駒師「日向」のブログ 本店

プレーヤー目線で作る
将棋駒作家のつぶやき

一舟先生のこと

2010年05月25日 | 将棋駒製作
現在出品中の一舟作彫駒です。

既に幾人かの方々からご入札を頂戴しており、

この場を借りて感謝申し上げます。

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一舟先生にはお会いしたことはありません。

また、お話ししたこともありません。

ご縁はこの駒だけです。


その昔先生は、天童で大活躍をされていたとお聞きしました。

しかし、小生が駒づくりの世界に入った時の一舟先生は、

伝統工芸師を返上され、雌伏されていた時期でした。

そんな時期にご縁があり、この駒に出会いました。

熟慮の末に購入を決めた時、知人に

「そんな価値の無いものやめとけ」

と言われたのを今でもはっきり覚えています。

当時の一舟先生に対する評価はそんな感じでした。

印刀を置いたはずの一舟師が、どんな気持ちで、

またどんな状況でこの作品を連盟に持ち込んだのかは、

小生の知るところではありません。

故に勝手な想像ですが、所々に出ている漆の滲みは、

当時の一舟先生の苦悩の現れだと思いました。

作品は駒師の状態を映す鏡のようなもので、

彫の技術以外に、そういうことを教えてくれた作品です。

一舟先生が復活されなければ、ずっとそのまま

持っているつもりでしたが、そうならなくて良かったです。

これから盛上駒にも挑戦しますので、今後も

いろいろ参考にさせて頂くつもりです。

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