The Sidewinder/Lee Morgan
(Blue Note 84157)
(Blue Note 84157)
サイドワインダーとは新英和中辞典によると、アメリカ北西部の砂漠に生息するガラガラヘビの一種で砂の上をS字型にまげながら横滑りして移動するのが特徴らしい。さらに、獲物から出る赤外線を感知する能力があるという。また別の意味では米軍の赤外線感知空対空ミサイルもこの名前で呼ばれるが、1963年に米軍がこんな気の利いたミサイルを持っていたとも考えられないし、やはりモーガンがイメージしたのはこのヘビのことなんでしょうね。と思ってライナーノートを見てみると"There's a snake called the sidewinder, but I was thinking of the bad guy."とモーガン自身が語ったとあります。確かにこのタイトル曲、”悪童”のイメージを感じさせるジャズロックの佳曲ですよね。ブルーノートの空前の大ヒットなった事も衆知のとおりです。シングルカットされたこのタイトル曲はビルボード81位というジャズとしては空前のヒットとなったと言います。このアルバム、真のジャズファンからはむしろ毛嫌いされているのかも知れませんが、個人的に爽快で気持ちよくなるアルバムの最右翼なんですよ!
メンバーの解説は不要でしょうが、モーガン、ジョーヘン、バリー・ハリス、ボブ・クランショー、ビリー・ヒギンズの五重奏団ですよね。演奏曲はこのタイトル曲と2曲目の"Totem Pole"のこれだけでもう充分です。B面?印象ないです。なくても良いです。ヒギンズの打ち出すダンシングビートに乗って出てくるモーガンが最高です。得意のハーフバルブを駆使した吹奏は彼ならではのスピード感、色気があって、彼の人気の源がこの奏法にあるのは言うまでもないですよね。ジョーヘンの硬質なトーン、さらにハリスな重厚なサウンドと8ビートじゃろうが4ビートじゃろうが、そんなものは関係ない!各人のソロを素直に楽しめばいいのです。皆さんこのアルバムにはいろいろご意見があろうと思いますが、何も考えないで楽しめるアルバム、それがこのサイドワインダーなんですよね。
NYCのステレオ盤です。キング盤も所有しているのですが音が重くモサッと聴こえ、クランショウのベースなんかは切れの良い音で録られているこのNYC盤が断然上かと一人悦にいってます。