銀座のうぐいすから

幸せに暮らす為には、何をどうしたら良い?を追求するのがここの目的です。それも具体的な事実を通じ下世話な言葉を使って表し、

晴天の霹靂のニュース・・・・・1(あるビジネスホテルの社長のケース)

2009-03-19 13:36:23 | Weblog
 今、2009年3月19日のお昼のNHKニュースは平和です。私はそれを、ほっとする思いで見つめております。ヒステリックな取材が集中して、まるで、魔女狩りみたいに、当事者(責任者)が叩かれる映像は見るに忍びないところです。でも、そういうニュースが一杯あります。

 このブログで、一時期は海外のほほえましいエピソード、そして、一時期は、映画に関してのあれこれを、書きました。しかし、今日は、建築違反事件、(それが、最近ですか、判決が出た模様ですが)に関連して書いた一文を、数本、連続してお送りをさせてくださいませ。

 ところで、今日の文章は、ある個人(ニュースで叩かれきった、私と同年代の社長)さんに触れるので、客観性を保ちたくて、例のプソイド(偽体)小説風に書いております。それは、お許しくださいませね。そして、主人公を百合子としております。
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 最近(2006の1月ごろ)の日本では、建築違反の事がかまびすしい。数週前(または数ヶ月)前の耐震疑惑騒動は『悪質極まりない』と百合子は思ったが、最近のT.Y.インと言うビジネス・ホテルの設計変更事件は、『やや、ほほえましい』と感じる。『どうして、こんな事件が世に出たのだろう。内部告発として、誰かに刺されたのだろうか?』と、さえ思うほどだ。と言うのも、その日本大通り(横浜の中区にある太い道路)のその会社の本社(多分)ビルには、一階に画廊が付随していて、そこには何回も見に行った事があるのだ。だから、一種のなじみの会社なのだ。つまり、大金持ちの社長がメセナを行っている会社だから、よい会社とも言えるのだ。ある一面では褒めてあげたいほどの会社なのだ。

 だけど、昨日だったか、NHKがこのニュースを放映したときに、説明文として、テロップにT.Y.インを東急インとつけたものだから、すぐ抗議が来たらしくて、アナウンサーが訂正をした。で、百合子が「そりゃあ、東急は怒るでしょう」と言うと夫が怪訝な顔をしたので、「あのね、この会社って東急グループではないのよ」と言うと、さらに驚いた顔をしたので、

「もしかしたら、パチンコで大きくなった会社なのよ。各駅の周辺にT.Y.何番館って言うパチンコ屋が何軒もあるでしょう。電車から広告が見えるじゃあない? あれの経営者があの社長じゃあないかなあ?」と言った。これはもちろん、精査したわけではなく、百合子の単なる憶測だ。

 だけど、この推測が百合子の家で、特別意味を持つのは、理由がある。先日、この社長が失言をした。それは、ホテルとして出した設計図の中の、身障者用の施設(多分、車椅子で入る事ができる広いトイレなどのことだと思うが、)を実際には設計変更をして、普通の客用の施設を作ったことへの、弁解をする際、「一年に、一回か二回しかお客が泊まらないのに、(又は使用をしないのに)作っても、しょうがない。実際は物置になっているケースが多い」とのたまわってしまったのだ。

 百合子はその記者会見の同時放映を見ていないが、夫は「今どき珍しい社長だ。社会的に守るべきモラルと言うのが無い」と笑った。いや、夫は彼を責めているわけではない。普通なら社長族は、企業の顔として、『こういう事を言っちゃあいけない』とか、『ああいう事を言っちゃあいけない』とか、しばりを自分に掛けて、あまり、劇的でない、面白くない、しかもありきたりの記者会見をするものなのに、非常に素直すぎる本音を言ったから、「珍しいタイプだ」と、思ったらしいのだ。

