土木史の講義(正式名称は、JABEEの関係で「土木史と技術者倫理」)では、講義の目的を明確に、学生に伝えているのですが、一つのキーワードは「つなげる、つながる」です。
歴史は非常に大切だと思っており、現在の日本の混迷状態の一つの理由は「歴史」を軽視していることです。
自分自身が何のために生きているのか分からない、貢献したいという気持ちは心の奥底にはあるけれど何をしていいのか分からない、という人が相当な割合かと思いますが、これも歴史に興味がないことの弊害です。
歴史、土木史、我が国、に興味を持つことで、自分と社会がつながり、自分と過去がつながるのです。つながれば、自分の存在意義も、存在価値も分かる。何をすべきかも見えてくる。そして、講義で何度も言っているのは、勝手につながるのではなくて、「つなげる」という能動的行為が重要なのです。
「つなげる」という意思があるから、歴史を勉強しようと思うのです。調べてみようと思うのです。
一方で、学生たちのレポートにもありますし、私も特に最近痛感するのですが、「つなげる」意思を持って積極的に行動していると、いろんなことが勝手に「つながってくる」のです。
「つなげる」ことは楽しい。これはいつまでも積極的に行いましょう。つなげる能力もどんどん向上します。
一方で、「つながる」ことはもっと楽しい。自分の予想を超えてつながっていきます。つなげたときの喜びは大きいけれど、つながっていくときは驚きというか、自然界のたくましさ、美しさ、すごさに感嘆いたします。そうやって人類はバトンタッチしてきたのだな、と感じ入ります。
講義の直前の思いつきで黒板に書いた、「つなげる、つながる」ですが、意外に奥深いです。