ヒゲジイのアル中よもやま話

断酒を始めて早7年目。このブログは回復プロセスの記録と脳のリハビリを兼ねて綴っています。やはり、まだチョット変ですかネ?

自助会AA ― 認知行動療法 “言語化” の実践道場(下)

2016-08-26 08:18:42 | 言語化
 “言語化” とは、書くことを通じて自分の本質を見通すこと、すなわち自己洞察に導いてくれる有力な手段の一つと考えられています。記憶を総動員して的確な言葉を探し出し、自分の性格や思考様式、感情傾向、物事の認知の特質などを凝縮した言葉で自己表現する理性的作業のことです。今回は、自助会Alcoholics Anonymous(AA )のミーティングもこの “言語化” を鍛錬する場ではないかと考える所以を述べてみます。着目すべきは、記憶の総動員と論理立てが不可欠だということです。

 AAのミーティングの始まりは、試験の開始に似たところがあって緊張感が伴います。テーマが告げられるとすぐに、思い当たる節がないかあれやこれやと記憶を辿ることになります。今でこそ、司会者の体験談がテーマのヒントとして筋が良いとか、今一つかなどと批評するゆとりも出て来ましたが、参加したての頃は半分上の空でした。

ミーティングでは記憶の総動員が必要です

 ご想像通り、指名に備えて自分の記憶探しに没頭していました。テーマによっては、すぐに目星が付く場合もありますが、大抵は想像以上に時間がかかるものです。普通5分程で司会者の体験談が終わります。その間にテーマに相応しい思い出の掘り起しと、話の切り出しがどうにか準備できる、これが当初の定番でした。他のメンバーに確かめてはいませんが、初心者なら誰でも似たようなものではないかと思っています。

 このように、ミーティングでは自分の記憶探しに相当の集中力を要します。また、この集中した余韻は、メンバーの体験談を黙想したまま聴く段になっても続きます。目星がついた自分自身の思い出と、メンバーの体験をついあれやこれやと照らし合わせてしまうのです。テーマが決められていることといい、静かに黙想したままといい、AAのミーティングは思索環境として申し分ありません。体験に裏打ちされた生々しい言葉は埋もれた記憶をチクチク刺激し続けます。

 喉元まで出掛っても的確な言葉とならないもどかしさは誰でも経験アリと思います。アルコール急性離脱後症候群(post acute withdrawal syndrome:PAWS)で度々触れたのですが、意図した言葉がなかなか思い浮かばない異常(な状態)を想起障害といいます。断酒後のアルコール依存症者は相当長い期間これに悩まされ続けます。アルコールが遺した厄介な置き土産です。

 もどかしさで悶々としている最中、思いあぐねていた言葉が耳に飛び込んできたらどうでしょう。その途端、「あっ、これだ!」光がピカッと閃き、モヤモヤしていた蟠(わだかま)りが一気に晴れてしまいます。ミーティングでよく経験することです。モヤモヤしたもどかしさがスッキリ解消し、何とも言えない充足感と爽快感で満たされます。そして、件の言葉はしっかり記憶に残るものです。

 その逆もしかりです。知っているつもりの言葉でも、今一つ意味がはっきりしない場合があります。“生きづらさ” などがその好例ですが、メンバーの話で言葉に具体的な肉付けがなされ、腑に落ちてくることもあります。このような場合も上と同様に充足感に満たされるものです。

話すことは聴くこと以上に記憶を総動員しなければできません

 複数の言葉を論理立てて話(文)に仕立て上げるなどは、脳をフル回転し記憶を総動員しなければできないことです。それが体験談なら尚更です。そんな状態だからこそ、思わず口走った言葉が胸の奥に隠していた本音だったとしても不思議ではありません。「私は上昇志向が強く・・・」と思わず口を滑らせたことがありました。自分の言葉にビックリし、同時に肩の荷が下りたと感じられました。上昇志向が強いなどと人前では決して口にすまいと決めていたのに、勢いで出てしまったのです。この経験以降、隠し立てしても無駄で、正直に話すしかないと思えるようになれました。これなどは隠れて(隠して?)いた記憶が明るみに出た好例と考えています。