 夫はその記者会見を思い出すたびにおかしくなるらしい。笑いながら言ったのだ。「それに、珍しいことに、企画部長が女だ」とこれも笑いながら言う。企画部長が女だろうと男だろうと能力さえあればよいので、女性差別はいけないが、夫の予想通り、社長は世間から糾弾をされ、ホームページで間接的な形で謝罪をしたそうだ。つまり、本音の人だから、テレビカメラの前に出ないほうが良いと誰かが進言をしたのだろう。
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 こういうニュースをテレビで見ると『運のよしあしって、やっぱりあるんじゃあないかしら』と百合子は思う。昨日までこの社長は安穏と、立派なギャラリーが一階にある豪壮な、本社ビルの最高の部屋でふんぞり返っていたのだ。東急グループではないとすると、自分は創業者、又は、経営者としてトップだから、怖いもの知らずで、殿様暮らしをしていたのだと思われる。それが一転、百合子の夫みたいな無縁の他人にまで、「おかしいね」と笑われたりする。そして、同じく社長にとっては単なる他人にしか過ぎない百合子は、その夫の疑問を解くために、「もしかしたら、東急線沿線駅周辺のパチンコやさんが源流かもしれないわよ」と、夫に言う始末だ。『きっとたたき上げなのよ。だから、あれだけ、本音で語るし、社会的なモラル云々って言ったって、求めるのが無理よ』とも内心では思っている。


 あとで、それ以上のプライヴァシーがテレビ画面で出た。すると、700坪以上と言う豪邸にお住まいの模様。本社ビルも立派であり、ご自宅も立派なら、やはり、正当な利益還元が社会になされていない創業社長であるわけで、そこが恨まれたのかなあ。嫉妬の対象になったのだろうか。ただ、百合子はこの社長が自分と同世代であり、しかも彼の高校・通学の関係から当時、百合子と同じく東急系列の電車を多用していた人である事を知り、会社の命名の由来については納得をした。


 社長にしてみれば、他人に言って欲しくないだろう事を、まったくの他人である百合子夫婦に言われてしまう。しかし、そう言う世間からの軽蔑やら指弾を浴びることなど、社長にとっては、晴天の霹靂とも言うべき諸相だろう。昨日までは夢にも思わなかった、苦労の数々をしょってしまった。気の毒でもあるけれど、ややほほえましくもあるのだ。
 
 だって、こんな苦労を負ったのは、多分内部事情が絡んでいるわけで、これは、例の耐震疑惑騒動とはまるで、異なる種類の悪なのだ。耐震疑惑騒動はよくない。まあ、建て替えるほどでは、無いのかもしれないとは思うが、あっちこっちの無責任が、小市民の生活を大きく動かしたのだから、本当に困ったもので、日本の道徳も落ちたものだと思われる。

 ただ、こちらのTYイン(ビジネスホテル)は小さな部屋をたくさん作って、よりたくさん儲けようとして設計を行ったのは、一種の悪なのは、確かだけど、人の命まで左右をしようとしているわけではない。だからはっきり言って、この社長が、これほどの指弾をあびるほどの悪人であるとは、とても思えない百合子だった。ちょっと気の毒に感じた。

 時々、ニュースがヒステリックになるときがある。社会的な糾弾が必要だといっても、まるで魔女狩り裁判のごとき様相を呈したり、紅衛兵のつるし上げ同然のニュースとなる事がある。これは、とてもよくない。マスコミの発達の悪弊の一つだと思う。この場合の青天霹靂とは、社長側から言っている。それで、最初は、固有名詞を出したが、そのうち、人の噂も75日でいろいろ収まると思われるので、ここでは、イニシャルだけにした。では。
  2009年3月19日  雨宮舜(川崎 千恵子)
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インゲン豆と、すしの話(インパリ)

2009-03-19 00:20:43 | Weblog
 ある日、ぱりで、サン・ポール寺院の前をバスティーユへ向かって歩いていました。八百屋があってその店先に、インゲン豆がピラミッド状に積んでありました。秋ですから普通ですと北半球ではインゲンはできない季節で、この商品は温室で栽培をされたか、どこやらから輸入をされたものと思われます。細くて上品です。いかにも上等で、しかもおいしそう。私は二ヶ月目くらいから余裕が出て、お料理も作り始めましたから、このインゲンを買いたいと思いました。それでね、ピラミッドを崩さないように、裾の広がっている地帯から、ひとすくい取り出したのです。ピラミッドは崩れませんでした。

