いつも辛口のgendai.netから二つの記事(http://gendai.net/articles/view/syakai/134072、http://gendai.net/articles/view/syakai/134106)。
処理して無害化できる訳が無いし、完全には除去できないだろう。元々ストロンチウムは取れないのか? 〝除去〟装置は、この記事を読む限り、やはり機能していないと判断せざるを得ない。フランスといった世界の原子力ムラの親戚を儲けさせているだけだろう。それは良い(良くはないけれど)として、それよりもはるかに、東京電力界隈の原子力ムラ住人がFUKUSIMAの住民や、周辺海域の漁師、世界の人々を「問題は解決した」と騙そうとしてばかりいることの方が、大きな問題だろう。詐欺的行為だ。
生物学的処理も含めて、水処理は基本的には固形物に変えて汚染物を固液分離することである。ナウシカの世界ではないのだから、放射性物質は(微)生物による分解・無害化など期待できない。自己崩壊以外で放射性物質はこの世から消えないし、除去できない。したがって、半減期の長い放射性物質では、固形物に変わるか固形物に吸着されたとしても、この世から消えた訳でもなく、無害化された訳ではない。膜処理で淡水化(100%淡水化は無理だと思われる)しても、濃縮排水が出てくる。淡水化処理でこの世から放射性物質が無くなったかのようにミスリードしてはいないか? その固形物や濃縮排水の処分(処理でない)という問題が依然残されている。3.11から約10カ月で、「問題は解決した」などという幻想はあり得ないし、それをまき散らされてはたまらない。原発再稼働や原発輸出などといった愚かな行為で、原子力ムラ住人を蘇らせてはならない。
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【http://gendai.net/articles/view/syakai/134072】
「浄化水」から猛毒ストロンチウム基準値100万倍超えなんて
2011年12月6日 掲載
どうなってんだ! 福島原発の汚染水
またまた不安材料が飛び出した。福島原発の高濃度汚染水の処理施設から、ストロンチウムなどを含んだ45トンもの大量の水が漏れ出した問題だ。うち約300リットルは海に漏出した可能性があるというから深刻である。
東電は「汚染水を浄化後、淡水化するための濃縮装置の配管のつなぎ目から漏れたと推定している」(広報担当者)と言っている。しかし、いつも汚染水の処理については断片情報ばかりでサッパリわからない。「1日約470トンの汚染水を浄化して冷却に使っている」と説明するが、具体的にどこの汚染水がどれだけ浄化され、どうして漏れたのか。原子炉建屋の地下にたまった8万トン超の高濃度汚染水が依然として減らないのはなぜか。仕組みはチンプンカンプンなのだ。
今回のトラブルの舞台は、汚染水処理の最終工程である淡水化装置だ。逆浸透膜(RO)方式と蒸発濃縮方式の2系統を併用していて、水漏れは、蒸発濃縮方式の建屋から見つかった。
濃縮方式のうち60億円かけて導入された仏アレバ社製のポンコツ装置は、9月に稼働休止となった。それに続いて、今回の水漏れで稼働していた東芝製も全面ストップだ。先が思いやられるし、さらなる疑問も湧いてくる。
漏れた水のセシウムは、法で定められた海水濃度基準の約300倍。ストロンチウムは、濃度基準の約100万倍とみられる。最終工程であるはずの淡水化装置の中に、これだけ高濃度の汚染水が含まれていたのだ。ちっとも、「浄化」できていないではないか。
<東電は「100%除去できるわけではない」と言い訳するが>
東電は「浄化システムを通しても、放射性物質を100%除去できるわけではありません」(広報担当者)と言い訳するが、それにしたって「100万倍」では説得力ゼロだ。
今回のようなヒビ割れが見つかれば、再び海水が侵されていく。環境ジャーナリストの天笠啓祐氏がこう言う。
「海に流れた放射性物質は薄まることなく海底の土に残り、放射線を放ちながら海底のプランクトンや魚介類に取りこまれます。小さい魚から最終的にマグロ、鯨など大きな魚に濃縮される。政府の除染作業もそうですが、最終的に海に流れても仕方ないという発想は危険です。食べ物になって自分たちにハネ返ってくるのです」
そういえば、内閣府の園田政務官は「安全は確認されている」と、浄化した汚染水をコップ1杯飲み干していた。本当に大丈夫なのか……。
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【http://gendai.net/articles/view/syakai/134106】
【田中康夫 にっぽん改国】
除染はもとより「除洗」も不要だ
2011年12月7日 掲載
メルトダウンを超えてメルトスルーに陥った東京電力福島第1原子力発電所の周囲は「放射能に占領された領土」と冷徹に捉えるべき。その放射能は、「人間の五官が察知し得ぬ無色・無臭・透明」で、極めて厄介な存在なのです。
とするなら、原発から少なくとも30km圏内は居住禁止区域に設定し、愛着を抱く郷里から離れる当該住民には、国家が新たな住居と職業を提供すべき。それが、「国民の生命と財産を護(まも)る」政治の責務です。にも拘(かかわ)らず、「今の所は大丈夫」会見を続けた枝野幸男氏にも、「今は既に大丈夫」発言を続ける細野豪志氏にも、身を挺して有言実行する哲学や覚悟は窺えません。チェルノブイリ原発周辺の住民に、更には生まれ来る生命に勃発した身体の異変・異常が「フクシマ」に限っては起こり得ない、と断言出来る訳もないのに。
放射能に汚染された土壌を30年間保管する中間処分場を福島県内の国有林等に設置するが、その後の最終処分場は県外に、と「約束」する細野氏も30年後は70歳。大半の政治家は引退しているのです。無責任な問題先送りです。国有林内の「保管物」が雨水に混じって河川に流れ出たら、イタイイタイ病どころの話ではありません。
映画「100、000年後の安全」に登場したフィンランドのオンカロ以外に現在建設中の放射性廃棄物最終処分場は地球に存在しない事を鑑(かんが)みれば、住民が移住後の「フクシマ」を最終処分場とし、この瞬間も世界中で排出される廃棄物を受け入れたなら、これぞ最大最強の安全保障政策の確立です。
「除洗」も、再考すべきです。語弊を恐れず申し上げれば、桜島の噴火が終息していないのに鹿児島市内で愛車を水洗いしている“滑稽さ”と同一です。人海戦術で駆り出された住民が内部被曝を起こさぬ保証は何処にも無いのです。トンネルじん肺やアスベストの悲劇から何も学ばぬとは。
更には、除洗の際の水は如何に処理しているのか、杳(よう)として語られません。ここでも、水俣病どころの話では無いのです。
が、渡部恒三氏の秘書から参議院議員を経て福島県知事に転身した佐藤雄平氏は、人口が減少すると交付税も減少するので疎開や移転には反対、と高言する始末。笑い話では済まされない日本の政治の機能不全です。
【田中康夫】
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