 発言する際、聞き手の批判や批評を気にしなくてもよい “言いっぱなし 聞きっぱなし” はミーティングの大きな長所です。一見、独り言を声に出すだけともみえますが、頭の中で堂々巡りばかりの独り言とはまったく違います。聞き手を意識して話した言葉は耳で確認できます。書いた言葉を目で確認できることと同様、外向けの論理立てを理性的に確認できるのです。話しの筋が逸れたり、話が飛んだりしても気にする必要はありません。実質的に論理立てした内省の時間ということに違いはありません。自分自身との誠実な対話に集中すべく心掛けることだけが大切です。モヤモヤした気持ちの整理がつき、肩の荷が下りること請け合いです。

ミーティングで経験するこのような一連の感覚は、ブログの原稿作成中に度々経験する感覚と共通します

 ブログの原稿作成中には、嫌というほど想起障害に度々襲われます。そのもどかしさといったら比類ありません。類似の言葉は次々飛び交うのですが、肝腎の言葉が出て来ないのです。その目当ての言葉が不意にパッと閃いたときなど、自己表現が実現できたというか、大仰ながら承認欲求が満たされた心境になれます。承認欲求は自己表現したいという欲求と表裏一体の関係にあるので、当然といえば当然です。カタルシスという言葉が、このときの感覚を表現するのにピッタリでしょうか。

 書きことばは話しことば以上に頭を使います。書きことばには書きことば特有の文法があり、それに厳格に従わなければ意図を正確に伝えることができません。話しことばの特徴は、最も伝えたい言葉が先に出てしまうことですが、このやり方を書きことばでそのまましてしまうと必ずと言っていいほど意味が通じません。書きことばには、読点の打ち方や、修飾語同士の順番に厳格なルールがあり、その上で明解な論理立てが要求されるからです。

 記憶の総動員にしろ、文法を厳守した論理立てにしろ、書くことの方が圧倒的に脳(前頭葉)をフル回転させることが必要で、それがなければ書けません。“言語化” で自己洞察に至るのは、何度も何度も自身に問いかけ吟味に吟味を重ねる思考プロセスの成果だと思います。それだけに “言語化” は書く作業そのものだと考えられてきたのでしょう。

ミーティングの場もカタルシスをもたらしてくれます“言語化” が授けてくれる即席の御利益です

 ところで、ミーティングで耳に入ってくる言葉は、機会の多さといい、ヴァリエーションの豊富さといい、その力強さは圧倒的です。自力で記憶を呼び戻そうと四苦八苦しているところに、外から生々しい言葉が次々援軍として送られてくるのですから質量ともに申し分ありません。たとえ半分意識が抜けてボーッとしていても、印象に残る言葉はしっかり頭に入ってくるのも道理です。

 埋もれた記憶を探して集中することといい、言葉に反応して喜びを感じることといい、ミーティングの場は、書くことに劣らず脳に適度な刺激と快感 ― カタルシスを頻繁にもたらしてくれます。カタルシス、これこそまさしく “言語化” が即席で授けてくれる御利益ではないかと私は考えています。ミーティングに出席し続けている内は酒が止まると聞きます。これもカタルシスという即席の御利益のお蔭なのかもしれません。

私はこれらを踏まえ次のような仮説を立ててみました

 前頭葉は長期記憶の保管庫の一つです。カタルシスという即席の御利益を最も多く受けるのは前頭葉だろうと仮定すると、繰り返されるカタルシスの刺激が前頭葉の機能を活性化し、その結果、記憶のネットワークが徐々に回復へ向かうものと考えられます。その過程で繰り返されるのが様々な自己洞察であり、いわゆる回復という心境はその積み重ねが自然に導いてくれるものではないか? これが私の仮説です。繰り返し繰り返しの実践が稽古と同じと考え、私はミーティングの場を “言語化” の実践道場と呼ぶことにしました。

