好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」 ロストロポーヴィチ/ロンドンフィル

2015-05-15 22:49:23 | ドヴォルザーク 交響曲第9番 新世界より
ドヴォルザーク
交響曲第9番「新世界より」

指揮…ロストロポーヴィチ
演奏…ロンドンフィル
好み度…3.5(5点満点)

ゆっくりとしたテンポで、ジャケットの帯にもあったが確かに重量級である。
ただ、チェリのゆっくりとちがって、それで何かを生み出しているかといえばそういう気もせず、
深みや叙情性を湛えたかといえばそうでもなく、
同じコンビのチャイ5で魅せた艶も完成度も感じられない。
軽い新世界も好きではないが、こう重い新世界もまたどうか、というのが正直な印象。
レコード芸術誌推薦とのことなので聴く人がちがえばまた印象もちがうのかもしれないが。


ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」 クリュイタンス/ベルリンフィル

2015-05-07 23:16:01 | ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
ベートーヴェン
交響曲第6番「田園」

指揮…クリュイタンス
演奏…ベルリンフィル
好み度…4(5点満点)

ベーム、ワルターと並んで名盤の誉れ高い盤。
終始弦楽器、特にヴァイオリンの清らかな響きの美しい、美しい田園である。
逆を言えば、ホルンなど他の牧歌的な楽器は他の演奏に比べるとずい分控えめな印象ではある。
特によさを感じるのはやはり終楽章か。清らかな弦にピチカートも美しく、ゆっくりめに、優しい響きで歌われる旋律と美しい弦の重なりは、牧歌的だったり、土の香りあるいは人の営み、というよりは、天上の美しさを思わせるようである。
美しい田園である。

ベートーヴェン 交響曲第7番 デイヴィス/シュターツカペレドレスデン

2015-05-07 23:10:44 | ベートーヴェン 交響曲第7番
ベートーヴェン
交響曲第7番

指揮…デイヴィス
演奏…シュターツカペレドレスデン
好み度…5(5点満点)

これは名盤でしょう。
何といっても響きが深みと艶を湛えて美しい。
この曲は演奏によって結構様々な顔を見せるが、激しいタイプの7番ではなく内声も豊かに美しく、弦も管も艶と明るさと深さを湛えて、かつ活力をもって一糸乱れぬアンサンブルで完成度も大変高い。フィナーレはじめ厚さも力感も不足ない。
展開や楽器の出し入れもオーソドックス(テンポは少なくとも速くはない)だが、この次元までくればそれは平凡ではなく正統とか格調とかと形容されるのでしょう。
激しさや特別の熱さなどはないが、艶、明るさ、内声の妙、活力、といったタイプの7番の、1つの極みに位置する盤だと思う。

ブラームス 交響曲第4番 クライバー/ウィーンフィル

2015-05-07 23:04:13 | ブラームス 交響曲第4番
ブラームス
交響曲第4番

指揮…クライバー
演奏…ウィーンフィル
好み度…4(5点満点)

各楽器の主張のはっきり出されたドライでクールでスタイリッシュな演奏。
ウィーンフィルの美音もあって、特に情緒性を出してはいないのだろうが、それでもほのかな情緒性とこの曲のもつ厚みと美しさが伝わってくる。
また、メリハリの効いた楽器の出し入れはさすがとも思わせる。
情感とか重厚感とか潤いのある艶とか余韻とか、というよりはドライにメリハリを効かせた表現で鋭利な感すら感じさせる冷めた情感を、
スケール感というよりはコンパクトに凝縮させた感を、
感じるような、やはりひとことでいえばドライな演奏ということになるのだろうか。
個人的にはこの曲にはもうちょっと潤いというか深みというか、を感じたいところ。

チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 ヤンソンス/オスロフィル

2015-05-05 23:16:47 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー
交響曲第6番「悲愴」

指揮…ヤンソンス
演奏…オスロフィル
好み度…4(5点満点)

このヤンソンスとオスロフルとのチャイコシリーズ、4番5番では、美しいが迫力不足がこれらの曲には合わないような気がしてピンとこなかったが、
悲愴では高音の美しい録音と美しい音作りがそれなりにはまって1つのタイプとして心地よい演奏になっていると思う。
第1楽章は楽章を通して美しく、展開部も美しく丁寧な音作りのまま迫力も備えているし、
第2楽章のワルツの美しさは、踊り出すようなヴァイオリンの表現など印象的で他に秀でたものとなっている。
第3楽章も前半は小気味よい楽しさと後半は推進力あふれるフレーズの処理と展開でよい仕上がりだし、
終楽章もなかなかに美しい。
全編通して悲壮感はほとんど感じず情感に秀でた印象はないが、美しさと適度な音響的迫力を備えた6番を聴きたいときにはよい盤だと思う。

ブラームス 交響曲第1番 ボールト/ロンドンフィル

2015-05-05 23:09:32 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス
交響曲第1番

指揮…ボールト 
演奏…ロンドンフィル
好み度…3.5(5点満点)

良質な十分な分厚さと、縦を揃えてバランスのとれたアンサンブル、低音もホルンもしっかり響いてシンフォニーとして非の打ち所のない、というか、大変デキのよい演奏。
と同時に、情感あるいは特有の雰囲気が感じられない(フィナーレもしっかり音量はあるが決して劇的ではない)という側面も感じるが、解説にボールトのことを「いわゆる感傷を極端にきらった指揮者」とあって頷ける気がする。ついでに解説からの文を書くと「正攻法で奇をてらわず、ブラームスのスコアを忠実に音へ翻訳し」「古武士のような風格をたたえながら、いつくしむような優しさが伝わってくる」とあり、まぁ、そういうことかな、とも思う。
一般的には大変評価の高い盤のようであり、私も特に異を唱える気はありません。
ただ、先に書いたように、情感あるいは特有の雰囲気だったり、特に感銘を受けるものも感じなかったので、好み度としてはちょっと低め、です。

