東京新聞の記事【砂川事件 再審請求 元被告ら「公平な裁判侵害」】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014061802000097.html)と、
asahi.comの社説【最高裁と米軍―司法の闇を放置するな】(http://www.asahi.com/paper/editorial2.html)。
「三権の長でありながら米国の干渉を受け入れ、司法の独立性を損なう裏切り」・・・・・・司法の腐敗具合が分かろうというもの。
『●「ダムを壊したら魚がもどってきた」
『週刊金曜日』(2013年5月10日、942号)について』
「宇都宮健児さん【黒風白雨23 最高裁までが対米従属なのか】、
砂川事件、「田中耕太郎最高裁判長が、上告審の公判日程や裁判の
見通しを駐日米大使館関係者に対して漏らしていた事実・・・最高裁は、
はっきりと釈明すべきであろう」」
『●鎌田慧さんインタビュー: 「一人の人間として勇気をふるった名判決」』
「砂川事件の名判決に匹敵する(13:45-)」
『●「憲法9条にノーベル賞を」!、暴走改憲を止める一矢に!
~世界の笑いものにならないために~』
「安倍晋三首相や自民党幹部が集団的自衛権の行使を容認するため、
一九五九年の最高裁による砂川事件判決を根拠にする考えを
相次いで示している。しかし、この判決は五十五年前のもの。
歴代政権は判決を踏まえた上で、集団的自衛権の行使は
「憲法上許されない」とした政府見解を三十三年前に定め、
維持してきた。安倍首相らは今になって、判決に独自の考えを
加えて解釈改憲に利用しようとしている。この判決の無効を求める
動きまであり、憲法解釈の根拠とすることの正当性も揺らいでいる。
(金杉貴雄、新開浩)
<砂川事件> 1957年、東京都砂川町(現立川市)の米軍立川基地
拡張に反対するデモ隊の一部が基地内に立ち入り、7人が
日米安全保障条約に基づく刑事特別法違反の罪で起訴された事件。
東京地裁は59年3月、米軍駐留は憲法9条2項が禁ずる戦力の保持に
当たり、違憲として無罪を言い渡した。検察側の上告を受け、最高裁は
同年12月、9条は日本に自衛権があると認め、安保条約のような
高度に政治的な問題は司法判断になじまないとも指摘。一審判決は
破棄され、その後有罪が確定した。」
『●「僕らは「戦争」を知らない?」
『週刊金曜日』(2014年4月25日・5月2日合併号、989号)』
「長沼節夫氏【砂川闘争・伊達判決・最高裁判決から55年後の新事実
米大使と密談重ねた最高裁判決は違法だと再審請求へ】、
「・・・判決の背景には政治的圧力があった」。砂川事件
(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/92b74a8ed74fe9714b565af899754410)」
『●「上級審では国側が勝つこの国の裁判」
・・・・・・今度こそ、福井地裁の名判決を活かしたい』
「原告弁護団事務局長の笠原一浩弁護士は「原発のように科学的見解に
複数の知見が存在するテーマだからこそ、万一の事故もあっては
ならないという、最高裁の判断も踏まえた判決だと理解しています」と言い、
控訴審に自信を示したが、不安がよぎる。過去を振り返れば、この国では
「司法の独立」なんて絵に描いたモチで、
住民側が苦汁をなめる判決が多いからだ。
米軍基地に立ち入った学生7人が安保条約に伴う刑事特別法違反に
問われた砂川事件(1957年)は、1審は米軍駐留そのものが違憲だ
として全員無罪となったが、米政府などから圧力を加えられた
最高裁では国が逆転勝訴した」
==============================================================================
【http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014061802000097.html】
砂川事件 再審請求 元被告ら「公平な裁判侵害」
2014年6月18日 朝刊
(砂川事件の再審請求後、記者会見する元被告の
土屋源太郎さん(右)ら=17日、東京・霞が関の司法記者クラブで)
旧米軍立川基地(東京都立川市)の拡張に反対する学生らが逮捕された一九五七年の砂川事件で、有罪判決が確定した土屋源太郎さん(79)=静岡市=ら元被告三人と遺族一人が十七日、「公平な裁判を受ける権利を当時の最高裁長官に侵害された」と、裁判のやり直しを求めて東京地裁に再審請求した。五十年前の確定判決を取り消す「免訴判決」をめざす。
土屋さんらは、当時の田中耕太郎最高裁長官(故人)が米側に判決の見通しなどを伝えていたことを示す米公文書三通を、新証拠として地裁に提出した。
事件の最高裁判決は、駐留米軍を合憲とするとともに日本の自衛権にも言及。安倍政権はこれを集団的自衛権の行使容認の根拠に引用している。土屋さんらは十七日に記者会見し「再審請求は、立憲主義を根底から覆そうとする安倍政権への抗議の意思表示でもある」とした。
再審請求書によると、逆転有罪を決定づけた五九年十二月の最高裁大法廷判決をめぐり、田中長官は事前に駐日米大使らと非公式に三度面会。一審無罪判決を破棄する見通しや審理日程、判事十五人の全会一致を導く意向などを伝えていた。
当時の在日米大使館の電報や書簡が二〇〇八年以降に米公文書館で機密指定を解かれ、判明した。