 自己洞察は医療関係者が口にする言葉で、アルコール依存症者が口にすることは滅多にありません。ミーティングで聞く体験談では、代わりに “気づき” という言葉が頻繁に出て来ます。自己洞察できたということが、“気づいた” という言葉で表現されているのです。

 上述したように、“気づき” を積み重ねた先にあるのがいわゆる回復という心境だろうと考えています。AAの『回復のプログラム』では、12のステップを順に踏んでいると途中でも「・・・心の落ち着きという言葉がわかるようになり、やがて平和を知る。・・・かつては私たちを困らせた状況にも、直感的にどう対応したらいいのかが分かるようになる」としています。これらは究極の達成目標、すなわち回復を意味しています。自分がどういう状況に置かれているかが瞬時に察せられることでもあり、AAでは “ハイヤーパワー(自分を越えた大きな力 / 神)” が導いてくれるものとしています。

 私が通う専門クリニックでは、回復のイメージをリラクセーション(relaxation:復元力の高まった柔軟な状態)としています。些細なストレスでも凹まず、先の見えない不安にも怯えない、復元力に富んだしなやかな心という意味と解し、私は “平常心” こそが最も相応しい言葉と考えています。“平常心” は精神的に鍛錬しさえすれば誰でも到達できる心境で、元々人に備わっているものという考えからです。(意図して遮二無二身に着けようと頑張っても、出来ない相談のような気がします。)ちなみに私は、AAの言う “ハイヤーパワー” とはヒトが生まれながらに持っている自然治癒力のことだろうと考えています。

 最後にAAの長所を改めて列挙しておきます。
  ● 氏素性を明かさなくてよい匿名性
  ● 献金だけで自主独立した運営 
  ● テーマが設定されていて集中しやすい
  ● “言いっぱなし 聞きっぱなし” で批評・批判を気にしなく
    てよい
  ● 聴き手が経験者同士で理解してもらいやすい


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自助会AA ― 認知行動療法 “言語化” の実践道場(中)

2016-08-19 07:09:42 | 自助会
 専門クリニックが勧める自助会の宣伝コピーではありませんが、ミーティングには見習うべき実用的ノウハウを学べる場という側面があります。今回はミーティングがもたらす実用的な御利益の話をします。

 実用的な話といえば、たとえば以下のような再飲酒(SLIP:Sobriety Loses Its Priority)に至った経緯(きっかけ)とその後の対処の仕方などは、お手本とすべき典型的な体験談だと思います。

 ● ミーティングから足が遠のいてつい気が緩み、無意識の内に
   SLIP していたこと
 ● SLIP しても、連続飲酒状態になるまで結構な期間(2週間~
   3ヵ月)がかかる場合もあること
 ● 何か変で(SLIP しそうで)危ういと察したら、その心境を
  (ミーティングなどで)思い切って声に出して吐露すべきこと

これらは体験者にしか分からない苦い思い出そのもので、心しておくべき貴重な戒めです。

 前回述べたように、自助会 Alcoholics Anonymous(AA )のルールの一つに “言いっぱなし 聞きっぱなし” があります。これはどんな発言があっても批評や批判は御法度という意味です。あるとき一風変わった私の発言に思わぬ助っ人が現れたことがありました。AAに定期的に出席し始めて8ヵ月目頃(断酒歴13ヵ月)のことです。

 そのときのテーマが “奇蹟” だったので、私は手を挙げ、思い切って私見を話してみました。“奇蹟” というテーマは、AAの言う “ハイヤーパワー(自分を越えた大きな力 / 神)” を念頭においたものであることは明らかでした。