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 アシュケナージ/メータ/ウィーンフィル

2015-05-05 23:02:42 | ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」&第4番
ベートーヴェン
ピアノ協奏曲第5番「皇帝」

ピアノ…アシュケナージ
指揮…メータ
演奏…ウィーンフィル
好み度…5(5点満点)

ピアノもオケも活力に満ちかつ華麗。
アシュケナージのピアノは、強奏部は濁らず結構スケール感を感じさせつつ華麗であり、弱音部等で随所に聴かれるアシュケナージならではの音の美しさはまたこの盤ならではであり、華麗な宮殿の若き皇帝、をイメージさせる。
メータの振るウィーンフィルも張りと活力がありウィーンフィルならではの古風な美音もよく引き出されていて、躍動感のある、これまた華麗な、サポートというよりはピアノとの両主演といった感がある。
第2楽章も大変美しく聴く人に何かを感じさせる雰囲気がある。
他にない華麗さと気品を感じさせる名盤だと思う。

ブラームス 交響曲第2番 スクロヴァチェフスキ/ザールブリュッケン放送響

2015-05-04 01:07:21 | ブラームス 交響曲第2番
ブラームス
交響曲第2番

指揮…スクロヴァチェフスキ
演奏…ザールブリュッケン放送響
好み度…4(5点満点)

高・低弦の澄んだ美しい響きとそのアンサンブルが印象的。
弦は厚く明るく透明で伸びやかであり、低弦もしっかり響いた透明感が印象的。
金管はやや控えめな印象だが、響くところはちゃんと響いてこの演奏の雰囲気に沿って特に不足感はない。
第1~3楽章は伸びやかで透明感ある高・低の弦を中心に音の重なりも美しく、第1楽章で弦で奏される主題も伸びやかに清らかで印象的だったり、重厚感はないが澄んだ響きと音の重なりの美しさという点で秀逸。
終楽章は軽快快活な雰囲気で結構飛ばしていて、やや軽いといえば軽いのが少々惜しい感はある。
所謂ブラームス的な重厚感とかを感じられるタイプではないが、明るく透明感のある厚みと美しさが印象的な、この盤ならではの魅力をもった盤である。

チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 ムラヴィンスキー/レニングラードフィル

2015-05-04 00:58:46 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー
交響曲第6番「悲愴」

指揮…ムラヴィンスキー
演奏…レニングラードフィル
好み度…4(5点満点)

悲愴の演奏数あれど、やっぱりこの演奏は凄い。
特に変わったことはやっていず、アプローチとしては一般的な悲愴だが、凄く聴こえるのはやはり演奏水準の高さ故、ということなのだろう。
高い緊張感は途切れることなく各員がっちり線をそろえ、金管群は音量自在に咆哮し、弦は当たり前のように鋼のような深い音を響かせる。
大きな音を出すとなれば管弦ともに他では出せないくらいの音を響かせ、それがしっかりアンサンブルを保ちつつ聴くものに迫る。低弦ががっちり響いているのも特徴かな。
第1楽章第2主題は思いの他美しく奏され、展開部クライマックスは少し劇的に、第2楽章は少しだけ哀愁を感じさせ、第3楽章は豪放勇壮にて終楽章は結構起伏をつけて弦を切実に弾いてみたり。全体的に厳しい中にも情感もそれなりに織り込まれた演奏のように感じる。
どこか巌のような冷たさと、その凄さもどこか機能的な凄さのような感じがして、個人的にはそれほどお気に入りの悲愴というわけではない。
ただ、凄い演奏であることは確かだろうし、名盤であることもやっぱり確かだろうと思う。

ドヴォルザーク 交響曲第8番 テンシュテット/ベルリンフィル

2015-05-04 00:47:33 | ドヴォルザーク 交響曲第8番
ドヴォルザーク
交響曲第8番

指揮…テンシュテット
演奏…ベルリンフィル
好み度…4.5(5点満点)

ドヴォ8なのに、なぜか鬼気迫るような、緊張感すら漂う、燃焼度と完成度の高い快演。
第1楽章は結構快速テンポ。煽るような快速にただ弾くだけでも大変そうだが、この快速でしっかり線を揃え、ちゃんとテンシュテットのつくりたかった音をつくるあたり、さすがベルリンフィルである。
第2楽章は情感豊かに、他の盤では聴かれないような深みと大きさもまとってしっかり聴かせるし、終楽章は特に前半の早めのテンポでの推進力と躍動感は見事。
テンシュテットも見事だが、これくらいの快速で、十分鳴らしながらも特有の厚いけど重くならない音質で見事なアンサンブルで演奏しきるあたりベルリンフィルもまたうまいなぁ、と思う。
録音は少々艶を欠くが、緊迫感みなぎるこの演奏を聴いているうちにそれほど気にならなくなる程度、かな。
牧歌的な小気味よい明るい8番ではない。ベルリンフィルもいつになく熱く感情的なように聴かれ、聴く方が知らないうちに力が入ってしまっているような、鬼気迫るような緊張感と熱さに充ちた快演である。
※2018.5/16一部改文及び好み度4から4.5に