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●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》

2019年10月20日 00時00分21秒 | Weblog

[『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版(https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21028)↑] 



小出裕章さんの、週刊朝日の書評・論評記事【原発裁判で住民勝訴の日は来るか? 問われる裁判官の良識と理性】(https://dot.asahi.com/wa/2019101100010.html)。

 《原発訴訟で原告勝訴を決めた、たった3人の裁判長――その苦悩を描いたのが『原発に挑んだ裁判官』(朝日文庫、著・磯村健太郎山口栄二、660円)だ。元京都大学原子炉実験所助教・小出裕章氏が評論する》。

 磯村健太郎山口栄二両記者の本。論評は小出裕章さん。

   『●金沢地裁原発差し止め判決: 井戸謙一元裁判官
    《2006年3月、金沢地裁―志賀原発訴訟で国策に逆らう判決を
     下すまでの重圧と苦悩 唯一の原発差し止め判事
     井戸謙一元裁判長)「私がNOを突きつけた理由」
    《再稼働差し止め求め仮処分=関電原発の7基対象に住民-大津地裁
     2011年8月2日16時6分…代理人の一人の井戸謙一弁護士は
     記者会見で「第二のフクシマを起こしてはならないという強い決意を
     政府、電力会社、国民が持つべきだ」と述べた》

   『●海渡雄一氏インタビュー「原発と司法」
   『●「彼を赦したわけではない。しかし死刑にして
             問題が解決するわけではない」
    《償いとは何なのか 「生きて謝罪を」弟を殺された兄

 「司法判断」することなく、裁判所はアベ様忖度な「政治判断」乱発。

   『●画期的! 福井地裁樋口英明裁判長、  
     高浜3、4号機再稼働差止仮処分決定・・・「直ちに効果が発生」!!
   『●高浜原発「差し止め」、国民を守る司法判断:
       寄生委の新規制基準は「緩やかにすぎ、合理性がない」

   『●大津地裁山本善彦裁判長、 
      高浜原発3、4号機の運転を差し止める仮処分決定!
   『●金沢地裁・井戸謙一元裁判長「「原子炉を運転してはならない」。
                      自ら発した声に法廷はどよめいていた」
   『●「効率より安全、経済より命」: 井戸謙一元裁判長、 
       樋口英明・山本善彦裁判長の声は班目春樹氏には…?
   『●歴史的役割踏まえた原発に頼らない国へ: 
      「人の命と安全は経済性に優先する」=「人格権の尊重・倫理」
   『●熊本大分大地震の最中、「狂ったゴジラ」=
     関西電力高浜原発1、2号機を野に放つ原子力「規制」委員会
   『●高浜「寿命核発電所」延命、「安全より経済優先の
         時代へと逆戻り」…「規制緩和」委員会(©東新)

 《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で電力会社に原子力発電所を担わせてきた。その周囲には、巨大原子力産業、ゼネコン、中小零細企業が群がり、それらの下で働く多数の労働者も給料にありついた。日本原子力学会を中心とした学会、教育現場、マスコミ、そして裁判所も一体となり、国策としての原子力推進に加担した》。

   『●アベ様による「棄民」政策をも追認…東電旧経営陣の
     刑事裁判で永渕健一裁判長は「無罪」という「政治判断」を下した
   『●阿部岳さん【「東電無罪」の論理】《「…運転はおよそ
    不可能になる」…判決は意図せず原子力制御の限界を認めている》
   『●やはり核発電は「金のなる巨大木」だった…
     高浜「原発マネー」が八木誠会長ら関西電力経営陣個人に見事に《還流》
   『●東京電力核発電人災、決して自主避難者の《自己責任》
     ではない…「原発事故がなければ福島を出た人は誰もいない」

   『●東電旧経営陣に無罪判決…《誰も事故の責任を
     取らなければ企業に無責任体質がはびこり、また同じことが起きる》
   『●JOC臨界事故で何が起きたでしょうか?…《人が制御
     できないなんて恐ろしい。政府は…本当のことを言っていない》

   『●永渕健一裁判長、東電旧経営陣の刑事裁判で「無罪」《判決の
      中身もさることながら、その理由があまりにもひどすぎる》

   『●東京新聞の小野沢健太記者によるシリーズ記事【<原発事故
      「無罪」>】…《判決に表情変えず 遺族ら「うそー」悲鳴》
    「永渕健一裁判長の「無罪」の「判決当日午前、
     大谷直人最「低」裁長官がアベ様を御訪問…事前に政治判断を
     ご報告ですか? 〝つぶやき〟上では、田中耕太郎長官を想起する、
     というものもありました。大谷直人最高裁長官は…」
     どのような方かも知っておいたほうが良いようです」

   『●《基準値超えのマグロ…午後からは検査がなくなり、すべての
         マグロが出荷された…。こうして汚染魚は“ゼロ”に》

 たとえ地裁・高裁レベルで勝訴しても、最高裁はいまや最「低」裁。そして今や、最「低」裁判事の人事は…アベ様が掌握。大谷直人最高裁長官をはじめ、現最高裁判事14人全員、アベ様の息がかかっているアベ様派と言われている。三権分立が聞いてあきれる状況。アベ様らのやり口はデタラメ。
 《住民にとっては司法に縋(すが)るしか道がなかった》というのに。《しかし、サイエンスとしての立証では原告側が圧勝した。それでも、判決は住民敗訴であった》。《司法は紛れもなく原子力ムラの一翼を担ってきたし、フクシマ事故以降も変わろうとしていない》。

