以前は「旧いメルセデスの電機屋」。。。現在は、、、「隙間風産業の超零細企業」の業務日報。。。

旧いメルセデスの電機屋のニッチな仕事のお話。。。http://jun3104.shop19.makeshop.jp/

グルングルンと回してあります〜。。。

2019-03-11 20:15:12 | 日記
昨日、イグニッションモジュールを装着したW126 500SE君の最終チェックに余念が無い寅です。



イグニッション電源改善適正化前に発生していた点火不良による未燃焼の生ガスが触媒に溜まり、ブローバイ還元ガスシステムのキャパを超えた生ガスが滞留してガソリン臭が発生していたので、イグニッションモジュール装着後の昨日の状態から考察の上で高速道路を巡航し、適正な燃焼において排気系のクリーニングを行った。。。

点火の弱かった不調な状態でエンジンが調子良い訳もなく、ATミッションの変速動作にも影響が出ていた。。。エンジン不調でATミッションの変速に違和感が出ると言うお話だ。。。

一般道で30km/h〜50km/hで変速動作がギクシャクし、実に不快だった。。。

この変速の違和感も調子が改善したエンジンによって徐々に解消し、実にスムーズで快適な走りへと変貌して行った。。。

で、高速道路を含めた約100kmの試乗で今迄見えていなかった部分がハッキリした。。。

やはり混合気の比率に対し、燃料が濃い。。。

失火やカブリは出ていないが何か微妙にモッサリ感がある。
同じ117系エンジンの5Lを積むオイラのW126お嬢と比較しても何か微妙にモッサリしている。

試乗後に帰着し、排気ガスの状態を確認するも微妙に臭い。。。

混合比がズレているのであろう。。。

KE車で燃料ポンプ&フィルター、プレッシャーレギュレータ、EHA(ガバナー)、フューエルデスビ、エアフロのポテンションメータがキッチリしていれば燃料供給の基本は問題無い筈だが、KE車には安易に回してはイケナイ「禁断のADJネジ」がある。。。

KE車全盛期の頃、KE車を熟知した整備士は子分や外部の一般工場に「エアークリーナー本体にあるブッシュ付きの穴の下にある六角ネジを絶対に回すなよ❗️エンジン不調で入庫したら消耗部品を交換して完成する筈だ。この六角ネジを回しちまうと混合気のバランスが崩れて不調の上乗せになりかねん❗️余計スパイラルにハマるぞ❗️」と言ってた代物で御座居ます。。。

BOSCHのマニュアルを見るとこの六角ネジの調整はKEジェトロ用の専用アナライザーを確認しながら行うとなっておりますがKEモデルの生産終了後25年が経過した現代に専用アナライザーが生きているとは考えられません。。。つまり、アナライザー自体持っている工場は殆ど無いでしょうな。。。

と、まあ非常にタブーとされるこの六角ネジはKEジェトロの機械式エアフロのプランジャーの高さを調整する構造で、エアフロ本体に装着されるポテンションメータのニュートラルポジションを決める実に精度の高い働きをしています。
ポテンションメータの進角はコンマゼロ何mmの移動でKEモジュールにフィードバックさせる信号が変位して異なりますので先述のプランジャーのADJネジをいい加減に回すとパラメーターが狂い、アイドリング時のエアフロ信号がデタラメになってKEモジュールに入力され、燃料供給制御を行なっているEHA(ガバナー)に対してKEモジュールから出力される信号もデタラメになるのでEHA内部の振動バルブの振動周波数が適正でなくなり、混合気になる燃料の量が適正量から外れてしまい燃料が濃すぎたり、薄すぎたりといった状況に陥ってエンジンの始動不良やアイドリング不良等の不具合を発生させます。。。

つまり、KE車を熟知していない整備士がこの「禁断のネジ」を無闇矢鱈に回してしまい車検時にCOで落ちたり、、、反対に車検に通す為に燃料供給装置の不調を根本から修理もせずにこの「禁断のネジ」を回して車検のCOチェックの帳尻合わせを行なって車を返却して来るケースが実に多いんです。

まあ、25年も経った車ですから、、、例え「禁断のネジ」であってもグルングルン回してある事は普通に疑うべきで、、、KEジェトロの構造やシステムを理解出来ていない業者にかかれば普通に回してあると考えるべきなんですよ。(笑)

部品を交換しても完調にならないのはそう言ったトコに隠れた問題が潜んでいる事も多いんです。



4サイクルエンジンの基本工程。。。混合気吸入→圧縮→点火爆発→排気の全ての工程が安定していなければ不調になるのは当然で、消耗品の交換によって各部は適正化されても「禁断のネジ」について、既に弄られたモノであれば必要な知識と調整方法を習得していない整備士に任す方が本末転倒になります。

ウチに入庫するKE車の殆どはそんな正体不明な毒車も多いですが「治したい。完調にしたい。」と言ったユーザーの希望に沿える様にダークな部分も想定内としてお付き合いさせて戴いております。

タダですね。他社さんからハシゴの挙句に社外のコピー部品で修理されたお車を弊社に持ち込んで「◯◯は新品だから大丈夫❗️」「予算が◯◯円しかないけど完璧に治せ‼️」とか仰るユーザーとは幾ら当方から御説明差し上げてもお話が噛み合わない場合が多いので最悪は弊社から辞退させて戴く事になります。
悪しからずご了承下さいませ。

で、、、今回のW126 500SE君に話を戻しますと、、、去る1月の車検でユーザーさんが入庫された工場さんで「禁断のネジ」を回してくれちゃったみたいなので、、、ポテンションメータの数値をチェックしながらの再調整となります。。。はい。調整方法は企業秘密です。調整方法を弊社に問い合わされてもお答え致しかねます。😏

自分で実際にKE車を壊して勉強して下さい‼️(笑)



コレで燃調を整えれば殆ど新車の域に近付く個体が完成です。(笑)



「旧いから不調は仕方ない。」はウチでは禁句です。。。(笑)