ヒゲジイのアル中よもやま話

断酒を始めて早7年目。このブログは回復プロセスの記録と脳のリハビリを兼ねて綴っています。やはり、まだチョット変ですかネ?

これぞ敬老の日

2017-09-26 07:46:36 | 雑感
 敬老の日、ゴミ拾いの途中で一人の老人から声を掛けられました。
 
「いいことやってるねぇ、お陰で歩いていて気持ちがいい! 旦那さん、ご自身もやっていて気が晴れるんでしょうね?」
「ええ、目障りなゴミがあってはどうにも落ち着かなくてねぇ。・・・実はゴミ拾い、糖尿病にもいいんですよ。」
「そうそう、精神衛生上いいんだよねぇ。溝(どぶ)さらいをやっている人が同じことを言ってましたよ。精神衛生上とてもいい、とネ。終えた後の一杯が堪らなく美味いって・・・。」

 糖尿病を飛ばされたのにはガッカリでしたが、“精神衛生上” はドンピシャリで嬉しくなりました。
「まったく同感です。・・・お元気そうですが、お幾つなんですか?」
「85歳。これでも中国からの引き揚げ者なんです。」肌につやがあり、とても85歳には見えませんでした。
「ほぉ、お若く見えますね。満州ですか?」
「そう、満州・・・」と言ってこんなことを話してくれました。

 よく聞く引き揚げ者の悲惨さは、敗戦となって引き揚げが決まった後ことで、周りの人々の態度がガラッと変わり、老人も言葉にできないぐらい過酷な目に遭ったそうです。老人の父親はそれまで警官をしていて結構よい暮らしぶりだったと言い、当時の内地よりも遙かに快適な生活だったようなのです。

「そうらしいですね、新聞の特集記事で知りました! 満州の都市部で生活していた人は内地よりも暮らしぶりが良かった、と。その一方、奥地に入植した開拓団の人々は全く逆の暮らしぶりだったのでは・・・?」
「開拓団・・・か!? そう言えば妹を埋葬したとき、墓地の仕切りの片隅で若い母親が赤ん坊を抱いたまま亡くなっていたんです。外は -30℃ですよ! 遺体はカチンカチンに凍っていました。・・・」老人の目は遠くを見つめているようでした。

「今日は旦那さんに会えて良かった。開拓団を思い出させてくれてありがとう!」老人は今に至るまで心の奥に蟠りを抱えていたようでした。
私の言葉が心の整理を付ける手がかりとなったなら望外の喜びなのですが・・・。
「ところで、旦那さんはお幾つ? そう、66歳・・・健康そのものに見えますよ!」

 私をもっと年寄りと思っていたようです。ゴミ拾いが糖尿病に良いと言っても受けなかったことと言い、見た目より若いと言ってもらえなかったことと言い、期待していただけに私としては肩すかしを食らった気分でした。
“一日一善” ができたと見なし、まぁ善しとしましょう。



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