『暗川』様のブログの記事(http://lumokurago.exblog.jp/8743982/)からの一部孫引です。すいません。青木理さんや森達也さんらの〝目〟を捜していた際に見つけた記事です。現時点では、青木さんの〝目〟を見つけることができませんでした。
『●異例中の異例、一人の判事の反対意見』
『●手遅れ!! ~死刑のスイッチを押すことと死刑執行~』
『●光市母子殺害事件最高裁判決:
安田好弘弁護士憎しの流れの一環か?(1/2)』
『●光市母子殺害事件最高裁判決:
安田好弘弁護士憎しの流れの一環か?(2/2)』
『●光市母子殺害事件最高裁判決: 神保哲生さんらの〝目〟』
バカ騒ぎばかりしているマスコミや記者・レポーターの皆さんは、少しは森さんの言葉に耳を傾けてみてはどうか。死刑存置派丸出しで、死刑廃止派というレッテル貼りに夢中になるのではなく、「死刑のスイッチ」を押すことの意味を考えてみてはどうか。
いまとても気になることは、今後もし本村洋氏が〝蓮池透氏的存在〟となった時のマスコミや記者・レポーターらの手のひら返し、である。本村氏の発言は、特に最高裁判決後において、〝蓮池透氏的存在〟への萌芽を感じるのだけれども、その予感が現実となった時、死刑存置派の対応は、無視それとも逆バッシングだろうか?
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【http://lumokurago.exblog.jp/8743982/】
■森達也氏語る(光市母子殺害死刑判決)
以下は沖縄タイムス記事です。森達也氏が光市母子殺害死刑判決について語っています。
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死刑ありきに民意変化
僕は自宅でニュースを見ていた。判決は予想通り死刑。その後はワイドショー。「もっと早く死刑判決を出していれば、本村さんもこれほどにつらい思いはしなかっただろうに」。女性コメンテーターが言う。「本村さんの胸のうちを思うと言葉がないですね」。別のゲストのコメントに、司会者は深くうなずいている。
見ながらふと気がついた。ここには自分という一人称単数の主語がない。スタジオに並ぶ全員の主語に、いつのまにか「本村さん」が憑依している。死刑判決を受けた元少年の存在すらも消えている。
メールのやりとりではあるけれど、本村洋さんとは多少の付き合いがある。聡明で高潔な人だ。死刑制度を推進するかのような立場に自分が置かれていることに、内心では強く葛藤もしている。
でもほとんどのメディアにおいては、そんな煩悶は、当然のように捨象されている。
昨年の死刑判決総数は46人(共同通信社調べ)。戦後最多数を記録した。
司法は民意に大きな影響を受ける。特に近年はその傾向が強い。転回点になったのは地下鉄サリン事件だ。他者への不安と恐怖を大きく刺激された日本社会は、危機管理意識を激しく高揚させた。帰結として善悪二分化が促進され、厳罰化が加速した。
高揚した危機管理意識は共同体における同調圧力を強化する。特に若い世代の間に、近年「KY(空気が読めない)」なる言葉が流行する背景には、このセキュリティーへの希求が働いている。
街行く人に治安状況について尋ねれば、たぶん10人中9人は「物騒な世の中になってきたねえ」とか「凶悪な事件が増えてきたなあ」などと答えるだろう。民意に背中を押されながら、刑事司法が大きく変わりつつある。
ならば考えねば。本当に治安は悪化しているのだろうか。
実のところ昨年の殺人事件の認知件数は、戦後最低を記録している。最も多かった1954年の三分の一だ。つまり治安は圧倒的に良くなっている。
でも警察はこれを大きくはアナウンスしない。危機をあおる方が視聴率や部数が伸びるメディアも同様だ。
こうして治安悪化の幻想は肥大して、この社会の内枠を少しずつ変えてゆく。
今回の裁判で弁護団が主張する母胎回帰ストーリーに対しては、確かに若干の違和感を僕は抱いている。でも検察が主張する計画的な犯行説に対しては、その違和感はもっと強い。
もしも計画的な犯行なら、自分の家族が暮らす家の近所を標的にするだろうか。就職したばかりの水道設備工事会社のネーム入り制服を着たそのままで犯行に及ぶだろうか。何よりもそれまで女性体験がまったくない少年が、いきなりレイプと殺害とを計画して、さらには遂行できるものなのだろうか。
いずれにせよこれで、死刑判決の基準は大きく転換した。判決の文脈を読めば、永山基準における「死刑はやむをえない」場合が、「死刑を回避する事情を見いだせない」場合に変化した。
つまり前提が、まずは「死刑ありき」に転換している。
その善しあしについては、今はもう触れない。悪いことをしたのだから死刑で当然だ。そう主張する人に対しても言葉はない。今はただ、自分の無力さに吐息をつくばかりだ。
*****ここまで引用。
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