   『●アベ様のオトモダチのオトモダチを最高裁判事に任命?  
            「政治判断」乱発の最「低」裁からも忖度?
   『●あのアベ様のオトモダチのオトモダチ・木澤克之氏… 
        《2017年最高裁判所裁判官国民審査》を迎える!!
   『●木谷明さん《冤罪を回避するために法曹三者…無実の者を
     処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたること》
   『●《人権を軽々に扱っている…。合憲違憲が争われた戦後の重要な
           民事裁判の記録多数を全国の裁判所が既に廃棄処分》

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https://dot.asahi.com/wa/2019101100010.html

原発裁判で住民勝訴の日は来るか? 問われる裁判官の良識と理性
2019.10.14 17:00 週刊朝日

     (原発に挑んだ裁判官 (朝日文庫)
      磯村健太郎, 山口栄二
      ISBN: 978-4022619716)


https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21028

 原発訴訟で原告勝訴を決めた、たった3人の裁判長――その苦悩を描いたのが『原発に挑んだ裁判官』(朝日文庫、著・磯村健太郎山口栄二、660円)だ。元京都大学原子炉実験所助教・小出裕章氏が評論する。

*  *  *

 日本の原子力開発は「国策民営」と言われる。国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で電力会社に原子力発電所を担わせてきた。その周囲には、巨大原子力産業、ゼネコン、中小零細企業が群がり、それらの下で働く多数の労働者も給料にありついた。日本原子力学会を中心とした学会、教育現場、マスコミそして裁判所も一体となり国策としての原子力推進に加担した。その巨大な組織は時に「原子力ムラ」と呼ばれ、先の戦争の時のような巨大権力機構そのものであった。

 原発は、2011年3月11日の東京電力福島第一原発の事故が示したとおり、巨大な毒物を抱えている。そのため、原子力ムラは原発を電力消費地の都会ではなく過疎地に押し付けることにした。押し付けられそうになった過疎地の住民はもちろん抵抗した。しかし、どんなに闘っても住民の声など一顧だにしない国や電力会社の対応に困り果てた住民は、ついに裁判に訴えた。住民にとっては司法に縋(すが)るしか道がなかった

 本書の解説を書いている千葉大学名誉教授の新藤宗幸氏によると、フクシマ事故以前に提訴された原発訴訟は、国を相手にした行政訴訟が12件、建設・運転差し止めの民事訴訟が6件だったそうだ。そのうち、住民側勝訴を言い渡したのは、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の設置許可の無効を確認した名古屋高裁金沢支部判決(川崎和夫裁判長)と、北陸電力志賀原発2号機の運転差し止めを命じた金沢地裁判決(井戸謙一裁判長)の2件だけであった。フクシマ事故以降には、関西電力大飯原発3、4号機訴訟で運転差し止めを認め、住民を勝訴させた福井地裁判決(樋口英明裁判長)も出た。それら3人の裁判長の苦悩と闘いを描いたのが本書である。

 私自身は1973年に始まった四国電力伊方原発の設置許可取り消し訴訟に関わり、原告側証人として出廷もした。国側からは原子力委員会の委員や東京大学教授など、輝かしい肩書の学者が出廷した。しかし、サイエンスとしての立証では原告側が圧勝した。それでも、判決は住民敗訴であった。判決理由は、ほとんどが被告・国側の主張を羅列し、その最後に「いずれも認められる」の文字が付け加えられたものだった。

 伊方訴訟は最高裁まで行き、住民の敗訴が確定した。判決は「国の審査指針は専門家が集まってつくったのだから、司法としては、見逃すことのできない誤りがない限り、行政庁の判断を尊重するという内容です」と住民側敗訴を言い渡した裁判官が本書の中で解説している。しかし、「国策民営」として原子力が推進され、その下に集まる学者の専門技術的判断を認めるというのであれば原発訴訟は常に住民敗訴となる

 原発訴訟で住民が勝訴した裁判は数えるほどしかないし、そのすべては、高裁、最高裁で逆転敗訴とされた。つまり、原発裁判に関しては住民側の勝訴は一つもない。原子力ムラに属する国も電力会社も潤沢な資金の裏付けを持つ。それに対して住民たちはなけなしのカネと、生きるための仕事の時間すら犠牲にして裁判を闘ってきた。そして、フクシマ事故が起きた。その事故は「原子力ムラ」に属する専門家の専門技術的判断が誤りであることを事実として示した

 憲法第76条には「すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束されるとある。最高裁の頸木(くびき)に囚(とら)われず、良識と理性に従って判決を書く裁判官、そんな裁判官が現れてくれることを私は願う。しかし、司法は紛れもなく原子力ムラの一翼を担ってきたし、フクシマ事故以降も変わろうとしていない。裁判官の人事権を握る最高裁が、フクシマ事故以降も専門技術的判断を認めるとして行政に屈服する限り、住民にとっての原発裁判の未来は明るくない

※週刊朝日  2019年10月18日号
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