「私は “奇蹟” など信じません。AAの『回復のプログラム』は科学的再現性に裏打ちされたものと考えています。『回復のプログラム』の12のステップを読んでみると、書いてあることはプロトコール(実験計画書)と、その通りに100% 実行した場合の結果の記述にしか見えないのです。AAは科学的だからこそ、再現性よく回復者を輩出してきたのだと考えています。」
臆せずこのように持論を展開したのですが、すると直後にあるベテランメンバーからこんな発言があったのです。
「回復の12のステップを(英文で)読んでみると、全部過去形で書いてあり、経験譚であることに気付いた。ならばAAを信じてみようという気になった。」
頼りない記憶ながら、こんな趣旨だったと思います。これには心の中で思わず喝采を叫んだものです。

 おそらくベテランメンバーの頭に、原文テキストに当った頃の記憶が蘇ったのです。せいぜい生意気な初心者の珍説と見做され、黙殺されるのが関の山と覚悟していましたが、私の話でその頃の記憶が刺激され、すかさず賛同してくれたのだと思います。「飲まない生き方を探し出すため、難解な原文テキストに当ってまで確かめているメンバーがいる」、こんな誠実な姿に触れることができ、心強さと頼もしさを覚えました。

 次はテーマが “感謝” だったときの話です。AA 参加歴1年5ヵ月(断酒歴1年10ヵ月)の頃だったと思います。話が自分に向けられでもしたら、不用意な言葉をすぐさま発してしまい、それがどうにもピント外れと思うことがよくありました。想起障害のせいにしていましたが、咄嗟のことだと的確な言葉が出て来ないのです。そんなときにあるベテランメンバーが語ってくれた言葉は渡りに船で願ってもないものでした。

「AAのミーティングに参加したお蔭で、一歩下がって聞く耳を持つことと、聞き流す忍耐を学んだ。言い放し、聞きっ放しが好い影響を与えてくれたのだと思う。これを実践したことでAAの言うhumility(謙遜)が体得できたと考えている。」
私は “一歩下がって” に飛びつきました。早速この言葉を鑑とし、“一息ついて” も付け加え “一歩下がって 一息ついて” を発言する際のモットーとしてみました。

 ところが実際にやってみると、どうも上手くいかなかったので、今では “一息ついて 一歩下がって” と順番を逆にしています。この方が無理がなく、より実戦向きだと分かったのです。もちろん “聞き流す忍耐” にも新鮮な印象を受けたのですが、こちらは場数を踏むしかあるまいと半分聞き流していました。

 “かがみ” に関連してもう一つ。鏡は自分の身なりを正す身繕いに必須なものですが、“仲間(=AAのメンバー)は生きている鏡” と譬えたベテランメンバーがいました。“仲間” がテーマだったときの話です。

 かつては自分と異なる意見を目の前で語られでもしたら、自分への批判だと思い込み、つい身構えてしまうのが普通でした。ミーティングでも自分と正反対の考え方や生き様を聞かされる場合がときにあります。さすがに腹が立ち不愉快にもなるのですが、その場で反論することは御法度です。じっと聞いているしかありません。ところが6秒(?)も経つと、不思議なことにその感情が和らいできます。その内、自分の性格上の欠点や至らなさに思い当るようにもなるのです。

 もちろんミーティングでは、鑑として見習うべき話の方が圧倒的に多数派です。ときには聞いていて自分の考えの歪みに気づかされ、これは正さなければと反省しきりの話もあります。メンバーの語る生き様は、“他人の振り見て我が身を直せ” そのもので、良いにつけ悪いにつけ立派な鏡なのです。“仲間は生きている鏡” はまさに至言だと思いました。

 ミーティング前のメンバー同士の雑談も有益なヒントが得られる場です。何気なしに聞いていた折に、ふと小耳にはさんだ話から “空白の時間” を逸らす手がかりを学べたこともありました。手持無沙汰になると堪え切れなくなり、イライラが昂じてつい酒に手を伸ばしそうになるのが “空白の時間” です。この一過性の情動不安へどう対処すべきか暗示してくれました。

