娘が追いついて来た。丘の上のパブを見て安堵したようだった。その嬉しさは言葉には表せない。ドアを開けて、最初に目に飛び込んできたのは、泥のついた2足の長靴と杖だった。さっきの夫婦連れかな?と思ってパブの中を見渡した。靴を履き替えて、入り口から左側の眺望のよい窓ぎわ席で、食事を楽しむ彼らの姿が見えた。
私たちは、思わず自分たちの足元を見た。泥まみれだった。ちょっと躊躇したあと、もう一度パブの中を観察した。すると、店内の右手奥に暖炉があり、ドリンク類を出すカウンターがあるのが見えた。
よくよく見ると、打ちっぱなしのコンクリートのような床になっていた。犬の散歩途中らしき青年や、お年寄りたちがビールを飲んでいた。ちょうど暖炉の近くに小さめのテーブル席が一つ空いていた。そこに落ち着いて、娘を見ると顔色がどうもよくないようだ。
「具合悪いの?大丈夫?」
「大丈夫だけど、疲れたぁ~」
「何か食べたら元気になるよ」
娘はあまり食欲がないらしく、野菜サラダとリンゴジュースを注文した。私はコテージ・パイと温野菜、そして地ビールにした。暖炉で暖まったパブにしばらくいたら、凍えそうだった体が少しずつほぐれてきた。しかし、娘はぐったりして目を閉じている。食べて、少し休めば元気になるだろうか…。(つづく)
私たちは、思わず自分たちの足元を見た。泥まみれだった。ちょっと躊躇したあと、もう一度パブの中を観察した。すると、店内の右手奥に暖炉があり、ドリンク類を出すカウンターがあるのが見えた。
よくよく見ると、打ちっぱなしのコンクリートのような床になっていた。犬の散歩途中らしき青年や、お年寄りたちがビールを飲んでいた。ちょうど暖炉の近くに小さめのテーブル席が一つ空いていた。そこに落ち着いて、娘を見ると顔色がどうもよくないようだ。
「具合悪いの?大丈夫?」
「大丈夫だけど、疲れたぁ~」
「何か食べたら元気になるよ」
娘はあまり食欲がないらしく、野菜サラダとリンゴジュースを注文した。私はコテージ・パイと温野菜、そして地ビールにした。暖炉で暖まったパブにしばらくいたら、凍えそうだった体が少しずつほぐれてきた。しかし、娘はぐったりして目を閉じている。食べて、少し休めば元気になるだろうか…。(つづく)