私はかねてより、NHKの朝ドラ『つばさを面白いと思っていて、瑣末なことから始まって、本格的な論を最後に展開しようと、思っていたのです。そこへ冷や水をかけられるように、「視聴率が最低であったというニュース」が出ました。それを見た後で、書き込みというものを初めてしてみようと『つばさ』の掲示板に接したのです。
するとたくさんの人からの応援が届いていて、『つばさ』がすばらしかったというメッセージにあふれかえっていました。視聴率なんて気にしないように。と、書いてありました。私もその意見に賛成です。この世の中に正しいなどということもないし、権威付けて、順番をつける必要もないのです。それに副島隆彦という人の、ベストセラーを読んだときに、かねてより思っていた、ニュースは作られるものだということも、知りましたし、その観点でニュースを見ると、よいものほど、日本人を真に賢くする恐れがあるということで、メディアの評価が低くなる可能性もあるのです。
ただ、その数字がもし、本当だとして、理由はすぐに、思い当たります。つばさは、内容がものすごく濃いです。だから、ながら視聴には向きません。そして、最初の段階でサンバダンサーなどが突然登場したりして、従来の家庭の主婦層には、騒がしいと思わせる、場面が数多くあります。
家出をしたお母さんが本当は愛情が濃くて、その母(主人公には祖母に当たる)との確執があるからの家出であったことも相当の、時間がたたないとわからないようになっていて、単純な心を持つ人にはとてもついていけないところがあったでしょう。つくりがとても凝っていて、複雑極まりないところもありました。
私は、芸術とか、芸能、そして、心理学とか、哲学に興味があります。そういう目から見ると、とてもよくできていたドラマでした。
で、途中で人に勧めようと思うと、ほとんどの人が見ていないというのには驚きました。たとえばね。湘南新宿ラインの四人がけの席で、となりのサラリーマンが友人に、「うちのつれあいが、川女出身でね」というので、思わず、それは、「川村学園の略ですか?」と質問をすると、「川越高女の略なんですよ」と答えてくれたので、「そういえば、今、つばさで川越が舞台ですよね。奥さん何かおっしゃっています。あれ非常に面白いし」というと、「何にも言っていません」との答えです。
『え、ご当地、びいきもひきつけていないのか?』と驚きました。立派な人で働き盛りのようですから、奥さんは、40代の後ろか、50代のはじめで、今は川越には住んでいないのでしょうが、高校まで川越で過ごしたのなら、このドラマのファンになってあげてもよいと思うのですが・・・・・不思議でした。
きっと内容があまりにハイペースでハイブロウ(高踏的)だったので、一般の視聴者には、ついていけなかったのだと思います。私は別に、自分が頭がよいとは思ってはいないけれど、芸術とか、芸能には興味があるので、ひきつけられましたが、お茶碗を洗いながら見る主婦には、内容が理解できなかったのだと思います。
尾形一せいが演じる、ラジオの精なども、相当好意を持ってみてあげないと、理解がしがたいところもありましたし。
~~~~~~~~~~
ただ、どうしてこれほど、内容が濃い脚本ができるのかが、不思議で、はじめてぐらいに、NHKのホーム頁のこのドラマの部分をのぞいたのです。すると、脚本家は一人ですが、スタッフ、特に制作側が喧々諤々の議論を交わし、それを、脚本家に提案して、脚本家がその要望に沿って、脚本を練り直したらしいのです。
それで内容が濃くなったが、それの欠点として、最終章ががたがたとなってしまいました。このドラマは視聴者の予想を裏切るところはいっぱいあって、それもまた、売りポイントでおもしろかったのですが、最後の結末のつけ方、特に社長が、ラジオ局を去り、トップが、21歳の『ヒロイン』に任せられるという、のは、リアリティがなさ過ぎました。
それまでは、破天荒なところもあるが、どこか、人間存在の深いところで、王道に沿っている・・・・・すばらしい・・・・・と思えたのに、21歳のお嬢さんが会社トップを担うというのは、この日本社会ではありえず、しかもそれをたった一週間以内に、視聴者に納得をさせるのは無理です。
いや、私は大変なファンだっただけに、こういう終わり方が残念です。それで、ちょっと納得ができなくて、いろいろ出演者のホーム頁を探ると意外なことに気がつきました。うーんとうなるようなことですが・・・・・それは次回にお話をしましょう。 2009年9月29日 雨宮 舜(川崎 千恵子)