「(アルコール依存症者にとって)断酒を始めて間もない頃に共通する悩みは、時間とうまく折り合いがつけられないこと。単純だが原因はこれに尽きる。」
恐らく初心者だった私に聞こえるよう、偶然を装って話してくれたのだと思います。専門クリニックの休診日など何も日課がない日には、再飲酒の影に怯えビクビクしていた私です。これは福音でした。

 滔々と流れる時間には土台抗えません。うまい折り合いのつけ方とは、時計の示す時刻に沿って日々の生活リズムを自律的に刻むことと気づいたのです。一日々々の行動スケジュール(時間割り)を自分できちんと決め、1週間単位で時間割り通りに自律した日常生活を送るということです。

 毎日通院の効果がテキメンだったことからうすうす気づいていたのですが、これで腹を括ることができました。同時に生活環境全般にも思いが拡がり、秩序を保つ大切さにも気づきました。それで “秩序とリズム” を生活のモットーにしたのです。このことがあってからというもの、開始時刻よりも30分以上前にミーティング会場に行くようになったのは言うまでもありません。

 とかく偏った考えに陥りがちだった飲酒時代と縁を切り、飲まないで生きる新しい人生を続けるためとして、ミーティングを考え方の鍛錬の場と位置付けたメンバーがいました。「(ミーティングは)“新しい人生” の道場」、仲間の様々な考え方を稽古台に見立てた彼の心意気が見て取れました。また、「仲間の体験談は “経験した事実” であるところが貴い」と核心を衝いたメンバーがいました。ミーティングで語られる話は経験に裏打ちされた有用な情報であり、他では得難い貴重な教訓なのです。

 これらミーティングで得られた言葉は、記憶が覚束ないながら今でも心に残っています。体験した人でなければ語れない話が、息遣いまで見えるライブ(生)で聴けるのがミーティングです。その場にいた者にしか味わえない醍醐味なのです。


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 AAに参加したての頃は、肝腎のテーマの意味が今一つ分からず、頭の中がグルグル空回りしていたものです。しばらくすると、メンバーの言葉に触発されて頭がパッと閃くようになれました。埋もれていた記憶が蘇った瞬間でもありますし、角度を変えたモノの見方のお蔭でモヤモヤが晴れた “気づき” の瞬間でもありました。

「自助会AA ― 認知行動療法 “言語化” の実践道場」(下)に続きます。



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酷暑対策には野球用の長袖アンダーシャツがお勧め!

2016-08-12 06:43:50 | 雑感
残暑お見舞い申し上げます。

暦の上では立秋といいながら、日最高気温が35℃以上の猛暑日が続き、
夜間の最低気温が25℃以上の熱帯夜が負けじと続いています。
例年のことながら何とも皮肉なことです。

今回は急遽趣向を変えて、野外で活動することが好きな方に
是非お勧めしたい酷暑対策の秘密兵器をご紹介します。
野球用の “長袖アンダーシャツ” これは優れモノです。

長袖というと見た目、抵抗があるかと思いますが、
身体にぴったりフィットし、通気性抜群、涼しさ抜群です。
腋の下や腕も涼しく感じられます。
夏の炎天下でも長時間の試合に耐えられるわけです。
普通の下着は汗を吸うだけで、通気性でハッキリ劣ります。
宣伝コピーに嘘偽りはありませんでした。

こんな酷暑の中にもかかわらず、
私は、この上に鮮やかグリーンの作業用ベストを着て、
頭に麦わら帽子、首にタオルを巻き、長ズボン姿のイデタチで、
相変わらずゴミ拾いを続けています。

