会者が握っています。その鍵というのは、テーマの選定とそれに沿った導入話ができること、トップバッターの発言者を誰にするかの3点で、概ねこれらで盛会になるか否かが決まります。

 なぜトップバッターの発言者が大事か? テーマが出されると、各自それに沿うべく自分の過去との対話に没頭します。司会者の導入話など聞き流す人が多いので、必然的にトップバッターの話がその後の流れを決めることになるのです。

 斯くて、うまい司会者にミーティングを任せれば常連が増え、それだけ盛会が続いて献金も集まりやすくなります。このように上記二つの必要条件はしっかり連動しています。

 司会者の選任で唯一慎重であるべきは、断酒歴の浅い人を選ぶ際です。

 司会をするにはかなりの緊張(感)が強いられます。そんなストレスが人によっては逆効果になる可能性大なのです。PAWS(急性離脱後症候群:アルコールの後遺症)から脱し切れていない断酒歴3年未満の人や他の精神疾患を合併している人の場合は、できれば司会者から除外した方が無難だと思います。

 斯くも責任重大な司会者ですが、その司会者を決めるのが大本のチェアです。それだけにチェアの責任はより重く大きいのです。

 私からみれば、今回の内紛の原因は、チェアとは斯くあるべしという高望みにあるのではと睨んでいます。チェアは単に、無償で雑用をやってくれる有り難い世話役、これが実像です。

 だから、司会者がいなくて困っているようなら、小グループ内で司会を交代で務めるなど、できるだけチェアの負担を周りの皆で分担すればよいのです。昼の部ではそうなっていますし、私もそのつもりで司会者を引き受けています。
(この稿お終い)



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自助グループで内紛が!(上)

2019-09-13 08:07:23 | 自助会
「アルコホーリク・アノニマス(AA)は、経験と力と希望を分かち合って共通する問題を解決し、ほかの人たちもアルコホーリズムから回復するよう手助けしたいという共同体である。」 (AAミーティングハンドブック序文より)

 AAはたくさんの小グループからなっていますが、正確な数ははっきりしません。ルールらしきルールがないに等しいので縛りがゆるいというのが特徴で、よい意味でイイカゲン(好い加減?)な組織です。

 そのため、それぞれの小グループにチェアパースン(チェア)という世話役を置き、幅広い裁量を任せて運営されています。それだけになかには自分の天下と勘違いする者もいて、内紛になることもあるようです。

 私の属しているのもそんな小グループですが、最近つまらない内紛のために分裂が現実味を帯びてきました。小グループを脱けると言い出す人が次々出ているのです。訳を聞くと、世話役であるチェアのやり方に我慢できなくなったと言うのです。

 事の発端は、夜の部のミーティングであったある事件だそうです。チェアが依頼した他グループの司会者がヘマをやらかし、せっかくのミーティングが混乱で台無しになったそうなのです。

 後で開いた内輪の会合でチェアの責任を問う声が出たのに対し、チェアは自分一人の責任ではないと言い張り、司会した人が属す他グループの責任にまで言及したそうです。これがきっかけで、グループ間の反目にまで問題が拡大してしまったようなのです。

 件のチェアは、これまで専ら外部の人に司会を依頼してばかりで、自分自身では司会をしなかったと言います。このこともグループ内の蟠りになっていたようです。

 以上は、当事者の一方から聞いた話です。

 自分を棚に上げてエラソウに言いますが、誰がみてもこの件はチェアの責任です。ミーティング中に司会者を補佐してあげなかったことも含め、責任は自分にあったとチェア自身が潔く認めればいいだけの話です。

 その場の成り行きもあったのでしょうが、チェアは内輪の会合で自分の一部を否定されただけなのに、自分の全部を否定されたと思って、つい反発してしまったのでしょう。そのときのチェアの言い方に、私には彼の引き摺っている “認知のゆがみ” が見て取れました。

 確か彼は、断酒歴が12年だったと思います。主治医に「あなたはまだ底着きしていない」と言われたことを今だに引き摺っている人でもあります。まだまだ回復への道半ばと言ったところでしょうか。

 件のチェアには、今回の苦い事件を糧に自身の “認知のゆがみ” に気づき、それを克服する機会にしてほしいと祈るのみです。

 とは言っても、最近2週に1回は昼の部の司会を務めている私です。とても他人事とは思えません。人の集まりには内紛が付きものと言いますが、さてどうなることやら・・・。
(この稿つづく)



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