土屋さんらは「評議の秘密を定めた裁判所法七五条に反し、田中長官が裁判長を務めた大法廷は、憲法三七条が被告人に保障する『公平な裁判所』ではなかった」と指摘。訴訟手続き上の憲法違反があり、「差し戻し審の裁判官は、裁判を打ち切る免訴判決を選択するべきだ」と主張している。
ほかの請求者は、いずれも元被告の椎野徳蔵さん(82)=神奈川県茅ケ崎市、九州大名誉教授の武藤軍一郎さん(79)=福岡県篠栗町=と、昨年他界した元川崎市議坂田茂さんの長女和子さん(57)。
◆司法の独立性に疑義
<解説> 砂川事件の再審請求は、裁判史に残る最高裁判決の舞台裏に光を当てようとしている。歴代の最高裁長官でも著名な田中氏の情報漏えいを、再審の是非を審理する裁判官がどう判断するのか注目される。
田中氏は東京帝国大法学部長から文部大臣や参院議員などをへて法曹界トップに就き、国際司法裁判所(ICJ)判事も務めた。米公文書からは、その政治家としての顔がうかがえる。
当時の駐日米大使は、駐留米軍を違憲とした一審判決が、翌年の日米安保改定に反対する勢力の論拠とされることを恐れ、日本政府に迅速な対応を求めた。
田中氏は大使らに、自ら裁判長を務める大法廷の意見を一致させ、一審判決を早期に破棄する考えを伝えていた。上告審はその通りに運び、大使は「長官の手腕と政治力」を称賛する電報を本国に送っている。
これが事実なら、三権の長でありながら米国の干渉を受け入れ、司法の独立性を損なう裏切りだ。
田中氏は反共理論家として知られたが、そうまでした理由は何か。ジャーナリストの末浪靖司さんは、判決翌年に田中氏が米国務省高官にICJ判事立候補を伝えて支持を得ていることから、「論功行賞」狙いだった可能性を指摘する。
在日米軍にお墨付きを与えた最高裁判決は、判例として米軍基地訴訟で住民の訴えを退ける根拠とされてきた。元被告らは、その判例としての効力の是非にも切り込みたいとしている。 (阿部博行)
<砂川事件> 1957年7月8日、旧米軍立川基地の滑走路拡張に反対する学生と労働者らが境界柵を倒して基地内に入った。23人が逮捕され、7人が日米安保協定の実施に伴う刑事特別法違反罪で起訴された。東京地裁は59年3月「駐留米軍は憲法9条違反」として無罪としたが、検察が高裁を跳び越す「跳躍上告」をし、最高裁大法廷は同12月「安保条約は高度な政治性があり、裁判所が司法審査をするのは適当でない」と地裁判決を破棄。差し戻し審で地裁は罰金の有罪とし、64年1月に確定した。
==============================================================================
==============================================================================
【http://www.asahi.com/paper/editorial2.html】
最高裁と米軍―司法の闇を放置するな
2014年6月19日(木)付
57年前、米軍の旧立川基地の拡張に反対するデモの中、学生らが敷地内に入った。
日米安保条約にもとづく刑事特別法違反で7人が起訴された。砂川事件である。
東京地裁は、そもそも米軍の駐留が憲法9条に違反するとして無罪を言い渡した。
続いて高裁をとばして審理した最高裁は、その判決を破棄し、差し戻した。罰金2千円の有罪判決が確定した。
最高裁はその際、次のような判断をくだした。
日米安保条約のような高度に政治的な問題に、司法は判断をしない――。
それは「統治行為論」と呼ばれ、いまでも重い判例として強い影響力をもっている。
最近になって、この判決に大きな疑義が持ちあがった。
裁判長だった田中耕太郎最高裁長官が判決に先立ち、米国大使らと会い、裁判の情報を伝えていたというのだ。
大使が本国にあてた複数の公電が米公文書館で公開され、そうした記述が見つかった。
裁判は公平だったといえるのか。政治的に判決が導かれたのではないか。元被告ら4人が今週、裁判のやり直しを請求したのは当然だ。
裁判所はすみやかに再審を開き、何が起きていたか、検証しなければならない。
当時は日米安保条約の改定交渉が大詰めだった。米軍の駐留を違憲とした一審判決の取り消しを、両政府関係者が強く望んだのは想像にかたくない。
そんななか、公電が伝えた田中氏のふるまいは、およそ常軌を逸したものだった。
米側との面談で、審理の時期を漏らしたうえ、一審判決は誤っていた、と述べた。少数意見のない全員一致での判決にしたいと語った、とされる。
公電は、外交官の都合に沿う表現や印象を反映しがちなものではあるが、これは司法の正義が根本から問われる疑義である。本来、最高裁自らがすすんで真実を解明すべきだろう。
半世紀前のことと決して受け流せない。判決は今に至るまで、在日米軍がからむ訴訟で裁判所がことごとく判断を放棄する理由となっている。
統治行為論は、司法に託された立法と行政に対するチェック機能を骨抜きにするという批判がかねて向けられてきた。
むしろ高度な政治問題であるほど国民への影響は大きい。憲法の番人として、司法判断には重い役割が求められる。
判決の正当性が揺らいだいまこそ、問い直さねばならない。
==============================================================================