こんなイデタチに加え、
350mL缶のノンカロリー・コーラと200mL紙パックの野菜ジュースを
いつも2~3個必携品にしています。
約1時間半ごとに15~20分間ほど休憩を取り、
これらの飲み物で水分を補給しています。

活動を始めると30分ほどで滝のように汗をかきます。
首に巻いたタオルは、すぐに汗を吸い濡れタオル状態になります。
汗をかくと以前なら身体が怠くて動けなくなったものですが、
今は不思議と消耗することはありません。
5~7時間頑張っても体調は至って快調です。
思うに、秘密兵器のアンダーシャツと適切な補水のお蔭です。

これが野外での私の酷暑対策です。
自らの体験で実証された優れモノです。
“長袖アンダーシャツ” お値段は¥3000未満です。是非お試しください。

暑さのせいか最近頭のキレが鈍く、急遽テーマを変更して酷暑対策を書いてみました。
時節がら旬の時期を逸しては空念仏に終わってしまうと思った次第です。
以上、遅ればせながら皆様への残暑見舞いとさせていただきました。


「自助会AA ― 認知行動療法 “言語化” の実践道場」(中)は次週投稿します。



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自助会AA ― 認知行動療法 “言語化” の実践道場(上)

2016-08-05 07:55:33 | 自助会
 「回復期を維持するには自助会に参加するしかありません。励みとなる生きたお手本が身近にいて、悩みを分かち合え安心感も与えてもらえるからです。」私が通うアルコール専門クリニックでしきりに繰り返される言葉です。確かに、自助会に参加し続ける意義の一端を語った言葉だと思います。

 参加歴がまだ2年半に満たない私ですが、Alcoholics Anonymous(AA )のミーティングはアルコールで害された脳のリハビリの場なのだと思えて仕方ありません。第一に挙げられるべき存在意義は、脳を回復に向かわせる機会を提供する恰好の場であること、つまり認知行動療法のひとつ “言語化” を実践する道場であることなのではないでしょうか?

 アル中の人ばかりが集まる会合と聞いたら、さぞかし奇妙な雰囲気じゃないかと想像されるかもしれませんが、その実像は極めて真面目で静かな雰囲気の中で行われています。むしろ厳かと表現した方がいいのかもしれません。参加者の服装も常識的な大人しい身なりが多く、どこにでもいる普通の人と変わりません。中には遊び人だった頃と変わらない奇抜な身なりの人もいますが、至ってまれです。概ね穏やかな顔つきの人々が揃っています。

 AAは縛りの緩い自由な共同体(の集合)です。厳密な意味でいうと組織化された団体ではありません。その実態は、アルコール依存症と宣告された個々人が、自らの意志で各々任意に集う会合です。その会合の場をミーティングと呼んでいます。メンバー(AAでは “仲間” と呼びます)になるには、いずれかのオープンミーティングに出席し、入会したいと告げさえすれば済みます。オープンミーティングなら、会場がどこであろうと誰でも参加でき、予約などの手続きは何も要りません。

 AAのミーティングでは、出席者が守るべきルールがあります。

 ● 本名ではなくニックネームを名乗ること
 ● “言いっぱなし 聞きっぱなし” に徹すること
 ● 話題をアルコール絡みの問題に限るよう心掛けること
 ● 秘密保持に努め、撮影・録音・メモの類は御法度であること
 ● 会の運営費を賄うため少額でも献金すること
                      以上の5つだけです。

 ホームグループが全国に無数点在し、ミーティングを主催・運営しています。ホームグループに所属するのも、所属しないでいるのもメンバーの自由です。メンバーは、所属グループに関わりなくどこのミーティングでも自由に出席することができます。

 メンバーは、年齢も性別も職歴も断酒歴も様々です。出席者を見ていると、20歳代の人もいれば80歳代の人もいますし、3割ぐらいは女性です。断酒を始めて間もない初心者の人もいれば、10~20年と長い断酒歴のベテランの人や、当然これらの中間の断酒歴の人、中にはまだ断酒し切れていない人もいます。皆いつ暴走するか分からないアルコール依存症を背負い、死と背中合わせのままに酒を断って生きていこうとしている、メンバーの共通項はこの一点だけです。