 ところが別のお客の応対をしていた女主人からすごい剣幕で怒鳴られました。「いじらないで」といわれたんだと思います。しかし、そういう基本的な単語はまったく覚えておりませんでした。以前の海外旅行の経験から、パリへ入ってから覚えるはずでした。暮らしの中の慣れで、獲得できるはずでしたが、先生との間が英語でコミュニケーションが取れるために、すっかりフランス語がお留守になっていたのです。その時、五十六歳でした。版画のことも大変でした。だから、考えることがいっぱいあって、不必要なことには触れないで、置いたのです。せっかくパリに住んでいるのに、フランス語をマスターしなかったのは残念でしたが、でも、三ヶ月で帰るのでは、早々は身につかないとも思っておりました。ただ、外国で特に愛嬌豊かになる私は、トルコでもイランでもギリシャでも、イタリアでも、スペインでも、二、三目には旅行案内書に出ているくらいの挨拶なら、自由自在に使えるようにはなるんですが、このパリではオーヴォアー(さよなら)ぐらいしか、覚えられなかったのです。

 私は、もちろん抗議をしたいと思いました。だって、ピラミッドはぜんぜん崩れていないのです。私は、そんなに、乱暴な人間ではない。むしろ、この繊細なピラミッドとか、繊細な品質のインゲン豆を褒めてあげたいと思っているのです。しかし、言葉ができないと、単純なるあほにしか過ぎなくて、一方的に怒鳴られっぱなしです。でも、その怒鳴られ方の度が過ぎています。で、どうしてなんだろうと、私は考え始めます。アジア人、特に熟年のおばさんだから馬鹿にされるのか、それとも、別の理由があるのか・・・・・と。

 ひとつ、わかりました。それは、女主人が神経質なタイプであり、もともと、怒りっぽい人だということです。万国共通の基準があります。全体にやせていて、小柄で、口がへの字に下へ向かって下がり、目がきつい。そそけた金髪をきつく、ポニーテールにして、結わえあげている。日本人でも外国人でも、ふっくらとして、余裕のあるタイプと、ぎすぎすして余裕のないタイプはあるのです。『仕方がない。ここは退散しよう』と私は思いました。

 しかし、一九九八年のそのときから、数年たっている今現在、この思い出を書いたのは悔しいからではありません。復讐のためでもありません。あの女主人がどれほど、まじめに商売に取り組んでいたかを思い出すからです。パリ市内でも相当優秀な、そして、有名な八百屋さんなのではないかしら。

 その数軒、バスティーユよりに日本型のすし屋がありました。そこで、一折を食べたときのことですが、『うっ』とあげそうになるほど、タネが古かったのです。はまちか何かだったのですが、『うわー、気持ちが悪い』と叫びたいぐらいのひどさでした。それで、お店の四十才ぐらいの、それこそ、ふっくらした女主人に向かって、日本語で「これ、タネが古いわよ。腐っている」というと、彼女はきょとんとしています。で、白を切るつもりなのかと思って繰り返すと、なんと、韓国語で返事をしました。彼女はフランス語はできるみたいですが、私ができないし、彼女の方は英語はだめみたいなので、お互いにちんぷんかんぷんで、意思疎通のできないまま、店をでましたが、『困ったことだなあ。日本人の店主なら、絶対に、あんな古いタネを使うことはないのに、韓国人だから、すし、そのものの精神を知らないんだ。生きのよい、魚をつかってこその・す・し・なのに、困ったことだなあ。あれを、日本の・す・し・だと思われると、本当に困る』と、つぶやいたものです。
 こんなひどくてだらしない商売をする人間に比べれば、あの八百屋の女主人ははるかに上等な人間でした。デモね、あれから、日本のお寿司は、もっとポピュラーになったみたいです。だから、世界基準ではやっていれば、あれほど、ふるいネタで握ったお寿司を出していることも無くなっているでしょう。それを願っています。
                2009年3月18日、1998年ごろの思い出に基づいてこれを書く、   雨宮舜 (川崎 千恵子)
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