『前田朗Blog』の記事【最新の刑事訴訟法教科書に学ぶ】(http://maeda-akira.blogspot.ch/2013/11/blog-post_6.html)。
「最高裁事務総局をはじめ、法務・検察も、刑事法学の主流派も、現在の刑事訴訟がよいものであり、基本的に正しいと開き直っている。代用監獄をはじめとする「人質司法」、拷問その他の残虐な行為だらけの人権侵害司法、死刑冤罪をはじめとする誤判を、まともに反省すると大改革をしなければならないが、官僚司法とその提灯持ちは改革を拒否し続けている」・・・・・・そうだ。
「人質司法」だけでも、
『●『だまされることの責任』読了(1/3)』
『●『官僚とメディア』読了(3/3)』
『●冤罪が増幅されはしまいか?』
『●検察審査会の「起訴相当」: 郷原信郎さんの発言』
『●遠隔操作ウィルス冤罪事件: 「2人は自白まで」させられた』
『●忘れられた最高裁国民審査』
『●冤罪(その2/2): せめて補償を』
ざっとこんな感じ。
そして、「死刑冤罪」も、
『●『冤罪File(No.06、2009年6月号)』』
『●それは、職業裁判官の怠慢にすぎない』
『●死刑という制度: 「吊るせ、吊るせ」の合唱で何か状況は変わるのか?』
『●冤罪死刑囚の死を待ち、責任を逃れようとする冷酷な人々』
『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)
・・・・・・死刑囚の心の叫び」は届かず』
『●飯塚事件の久間三千年さんと福岡事件の西武雄さん』
といった感じ。
「官僚司法とその提灯持ちは改革を拒否し続けている」なんて、本当に冷たい司法である。
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【http://maeda-akira.blogspot.ch/2013/11/blog-post_6.html】
Wednesday, November 06, 2013
最新の刑事訴訟法教科書に学ぶ
内田博史編『歴史に学ぶ刑事訴訟法』(法律文化社)――編者とその仲間たち(主に九州大学大学院出身の刑事法学者)による新しい刑事訴訟法の教科書である。序章から10章まで、全部で11章を分担執筆している。毎日1章ずつ読んだ。よくある分担執筆本と違って、各章の叙述が、文字通り「歴史に学ぶ」という問題意識に貫かれていて、いずれも高い水準となっているので、読み応えがある。近代日本の刑事訴訟法の歴史的教訓をいかに受け止め、いかに反省して、より良い刑事訴訟法に発展させていくのかという観点だが、それは現在の支配層には全くない観点である。最高裁事務総局をはじめ、法務・検察も、刑事法学の主流派も、現在の刑事訴訟がよいものであり、基本的に正しいと開き直っている。代用監獄をはじめとする「人質司法」、拷問その他の残虐な行為だらけの人権侵害司法、死刑冤罪をはじめとする誤判を、まともに反省すると大改革をしなければならないが、官僚司法とその提灯持ちは改革を拒否し続けている。本書は、そうした現状を歴史的にとらえ返して改革の道を探る。また、日本国憲法の基本的人権規定を正しく解釈して、刑事訴訟法の解釈を行う姿勢も鮮明である。国際人権法にも学びつつ、国際水準に照らして恥ずかしくない司法を模索する。執筆者の多くとは、長年、研究会で一緒だったので顔を思い浮かべながら読んだ。とても勉強になる1冊だが、一番の疑問は本書の読者層だ。教科書なので、まずは学生だが、学部学生には水準が高すぎる。普通の教科書を2~3冊読んだ専門ゼミの学生ならなんとかこなせるのだろうか。法科大学院向けでもないだろう。研究者養成の大学院生には向いているだろう。もちろん、刑事法学者、検察官、裁判官、弁護士も主要な対象ではあるだろうが、読む気のないのがたくさんいそうだ。たぶん、私が一番適切な読者だ。SAN CARLO, Ticino,2009.
Posted by前田朗at12:26 AM
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