写真1 実科高等女学校補習科に進学する娘と両親の契約証
写真2 契約証(写真1)の解読文。筆者が解読
写真3 大正14年度金銭出入帳(年度末を抜粋)
大正14年12月31日調査 入金計 926円74銭 合金929円65銭 出金計 902円18銭
差引 27円47銭 加金 4円86銭 〆32円33銭 明年度繰越現金
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今日、農業経営体や農家に家族経営協定がある(注1)
経営主と農業従事家族員が労働時間や休日、役割分担、労働報酬などを文書で取り決める
農林水産省、都道府県、農業委員会JAなどが締結推進中
さて、今から92年前、進学について文書で取り決めた農家があった
進学する次女が自書記名する両親あての契約証(写真1)
進学先は裁縫など実業技芸を修める実科高等女学校補習科
当家の大正14年度金銭出入帳に次女の学費支出は03月まで記載される(注2)
すなわち、補習科で2ヵ年修めた
大正14年度金銭出入帳に上級学校在学の長女及び長男の学費記載もある
当年度、次女、長女、長男の学費総額は298円65銭、総支出の33%を占める(注3)
そのため契約証に、卒業後は「近親友人等上級学校へ入学スルトモ・・」の文言が入るのであろう
家族経営協定締結が進まない今日、92年前の進学契約証は驚き
注1 農業経営体、農家、家族経営協定を農林水産省は次のように定義する
農業経営体:経営耕地面積30a 又は農産物販売金額50 万円相当以上の規模の農業経営を行うもの
若しくは農作業受託を行うもの。1,377,266(平成27年02月01日現在)
農家:経営耕地面積が10a以上又は調査期日前1年間における農産物販売金額が15万円以上の世帯
2,155,082戸(平成27年02月01日現在)
家族経営協定:家族農業経営にたずさわる各世帯員が、意欲とやり甲斐を持って経営に参画できる魅力的な農業経営を目指し、
経営方針や役割分担、家族みんなが働きやすい就業環境などについて、家族間の十分な話し合いに基づき、取り決めるもの
締結農家数56,397戸(平成28年03月31日現在)
注2 契約証、金銭出入帳ともに筆者が複写
注3 筆者が集計
執筆・撮影者:有馬洋太郎