行政法の設問2でよく問われる「本案における主張」=「違法事由の主張」。①実体違法と手続違法をチェックして,②手続違法に関しては「重大な手続違反の場合に取消違法を構成する」,という処理をするのが定番です。
この場合,気をつけないといけないのは,「重大な」手続違法と言う以上,「重大である」ことの認定が必要となると言う点です。
一般的に理由付記や聴聞手続など行手法の中でも「花形」の手続に違背する場合には,「重大な手続違法あり」と認定する事が多いです。ただ,個別法固有の手続違法の問題の場合,この手法が使えません。ではどうするか。
当該個別法が規定する手続全体における当該手続の位置づけを問題にすることになります。当該制度全体の中での当該手続の重みを見る,ということですね。比較的多いのが,諮問機関・専門委員会等によるの関与の位置づけとか,公聴会の位置づけ,更に公聴会内部での手続の持つ意味合いなどです。これらは,一般論として「諮問機関とは~」ということを述べてもあまり意味がありません。当該規制の仕組みの中で現実にどう機能するものなのかを説明しないといけません。
逃げの一手として,「行政手続法が制定されたことに鑑み,適正な手続の元で処分を受けることそのものが重要な利益なので,本件手続の違背も取消違法を構成すると考える」という論証がありますが,実際問題,個別法の解釈を回避してしまうことになるのは留意が必要です。