 ミーティングは、当日の司会者によるハンドブックの序文朗読、志願者による『回復のプログラム』の短い章の朗読、再び司会者によるテーマの設定と導入的な自らの体験談、メンバーの体験談の順に進められます。司会者によっては自らの体験談の方が先で、テーマの宣言が後のことも結構あります。ミーティングごとに司会者が交代し、テーマもその都度変わるのが原則ですが、偶然同じテーマが連続することも間々あります。

 テーマとして繰り返し採用されるものに次のようなものがあります。
 “今日一日”、“自分(or今)を大切に”、“アルコールに無力”、“底着き(体験)”、“心の落ち着き”、“ありのままを ありのままに受け入れる”、“転機”、“感謝”、“第一のことは第一に” ・・・など、一見禅問答と見まがうかもしれません。AAではミーティングの都度テーマを設定していますが、X△断酒会など他の自助会ではテーマなしでやっているそうです。AAが他の自助会と大きく異なる点の一つです。

 司会者が体験談を語り終えると愈々メンバーの語る番となり、司会者の指名により順に発言していきます。司会者の話やその後のメンバーの話に触発され、各人がテーマに沿って過去に体験したエピソードや現在抱えている悩み、近頃思うところなどを語るのです。たとえテーマに沿わないことであっても発言したいことがあれば、いつでも挙手して発言することもできます。その間、他のメンバーは黙想し続け、ひたすら聞き役に回るだけです。黙って聴いていると、頭の中をさまざまな記憶が去来します。

 語られる体験はアルコール絡みの酒害体験がほとんどです。メンバーが歩んできた背景は様々ですが、同じアルコール依存症者として経験してきたことは驚くほど似通っています。それぞれが苦しんできた酒害体験と、それに至った心理には共通するところが多いのです。たとえ詳しい説明が省かれた話でも、結構理解し合えるのはこのためです。

 テーマがその場の共通の土俵というのも大いに意味があると考えています。テーマが決められていることで、話題はテーマに沿ったものという前提で聴くことができます。聴き手にとって、これほど聞きやすい環境はありません。

 テーマが告げられてから語り始めるまでの間、発言者に筋の展開を吟味するなど心の余裕はほとんどありません。この心理的ゆとりのなさも、思わぬ舞台効果を発揮します。ある意味シナリオのない一人舞台で、つい本音を吐露してしまうことになるのです。

 初心者なら殊に、咄嗟に思い当たったエピソードを起点に話し始めるのですが、自分でも思わぬ方向に話が飛んで、その本音の展開に話していてビックリすることがあります。ふと口走った言葉が、できれば隠しておきたかった本音と気付きハッとすることもあります。口から出た途端、肩の荷が下りたと実感されるものですから、それ以後隠し立てしても無駄と思うようになれるのです。そんなわけで、話の筋立ては別にしても、生々しく語られた言葉は正直で誠実なものと考えざるを得なくなります。

 誠実に語られた話というのは、たとえ筋が飛んでいたにしても、チクチク記憶を刺激するものです。去来する自分の記憶と呼応し、共感できることが多いばかりか、「なるほど そう考えるのか?!」とかつての自分の至らなさを思い知らされることがあるのです。

 もちろん共感できる話ばかりではありません。腹立たしさを覚え、とても不愉快になる場合も時にはあります。自分の欠点と共通する嫌な性格が見えてしまい、ついそれに反発しているからだと、今ではそう考えるようにしています。腹立たしさを感じる時も、心が安らぐ時も、すべての要素は自分の内にある、こう思えるようになるまでそう時間はかかりませんでした。


 次回はミーティングの持つ実用的な御利益の話をします。(中)に続きます。



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