するとたくさんの人からの応援が届いていて、『つばさ』がすばらしかったというメッセージにあふれかえっていました。視聴率なんて気にしないように。と、書いてありました。私もその意見に賛成です。この世の中に正しいなどということもないし、権威付けて、順番をつける必要もないのです。それに副島隆彦という人の、ベストセラーを読んだときに、かねてより思っていた、ニュースは作られるものだということも、知りましたし、その観点でニュースを見ると、よいものほど、日本人を真に賢くする恐れがあるということで、メディアの評価が低くなる可能性もあるのです。
ただ、その数字がもし、本当だとして、理由はすぐに、思い当たります。つばさは、内容がものすごく濃いです。だから、ながら視聴には向きません。そして、最初の段階でサンバダンサーなどが突然登場したりして、従来の家庭の主婦層には、騒がしいと思わせる、場面が数多くあります。
家出をしたお母さんが本当は愛情が濃くて、その母(主人公には祖母に当たる)との確執があるからの家出であったことも相当の、時間がたたないとわからないようになっていて、単純な心を持つ人にはとてもついていけないところがあったでしょう。つくりがとても凝っていて、複雑極まりないところもありました。
私は、芸術とか、芸能、そして、心理学とか、哲学に興味があります。そういう目から見ると、とてもよくできていたドラマでした。
で、途中で人に勧めようと思うと、ほとんどの人が見ていないというのには驚きました。たとえばね。湘南新宿ラインの四人がけの席で、となりのサラリーマンが友人に、「うちのつれあいが、川女出身でね」というので、思わず、それは、「川村学園の略ですか?」と質問をすると、「川越高女の略なんですよ」と答えてくれたので、「そういえば、今、つばさで川越が舞台ですよね。奥さん何かおっしゃっています。あれ非常に面白いし」というと、「何にも言っていません」との答えです。
『え、ご当地、びいきもひきつけていないのか?』と驚きました。立派な人で働き盛りのようですから、奥さんは、40代の後ろか、50代のはじめで、今は川越には住んでいないのでしょうが、高校まで川越で過ごしたのなら、このドラマのファンになってあげてもよいと思うのですが・・・・・不思議でした。
きっと内容があまりにハイペースでハイブロウ(高踏的)だったので、一般の視聴者には、ついていけなかったのだと思います。私は別に、自分が頭がよいとは思ってはいないけれど、芸術とか、芸能には興味があるので、ひきつけられましたが、お茶碗を洗いながら見る主婦には、内容が理解できなかったのだと思います。
尾形一せいが演じる、ラジオの精なども、相当好意を持ってみてあげないと、理解がしがたいところもありましたし。
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ただ、どうしてこれほど、内容が濃い脚本ができるのかが、不思議で、はじめてぐらいに、NHKのホーム頁のこのドラマの部分をのぞいたのです。すると、脚本家は一人ですが、スタッフ、特に制作側が喧々諤々の議論を交わし、それを、脚本家に提案して、脚本家がその要望に沿って、脚本を練り直したらしいのです。
それで内容が濃くなったが、それの欠点として、最終章ががたがたとなってしまいました。このドラマは視聴者の予想を裏切るところはいっぱいあって、それもまた、売りポイントでおもしろかったのですが、最後の結末のつけ方、特に社長が、ラジオ局を去り、トップが、21歳の『ヒロイン』に任せられるという、のは、リアリティがなさ過ぎました。
それまでは、破天荒なところもあるが、どこか、人間存在の深いところで、王道に沿っている・・・・・すばらしい・・・・・と思えたのに、21歳のお嬢さんが会社トップを担うというのは、この日本社会ではありえず、しかもそれをたった一週間以内に、視聴者に納得をさせるのは無理です。
いや、私は大変なファンだっただけに、こういう終わり方が残念です。それで、ちょっと納得ができなくて、いろいろ出演者のホーム頁を探ると意外なことに気がつきました。うーんとうなるようなことですが・・・・・それは次回にお話をしましょう。 2009年9月29日 雨宮 舜(川崎 千恵子)