東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013072102000113.html)と社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013072302000131.html)。
『●もんじゅ: 責任者に責任を取っていただきましょう』
本当にこのまま原発推進や原発輸出に自公政権を邁進させて大丈夫なんですか? 理解できないです、私には。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013072102000113.html】
原子力機構 除染排水に二重基準
2013年7月21日 朝刊
福島県の除染モデル実証事業を発注した日本原子力研究開発機構が、二〇一一年十一月に受注した三つのゼネコン共同企業体(JV)に、二つの異なる除染排水の管理基準を設定していたことが二十日、共同通信の調べで分かった。
鹿島と大林組の二つのJVには、政府が除染排水の目安としている原発の排水基準「放射性セシウム濃度は一リットル当たり九〇ベクレル以下」を適用。一方、大成建設JVには、当時「原発排水より甘い」と問題視され、政府が見直しを検討していた暫定的な飲料水基準「二〇〇ベクレル以下」を大成の要望通り認めた。
飲料水基準は直後の同年十二月、厚生労働省が二十分の一の一〇ベクレル以下まで大幅に引き下げている。
放射線の環境影響に詳しい岡野真治・元理化学研究所研究員は「住民の意向で国(の目安)より厳しくすることはあっても、緩めることはあり得ない」と指摘。企業の要望通りに緩い基準を容認した原子力機構の姿勢が問われそうだ。
原子力機構と各JVによると、排水基準について個別に交渉。鹿島と大林組は「(政府の目安の)ほかに適用すべき基準はない」として九〇ベクレル以下で原子力機構と合意した。一方の大成は「緊急的な線量低減が求められている」とし、原発事故直後に暫定的に設定された飲料水基準二〇〇ベクレル以下にならうことを提案。同機構は「(九〇ベクレル以下は)法令基準ではないので二〇〇ベクレル以下でも問題ない上、(実証事業は)委託研究なので受託元の考えを尊重した」として、異なる排水基準の並立を容認した。
実証事業での排水基準は、設定を変えることによるデータ収集が目的ではなく、あくまで環境保全のためだった。
二〇〇ベクレル以下を認められた大成JVには日本国土開発などが参加。原子力機構の事業報告書などによると福島県南相馬市、飯舘村、浪江町で最大一五三ベクレルの排水をした。南相馬市では一部を農業用水に通じる側溝に流していた。
同機構は事業終了時の昨年六月にまとめた「質問・回答集」で、九〇ベクレル以下を管理基準とし、排水の目安にしたとの見解を公表した。
◆農業復興への妨げ
新潟大学大学院の野中昌法教授(土壌環境学)の話 除染モデル実証事業の地域は農業地帯だ。排水が農業用水に入り、放射性セシウムが底に沈殿し再汚染するため、一リットル当たり二〇〇ベクレルを基準に排水したら農業復興はできない。現地を調査しているが、大水が出ると、普段〇・一ベクレルの水に沈殿したセシウムが混濁し、約二〇ベクレルまで上昇したことがあった。稲作の実験では、〇・一ベクレルの水で育てた稲から、一キロ当たり約八〇ベクレルを検出し八百倍の濃縮度を確認したケースもある。排水は慎重にすべきだ。
<原子力機構とゼネコン> 日本原子力研究開発機構は、高速増殖原型炉「もんじゅ」や核燃料再処理技術の研究開発などを理由に、産業界との人事交流を進めてきた。日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構が合流して原子力機構が発足した2005年10月以降、除染モデル実証事業がスタートした11年末までの約6年間で、大成建設、鹿島、大林組などゼネコン14社から計84人の出向を受け入れた。原子炉メーカーや電力会社も多数の出向者を出している。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013072302000131.html】
【社説】
山本太郎氏当選 「脱原発」求めるうねり
2013年7月23日
参院選東京選挙区では脱原発を訴えた無所属新人の山本太郎氏が当選した。圧勝した自民党は、原発の再稼働や原発輸出に前のめりだが、原発ゼロを求める有権者の意思を謙虚に受け止めるべきだ。
山本氏は、NHK大河ドラマにも出演した俳優だ。二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故を機に脱原発運動に身を投じ、昨年十二月の衆院選では東京8区に立候補。次点で落選したが、七万票余りを集めた。
今回の参院選にも立候補し、「今も原発を続けようと思うことが理解できない。原発事故の影響がはっきり伝えられていない。どうして国会ではっきり言う人がいないのか。ぼくは被ばくしたくない、愛する人にも被ばくしてほしくない」などと訴え続けた。
政党や大組織に属さず、ボランティアとカンパが戦いの支えだった。六十七万票近くを集め、自民党現職の武見敬三氏を上回る堂々の四位当選は、脱原発を求める有権者がいかに多いかを物語る。
全国的には六十五議席を獲得した自民党の「圧勝」が報じられるが、東京選挙区では改選数五のうち、原発「容認」派は自民党の丸川珠代、武見両氏の二人にすぎない。
公明党の山口那津男氏は「原発ゼロを目指す」、共産党の吉良佳子氏は「即時原発ゼロ」をそれぞれ掲げた。山本氏を含め東京では脱原発派が過半数を占める。
神奈川、千葉、茨城で当選した民主党は三〇年代の、神奈川、埼玉で議席を得たみんなの党も二〇年代の原発ゼロをそれぞれ掲げており、首都圏では神奈川、埼玉両選挙区でも原発推進は少数派だ。
全国的にも自民党が比例代表で得たのは改選四十八議席中十八議席。三十一ある改選一人区での二十九勝も、一人しか当選できない選挙制度によるところが大きい。
原発再稼働、輸出が絶対的な支持を得たわけではないことを、安倍晋三首相をはじめ政権幹部はまず、肝に銘じるべきだろう。
山本氏が「今がスタート地点」と指摘するように、本番はこれからだ。安倍内閣は参院選「圧勝」に意を強くして、原発再稼働や輸出の動きを加速するだろう。
これに待ったをかけ、脱原発というエネルギー政策の大転換を図るには、それを目指す政治勢力がバラバラでは不可能だ。
党利党略にとらわれず、小異を捨てて大同につく政治決断や、実現可能な工程表をつくり、それを着実に実現していく緻密な政治戦略もまた、必要なのである。
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